経済的に不妊治療がつらい…休んでも大丈夫?【お悩み相談室】

経済的な不安から、「一度不妊治療を休んで貯金するか、このまま続けるか」で悩んでいるという20代女性からのご相談です。早く授かりたい気持ちと、現実的な出費のバランスで揺れているとのこと。
不妊治療を一度休むことで生じるリスクやメリット、費用を抑える工夫について、看護師が一緒に考えていきます。
結婚1年、自然妊娠に至らずタイミング法→人工授精へ進みましたが、治療費が家計を圧迫し「一度休んで貯金を増やすか、このまま続けるか」で悩んでいます。夫25歳、私20歳と年齢的な余裕はあるものの、夫婦とも早く子どもを授かりたいという希望も強いです。治療を中断した場合のリスクやメリット、費用を抑えながら続ける方法、将来の妊娠率への影響など、アドバイスがあればお願いします。
(20代、女性、ハンドルネーム:ひな、職種:主婦)
目次
最初に
ひなさん、ご相談ありがとうございます。
現在は人工授精へステップアップして、通院を頑張っていらっしゃるのですね。
早く子供を授かりたいと思う気持ちもありながらも、不妊治療を続けていくことに
経済的な面での負担が大きいと感じているとのこと。
不妊治療が保険適応になったとはいえ、経済的な負担は0になったわけではないので
負担に感じることは当然だと思います。
不妊治療を受けている多くの方が負担に感じるポイントの1つです。
経済的な負担と治療の継続について、一緒に考えていきたいと思います。
「妊活をいったん休む」という選択肢もあり
現在、ご主人は25歳、ひなさんは20歳とのことなので
「一度不妊治療を休んで貯金を増やす」というお考えは良い選択肢の1つだと思いました。
ご存じの通り、妊娠率や流産率は年齢の影響を大きく受けます。
女性は30歳から妊娠率が下がると言われているので、お二人の今のご年齢から考えると
まだ時間的な余裕はあると捉えることもできます。
不妊治療だけではなく、その先の出産・育児を考えた時に経済的な余裕があることは決して無駄にはなりません。
実際に経済的な状況を整えるために、一旦不妊治療をお休みしてご自宅での妊活に切り替える方もいらっしゃいます。
決して珍しいことではないので、安心していただければと思います。
“治療を休む”メリットと準備のポイント
治療を中断することのメリットとして、貯金ができること、
通院がストレスになっていたのであればそのストレスが軽減されることが考えられます。
また、今のご年齢でご自宅での妊活が負担なくできるのあれば、
大きくデメリットになると考えられるものもないと思います。
しかし、貯金はお二人のお金の使い方を見直したり、妊活とまた違う努力が必要になりますね。
体外受精を見越して〇万円貯めよう、月に〇万貯金して〇月に再開できるようにしよう、
などといった計画性が重要になってくると思います。
年齢的余裕はあるとはいえ、治療をお休みしている時間が無駄にならないように、
貯金のゴールや仕組みをきちんと考えて、お二人で力を合わせていけると良いですね。
妊活の「ステップダウン」も前向きに
費用を抑えながら続ける方法としては、ご自宅での妊活に切り替えていくことがまず1つの方法です。
基礎体温や生理周期をアプリ等を利用して記録をつけることで、
ご自身の排卵の時期が推測できると思います。
ドラックストアで購入できる排卵検査薬も合わせて使うと合わせて使うと、より精度が上がります。
排卵の1~2日前が最も妊娠率が高い(※1)と言われているので、
きちんと排卵日を予測していくことがご自宅での妊活の重要ポイントです。
お二人の経済状況を考えた時に、タイミング療法であれば
貯金もしつつ続けていけそうなら、一旦人工授精からタイミング療法へステップダウンするのも良いと思います。
焦らず“自分に合った治療を考える”ことも大切
通院をお休みしている間に自然妊娠した、ということも不妊治療の世界ではよくあります。
不妊治療はどうしても効率を重視した提案が多くなりがちなのですが、
お二人の状況に合わせて治療を選択できることがベストです。
焦る気持ちもあるとは思いますが、
積極的に治療を進めていくことだけが正解ではないですし
お二人の生活も大切にしていってほしいので、ぜひ柔軟に考えていけたらと思います。
現時点で指摘されている妊娠に影響を与えるような疾患が無いのであれば、
一旦治療をお休みすることが将来の妊娠に大きな影響を与えることはないかなと思いました。
子宮内膜症があると、時間経過とともに悪化し、不妊のリスクが上がります(※2)。
状況によっては一旦妊活をお休みし、低用量ピルなどで治療をして
経済的な余裕ができた時点で不妊治療を再開する方法をとった方が良い場合もあります。
お体の状況に関しては1度おかかりのクリニックにご相談しながら、決断していけると良いですね。
最後に
経済的な負担に関しては、おかかりのクリニックもよくわかっています。
今後体外受精も視野に入れた時に、一周期の治療にどれぐらいのお金がかかるのか
確認してみるのも貯金のゴールが明確になって良いと思います。
一旦治療をお休みして貯金してからの再開も考えていることを伝えたうえで、
お二人にとってベストな方法をクリニックとも相談していけると良いですね。
<参考文献・出典>※以下の文献を参考にしています
公益社団法人 日本産婦人科医会
▶タイミング療法について:https://www.jaog.or.jp/lecture/9-タイミング/※1
▶子宮内膜症について教えてください:https://www.jaog.or.jp/qa/mature/jyosei200205/※2
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