新しい生命と出会えるその日のために、100組のご夫婦に100通りの最善を【医師 河村 寿宏】

妊活・不妊
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田園都市レディースクリニック 河村 寿宏 理事長

河村 寿宏

田園都市レディースクリニック 理事長 / あざみ野本院 院長

東京科学大学 医学部臨床教授
生殖医療専門医・指導医、産婦人科専門医・指導医、日本東洋医学会専門医

1986年東京医科歯科大学(現・東京科学大学)医学部卒業。同附属病院都立大塚病院に勤務後、コペンハーゲン大学等へ留学。帰国後、同大学附属病院病棟医長や玉川病院産婦人科医長などを経て、2000年に田園都市レディースクリニックを開院。「不妊に悩む患者さんの望みを叶えたい」という信念のもと、神奈川県内トップクラスの高水準な不妊治療を提供。20年以上にわたり、確かな技術と情熱で多くの命の誕生に携わり続けている。

命を救ってくれた医師への憧れ、生命の根源への興味から産婦人科医の道へ

── 河村先生が医師という職業を志したきっかけや経緯を教えてください

直接のきっかけとは言えないかもしれませんが、思い返せば私が幼い時に経験した急性虫垂炎(盲腸)の経験です。最初は軽い胃腸炎だと言われて自宅に戻ったのですが、夜になっても症状は悪化する一方でした。

別の先生を頼ったところ、「これは命に関わる」と即座に判断してくださり、そのまま深夜の緊急手術を受け、九死に一生を得ることができました。幼心に「自分はお医者さんたちに命を救ってもらったんだ」という感謝の気持ちとともに、「命の恩人」である医師という存在への深い尊敬と憧れが芽生えたのだと思います。

実は子供の頃は絵を描くのが大好きで、卒業文集には「画家になりたい」と書いていた時期もありました。しかし成長するにつれ、あの時救ってくれた医師たちのように、人の命を支える道に進みたいという思いが強くなり、医学部への進学を決意しました。

あの夜、私の命を繋いでくださった先生たちの姿が、今でも私の医師としての根底にあるのではないかと感じています。

── 専門を産婦人科に決められた理由をお聞かせください

医師の仕事は「病気を治して健康な状態に戻す」ことが基本ですが、産婦人科はそこに加えて「新しい命の誕生」に立ち会うことができる唯一の科です。患者さんに「おめでとうございます」と言える機会がこれほど多い科は他にありません。ポジティブなエネルギーに満ちた仕事であることに惹かれました。

一方で、昔から手先の仕事や図画工作が好きだったため、自分の手を使って処置をする外科系に進みたいという思いもありました。産婦人科は、手術や帝王切開など外科的な手技も重要です。 「新しい命の誕生を支える」という喜びと、自分の得意な「手仕事」を活かせる外科的な側面。その二つが重なり、最終的に産婦人科を専門に選びました。

田園都市レディースクリニック  診察風景

世界最先端を走る師匠との出会い。執念の不妊治療を目の当たりにして

── 不妊治療や生殖医療に興味を持たれたきっかけをお聞かせください

学生時代に「初の体外受精」が成功したというニュースに、鮮烈な衝撃を受けたことが始まりです。「体の外で受精卵ができるなんて、今の医学で可能になったのか」と本当に驚きました。

医師として40年経った今でも、卵子と精子から新しい命が誕生するということは、「奇跡」だと思っています。生命が受け継がれていくことへの感動。その根源的な興味が、私の出発点にありました。

また、より直接的なきっかけとなったのは、学生時代の臨床実習での出来事です。産婦人科の外来研修をしていた際、長年不妊に苦しんでこられた一人の患者さんに立ち会いました。その日はちょうど妊娠判定の日で、結果は見事に陽性。うれしさのあまり診察室で号泣されているその方の姿を見て、「なんて素晴らしい仕事なんだろう」と、強く心を打たれました。

その後、私の道を決定づけたのは、派遣先の病院で出会った田中温先生(現・セントマザー産婦人科医院 院長)との出会いです。田中先生は、当時まだ成功率が低かった体外受精の課題を克服しようと、日本で初めて「GIFT法(配偶子卵管内移植法)*1」による妊娠・出産を成功させた方です。

今のように経腟超音波*2もない時代、腹腔鏡*3を使い、高度な技術で卵子を採取し、精子と一緒に卵管内に移植する治療が真剣に行われていました。田中先生は、ベストな採卵のタイミングを逃さないよう病院に泊まり込み、一晩中ホルモン値を分析されていました。患者さんのためにここまで情熱を持って向き合う先生の姿を見て、「自分もこの道に進み、不妊に悩む方々の力になりたい」という決意につながりました。

いくつもの偶然のような必然の重なりがあって、私は今、この分野に携わっているのだと感じています。

チーム医療へのこだわり、「患者さん中心」を貫くための努力と工夫

── 病院でのご勤務を経て、クリニックを開院されたきっかけやその思いを教えてください

産婦人科医になったからといって、最初から不妊治療だけに専念していたわけではありません。

まずは産婦人科医としての基礎を築くため、数千件のお産の立ち会いや手術、更年期医療など、あらゆる症例を経験しました。産婦人科医として研鑽を重ねながら、生殖医療への興味も尽きることはなく、限られた環境の中で工夫して体外受精の経験を積みました。

勤務医を続ける道もありましたが、総合病院での勤務には、他の診療科との兼ね合いや設備の制約など、どうしても超えられない壁がありました。

「患者さんの妊娠のために今これが必要なのに、組織の中では実現できない」等のもどかしさを感じる中で、「自分の信念に基づき、患者さんのために最善と思える医療を制約なくやり遂げたい」という思いが強くなり、開院を決意しました。

田園都市レディースクリニック
https://www.denentoshi-lady.com/

── 先生が患者さんと向き合う時に、一番大切にされていることはどのようなことでしょうか

「患者さんを中心に考える」、これに尽きます。当たり前すぎて、「え、そんなことなの?」と思われてしまうかもしれませんが、ここだけは絶対に譲れない、私たちのクリニックのベースとなる考え方です。

不妊治療は医師、看護師、胚培養士、検査技師、心理士、事務スタッフなどが一丸となって取り組むチーム医療です。全員が「患者さんの妊娠」という一つの目的に向かい、同じ方向を向くことが何より重要です。

そのために当院では、全スタッフが集まる研修会を毎年行っています。私たちが大切にしている「患者さん中心」という方針を再確認するのはもちろん、日々の気づきをもとに治療のマニュアルを細かくアップデートしています。

医療は日々進歩していますし、現場では常に新しいケースに出会います。そうした経験を反映させていくと、一年の修正箇所は100から200項目にも及びます。これを20年以上続けてきました。

一人でも多く、一日でも早く赤ちゃんを授かっていただくために、スタッフ全員で「0.1%でも妊娠率を上げよう」と知恵を絞り続けています。

田園都市レディースクリニック 受付
田園都市レディースクリニック 待合

── 常にアップデートしながら、足並み揃えるというのは本当に大変なことですよね

当院では担当医制を導入し、原則として初診からご妊娠まで一人のドクターが責任を持って見守ります。エビデンス(根拠)に基づいた治療を徹底し、独りよがりの判断にならないよう方針を共有しています。

ただし、エビデンスは大切ですが、患者さんはお一人おひとり違います。
「100人いれば、100通りの治療がある」。
この言葉を胸に、画一的にならない、その方に最適な選択肢を提示することを常に心がけています。

そして、私たちが何よりも重きを置いているのが「安心と安全」です。
「妊娠さえすればいい」わけではなく、私たちのゴールは、「健康な赤ちゃんを健康に産んでいただくこと」。妊娠前からの全身チェックを含め、お母さんの安心と安全、新しく生まれる命の健康を、大切に守り抜きたいと考えています。

田園都市レディースクリニック 培養室
田園都市レディースクリニック 体外受精

25年の歴史が紡ぐ、生命の力強さの実感とかけがえのない宝物

── 医師として一番うれしい瞬間はどんな時ですか

患者さんが無事に出産されたというご報告をいただく時です。「かわいい我が子を抱けて幸せです」という言葉をいただくと、この仕事をしていて本当に良かったと心から思います。

開院から25年が経ち、開業当初に生まれたお子さんたちはもう成人されています。「大学に入学しました」「社会人になりました」といったお手紙が届くこともあり、卵子と精子の出会いから見守ってきたあの子が…と思うと、親戚のおじさんのような気持ちになりますね。時の流れの速さに驚くと同時に、生命の力強さにあらためて感動し、この仕事に大きな誇りとやりがいを感じています。

いただいたお手紙は私にとってかけがえのない宝物です。すべてファイルに保管しており、今では何十冊にもなりました。時折それを見返しては、あの方は元気かな、あの子は何歳になったかな、と想いを馳せています。こうした一つひとつの繋がりが、私の原動力になっています。

「100組のご夫婦がいれば、100通りの歩み方がある」一歩を踏み出すお手伝いを

── 最後に、これから不妊治療を考えている方へメッセージをお願いします

「100組のご夫婦がいれば、100通りの歩み方がある」。私たちは何よりもそれぞれのご夫婦の想いを大切にしたいと考えています。

「できるだけ自然な形で授かりたい」「どのような方法でもいいから、とにかく早く授かりたい」。まずはお二人の思いや考えを遠慮なく私たちに聞かせてほしいと思っています。

医師として医学的な評価は行いますが、選択肢は決して一つではありません。今の状態に合わせた最適な選択肢を丁寧にご説明し、最終的にご夫婦が納得して治療に進めるようサポートします。それがご妊娠への一番の近道だと信じているからです。

私たちはこの25年間で、3万8千人(2026年1月現在)を超える方々の新しい命の誕生をお手伝いしてきました。その中で積み重ねてきた技術や知識、そして数えきれないほどの経験が、私たちの大きな力になっています。

このノウハウを駆使して、一人でも多くの方に、一日でも早く赤ちゃんを抱いていただけるよう、スタッフ一同、全力を尽くしています。まずは肩の力を抜いて、お気軽にご相談にいらしてください。あなたの想いに寄り添いながら、一緒に一歩を踏み出せる日をお待ちしています。

田園都市レディースクリニック スタッフ一同
「患者さんの立場に立って考え、行動しよう」を合言葉に
スタッフ全員で心からのサポートを行ってまいります。

── 先生ご自身のリフレッシュ方法を教えてください

これは一番困る質問ですね。この25年間、大晦日も元旦もクリニックに足を運んでしまうほど、仕事に没頭してきました。家族や周りの先生方からも「本当に仕事が好きだね」と呆れられるほどですが、自分としては「もっといい治療法はないか」と考えている時間が一番自然なのかもしれません。

そんな私の数少ないリフレッシュは、家で待っていてくれる2匹の子犬たちです。どんなに夜遅く帰っても全力で飛びついてきてくれる、あの天真爛漫な姿には本当に癒されますね。

でも、一番心がリセットされるのは、やはり患者さんのご妊娠を知った瞬間です。一緒に喜びを分かち合うたびに疲れが消え、「よし、また明日から頑張ろう」という活力が湧いてくる。私にとっては、患者さんの笑顔こそが、一番のリフレッシュなのかもしれませんね。

(2026年1月)


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