続ける?諦める?5年続けた不妊治療、私はどうしたらいいのでしょうか【お悩み相談室】
今回は、5年にわたって不妊治療を続けてきたものの、40代に入り心身の負担が大きくなり、「このまま続けるべきか、どこで区切りをつけるべきか」に悩んでいる女性からのご相談です。
治療に専念するために仕事を辞めたものの、その選択が正しかったのか分からなくなり、諦めたらこれまでの時間が無駄になってしまうのでは、という葛藤も抱えています。
不妊治療を続けるかどうかの判断軸や、気持ちの整理の仕方について、心理師がアドバイスします。
5年ほど不妊治療を続けてきましたが、なかなか結果が出ず、40代に入ってからは体への負担も大きく、そろそろ諦めるべきか悩んでいます。
治療に専念するために仕事も退職しましたが、その選択が良かったのかどうか、最近になって迷いが出ています。
年齢的にも再就職のことを考えると、早めに次のステップに進んだ方がいいのではないかと思う一方で、ここで諦めたら「これまでの5年間が無駄になってしまうのでは」と思う自分もいて、気持ちの整理がつきません。
治療を続けるかどうか、自分の中で線を引く基準がわからず、どのようなタイミングで、どのような考え方で「引き際」を決めればよいのか知りたいです。
治療を続けるかやめるかを判断する際の目安や、気持ちの整理の仕方についてアドバイスをいただけるとうれしいです。
(40代、女性、ハンドルネーム:図書委員、職種:主婦)
最初に
5年にも及ぶ不妊治療。そして心身の負担も大きい中で、治療に専念するために仕事を退職するというライフワークの変化。
読ませていただきながら、どれほど大変な日々だったのだろうと思いました。
不妊治療は周りからは分かり辛く、こんなに苦しんでいるとは理解してもらえないところがありますよね。
時には身体や心の痛みに耐えながら、周りには無理して笑顔を向けて過ごしていたのではないでしょうか。
「なんで私ばっかり」と周囲と比べて落ち込む日々もあったのではないでしょうか。
そんな中、5年も頑張ったこと。
そして今もまだ揺れ動く気持ちの中で、どうにか前を向こうとしていること。
いつだって、その時その時の「今の選択」を頑張って積み重ねてきたのですよね。
そんなあなたに、自分で自分をたくさん褒めてあげてほしいと思います。
本当に頑張ってこられましたね。
やめる=諦めではないのに、苦しくなる理由
治療を続けるかどうかの「引き際」や、気持ちの整理の仕方というのは、不妊治療の難しいところですよね。
これは不妊治療の特殊な医療性にあるように思います。
というのも、通常私達は身体の不調や心の不調から、その不調を治してもらうために医療機関に行きますよね。
しかし、不妊治療というのは「子どもが欲しい」という願いを叶えるために病院に行くという特殊な面があり、欲しいものが手に入るか入らないかの通院は、心が揺れ動くのも当然なのです。
そして、何事も始めるのは簡単だけど終わりにするのは難しい面がありますよね。
思いの強さであったり、それまでに費やした時間やお金や労力が無駄になったように感じてしまうのも一因かと思います。
また、「子どもがいない人生」というモデルケースが少ないと言うことも不安になる一つの要因かもしれません。
今でこそ多種多様な生き方が支持されていますが、未だ多くの人のイメージは「結婚したら、次は子ども」と言うようなものが多いように感じます。
子どもがいなくても夫婦で仲良く過ごしているカップルや、特別養子縁組で子どもを得たカップルなど、多様なモデルケースを調べて、自身の視野を広げることも心が軽くなることに繋がるかもしれません。
不妊治療が心に残す“見えない傷”
不妊治療というのは、希望と喪失の繰り返しですよね。
まだ目に見えない“未来の自分達の赤ちゃん”を想像し、それをこの腕に抱くために大変な治療を毎月受け、そして生理がくるたびにその希望を失うといった「喪失体験」を繰り返していると思います。
それは周りからは目に見えて理解されることは難しいかもしれませんが、当事者にとっては大きな傷つき体験です。
不妊治療の終わりとなると、さらにこの気持ちは強くなると思います。
そしてこの気持ちはすぐ消えることはありませんし、時間をかけてゆっくり自分の中で整理していくものですよね。
揺れ戻りながら進む心のステージ
喪失体験についての心のプロセスで有名なものに、
精神科医のエリザベス・キューブラー・ロスという人が提唱した悲嘆の5段階というものがありますので、不妊治療の終結に置き換えてお話させていただきますね。
①否認(現実を受け入れられない)
自分に子どもがいない人生なんて受け入れられない段階。
②怒り(自分の運命に対しての怒り)
「なんで私(僕)だけこんなことに!許せない!」と怒りが出る段階。
③取引(逃れたい・何かに縋る)
「これからボランティアでも何でも良いことをしますので、どうか子どもを授けてください」と神様に頼ったりする段階。
④抑うつ(現実と向き合う・希望喪失)
子どもがいない人生を受け入れ、落ち込み、抑うつ症状などが出ることもある段階。
⑤ 受容(悲しみを感じながらも受け入れる)
子どもを諦めざるを得なかった自分を受け入れ、辛い思いを抱きつつも新たな1歩を踏み出す段階。
もちろん、全ての人がこの通りスムーズに進むわけでもありませんし、時に④までいったと思ったのに②に戻ったり、繰り返しながら進んでいくことも多々あります。
人の気持ちはそれだけ複雑ですし、個々に違って当たり前ですよね。
最後に
不妊治療は治療を受ける段階から「選択の連続」で、それは時にとても苦しいことだと思います。
それに慣れてしまうと、しんどい思いに気づけず、いつも早く決めなければと気持ちが焦ってしまうこともあります。
そんな時は少し治療と距離をとって、ご自身が好きなものに目を向けたり、リフレッシュする時間を持ってほしいなと思います。
あなたのこれからを、いつも応援していますね。
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