妊活でリセットのたびに自分を責めてしまうあなたへ【お悩み相談室】

妊活・不妊
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今回は、妊活を始めて間もないものの、結果が出ずに自信を失いかけている30代女性からのご相談です。
「まだ始めたばかりなのに」「異常はないはずなのに」と思いつつも、リセットのたびに涙が止まらなくなる日々。

焦りや孤独に押しつぶされそうな気持ちをどう受け止め、どう希望を持ち続けていけばいいのか、心理士が一緒に考えていきます。

妊活を始めたばかりなのに、もう心が限界に近づいています。完璧を求める自分の性格もあり、二度目のリセットだけで深く傷つき、自信を失いかけています。
33歳という年齢も焦りを煽り、不妊の恐怖が常に頭から離れません。
ブライダルチェックで異常はなかったのに、結果が出ないたびに「私はダメなのか」と自分を責めてしまいます。
今月は風邪を引いてしまい、タイミングを取ることができず、悲しみと無力感に押しつぶされ、涙が止まりませんでした。

夫はまだ始めたばかりだから仕方ないよと励ましてくれますが、その励ましがさらに悲しくなります
幼稚園教諭をしているので、出勤するたびにうちにはまだ子どもが来てくれないとも思ってしまって…この先どうやって希望を持ち続ければいいのかわかりません。

(30代、女性、ハンドルネーム:たんぽぽ、職種:教育・保育・カルチャー)


最初に

妊活を始めたばかり。それなのに、もう心が折れそう。
これは「メンタルが弱いから」とか「完璧主義すぎるから」ではありません。

むしろ、始めたばかりだからこそ、気持ちが振り切れてしまうんです
希望が新鮮な分、うまくいかなかったときのダメージも大きい。

自転車の補助輪を外したばかりの子が、転んだときに思い切り泣くのと似ています。
あなたは、いまその転倒の真っ最中。
転んで、すりむいて、泣いて、それでもまた立ち上がろうとしている人です。

ブライダルチェックで異常がなかったこと。
だからこそ、「どうして?」「私だけが取り残されてるの?」という思いが、より強く胸を締めつけるのかもしれません。

そして、風邪でタイミングが取れなかったという周期。
たとえそれが不可抗力だとわかっていても、「もしかしたらあの一度が…」と思わずにはいられない。
そんなときに夫の「仕方ないよ」なんて言葉が、まるで自分の痛みを軽く扱われたように聞こえてしまう――その感覚も、決しておかしくありません

幼稚園で、笑顔いっぱいの子どもたちを前に、「私のところには、まだ来てくれないんだ」と感じてしまう心の揺れ。
それはあなたが、心から“迎える準備”をしてきたからこその感情です。

自分を責める涙の数は、「がんばってる」の証拠です。

「結果だけ」ではなく「過程の成果」を見つける

あなたはおそらく、とても誠実で、努力家で、責任感のある人なのだと思います。
だからこそ、「ちゃんとやってるのに結果が出ない」ことが、耐えがたくつらい。

でも、妊活って、努力が報われないことがあるんです。
しかも、何も悪くなくても。
これがまた、心をズタズタにするんですよね。

そんなとき、自分を責める代わりに、少し考え方の“重心”をずらしてみるのはどうでしょうか

「頑張ってるのにうまくいかない私はダメ」ではなく、
「それだけ本気で取り組める自分はすごい」と見直してみる。


また、結果が「妊娠できた/できない」という白黒だけで語られるのではなく、
「今月は身体をよく観察できた」「夫婦で協力できた」「体調を整えられた」など、小さな“途中経過の成果”にも注目してみる。

完璧主義の人ほど、「結果がすべて」になりやすいものです。
でも、本当に大切なのは、“どのくらい大事にその過程を歩んでいるか”かもしれません。

自分を責めてしまうときに持ちたい3つの視点

「私はダメかも」という気持ちが押し寄せてくるときは、次の3つの視点を心の片隅に持っておけると少し楽になるかもしれません。

1.比較をやめるのではなく、「比較する対象」を変える

「他人」ではなく、「1か月前の自分」や「少し元気だったときの自分」と比べてみる。

2.「できなかったこと」ではなく、「できたこと」に注目する

タイミングが取れなかった月も、薬のこと、栄養、睡眠など別の視点で見直せることがあります。

3.気持ちを切り替えられない日があってもOKとする

切り替えようとしている時点で、あなたはちゃんと前向きです。

そしてもし、もう少し心の支えがほしいな…と思ったときは、専門の相談を使ってみるのも一つの手です。

最後に

今のあなたに必要なのは、「頑張りなさい」という励ましではなく、「一緒に泣いてくれる人」かもしれません。

…あれ?いるじゃないですか。
涙が止まらないあなたの隣にいてくれる、パートナーさんが。


そんな素敵な人をパートナーに選んだあなたの見る目は、素晴らしいです。
どうか、今日のあなたが少しだけ、自分を許してあげられますように。

<本記事の回答者>

戸田さやか

公認心理師/臨床心理士/生殖心理カウンセラー/がん・生殖医療専門心理士/ブリーフセラピストシニア

所属:株式会社ファミワン

「妊活や性の悩み、子育てや働き方のことまで、「誰に相談していいかわからない」テーマも歓迎しています。どんな内容でも大丈夫。安心してご相談ください。臨床心理学の確かな知識と技術を活かし、原因探しや悪者探しではなく、あなたにとってのゴールを発見するお手伝いをさせてください。」


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