妊活は女性だけの努力?夫の意識改革法【お悩み相談室】

妊活・不妊
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妊活を始めたものの、夫の協力的でない態度に悩んでいる30代女性からのご相談です。夫はお酒やタバコを続ける一方で、相談者には生活改善を求めてばかり。妊活は夫婦で協力するものなのに、このままでいいのかとモヤモヤしてしまいますよね。

夫に主体的に妊活へ取り組んでもらうための伝え方や、男性妊活のポイントについて心理士がお答えします。

妊活を始めて1カ月経ちましたが、夫の考えに困っています。夫は「妊活=女性が頑張るもの」という認識をしていて、私にばかりお酒を辞めなよとか早く寝なよとか言います…夫はタバコも吸うしお酒も毎日飲んでます。そんな夫に腹が立つ毎日です。そろそろ子どもを考えようと話したのは夫からなのに、夫ばかり自由な生活をして私にはあれこれ辞めろなんて…私も夫にタバコとお酒を辞めてほしいと伝えてはいるんですが、量は減らせるけど完全にやめるには時間がかかるって言われて。量を減らすように言ってくれたのは嬉しいのですが、夫にも妊活に協力的というか、主体的になってもらうような関わり方、男性妊活に必要なことを教えていただけませんか?

(30代、女性、ハンドルネーム:タンブラー、職種:事務・オフィスワーク)


最初に

こんにちは。まずは、妊活を始めてまだ1カ月。あなたは今、とても理不尽と感じられる状況の中で頑張っておられるのですね。

期待や不安が入り混じるこの時期に、「私ばかり頑張らされている」と感じるのは、想像以上にモヤモヤするものですよね。

お酒をやめろ、早く寝ろと言ってくるのは、妊娠を望んでいるからこその発言かもしれません。
でも、そもそも子どもを望もうと話し始めたのは夫からだった――なのに、彼はタバコも吸って、お酒も毎晩…。

なんだか片方だけ“妊活モード”に入っていて、もう片方は“まだのんびりモード”状態。言いたくなりますよね。「一緒に走るって言ったの、そっちじゃん!」って。

伝えてはいるけれど、あまり変化がない。少しは減らしてくれたけれど、「完全にやめるのは時間がかかる」と言われた。
その「時間をかけられる余裕」があるのが、正直ちょっと腹立たしかったりするんですよね。

でも、そんな不満や疑問をご自身の中で押し込まず、こうして“どうしたらいいのか”と考えておられるあなたは、まさに「ふたりの妊活」をつくろうとしているところなのだと思います

妊活はチーム戦

妊活を「女性が頑張るもの」と認識している男性は、実はまだまだ少なくありません。

でも現代では、妊娠は男女両方の健康状態やライフスタイルの影響を大きく受けることが明らかになっています

だからこそ、妊活は“チーム戦”女性ひとりで頑張るべきものではありません。「ふたりで進む妊活」にシフトしていきましょう!

たとえばこんなふうに考えてみると、関係の在り方が変わってくるかもしれません。

・「協力」ではなく「共同責任」という視点に立つ

・“やってほしいこと”をお願いするより、“一緒に知ろう”というスタンスを取る

・相手の行動ではなく「気持ち」に目を向けて言葉を選ぶ

  (例:「私も不安だから一緒にできたら安心する」など)

また、「男性の妊活」にはまだ情報が少なく、どこから始めたらいいかわからない当事者も多いのが現実です。

一方的に「やめて」「変えて」と言われると、反発したくなるのも人間の性。

だからこそ、「2人で調べてみない?」「男性も影響あるんだって」と、“自分ごと”に引き込む声かけが有効かもしれません。

男性の生活習慣改善は、より早期の妊娠につながる可能性がある

男性妊活に必要なことを、専門の心理士の観点からお伝えします。

まず、これは男女ともに共通することですが、自分たちが妊娠可能な状態なのか、婦人科や泌尿器科でチェックしてもらうことです。どんなにがんばって妊活していても、「実は排卵が不安定だった」「精子の状態があまり良くなかった」という状況があれば、今のがんばりに見合った結果は得られません。

ブライダルチェックとして初期検査を実施できる婦人科も増えてきています。妊活のための健康診断だと思って、ご利用なさってみてください。

次に、ライフスタイルについてです。妊娠における「精子の質」は、妊娠率や流産率に大きく関係することが分かっています男性のライフスタイルも、女性と同様に妊娠の可能性に影響します。ご存知のことも多いと思いますが、以下は特に注意すべきポイントです。(※)

・ウォーキングなどの軽めの運動(生活習慣病があると精巣の働きが悪くなるため、肥満対策も兼ねて!)

・1日3食、バランスのとれた食事(亜鉛が含まれる牡蠣やピーナッツ、ビタミンC、ビタミンEなど抗酸化物質)

・1日7時間程度の長さで、決まった時間に就寝、起床する睡眠

・長風呂をせず、長時間のサウナも避ける(精子は熱に弱いため、睾丸を温めない)

・自転車、バイクに長時間乗らない(精子は熱に弱いため、睾丸を温めない)

・深酒しない

・禁煙

妊活は、女性だけが身体を整えればいい時代ではありません。むしろ男性の生活習慣改善は、より早期の妊娠につながる可能性があります

「自分も整えた方が、夫婦ふたりでの妊活が前向きに進む」と伝えてみると、もしかしたらパートナーさんも少しずつ行動を変えてくれるかもしれません。

最後に

あなたは、もう十分すぎるくらい頑張っています。どうか、肩の荷をパートナーさんにも半分持ってもらってください。

「私ばかり我慢しなくていいんだ」と思える妊活にしていけますように、心から応援しています。


 <参考文献・出典>※以下の文献を参考にしています

日本メンズヘルス医学会
▶「意外に多い男性の不妊症について」辻村晃:https://jsmh.jp/column/detail/14


<本記事の回答者>

戸田さやか

公認心理師/臨床心理士/生殖心理カウンセラー/がん・生殖医療専門心理士/ブリーフセラピストシニア

所属:株式会社ファミワン

「妊活や性の悩み、子育てや働き方のことまで、「誰に相談していいかわからない」テーマも歓迎しています。どんな内容でも大丈夫。安心してご相談ください。臨床心理学の確かな知識と技術を活かし、原因探しや悪者探しではなく、あなたにとってのゴールを発見するお手伝いをさせてください。」


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