今からまだまだ輝く!更年期は自分に合った楽しみを見つけてポジティブに乗り越える【看護師 石橋 双葉】
目次
治療のために病院に来ることがない世界を思い描いています
ーまずは、石橋さんが生殖医療の世界に入ったきっかけを教えてください
私はもともと、普通に看護師の資格を取って総合病院などで働いていました。その中で、産婦人科で働くきっかけがあって、患者さんの中には不妊治療を経ていらっしゃる方もいました。その当時、私の中で不妊治療って未知だったんですよね。不妊治療の領域、生殖医療の領域って、看護師の資格を取るために勉強する産科とか婦人科の項目の中では、カバーがしきれない部分がかなり多いんです。
不妊治療をされてきた患者さんと話していく中で、私自身が知らないことがたくさんありすぎて、看護師としてあまりにも知らなさすぎるという不安を感じました。同時に、もしかしたら、これからこの不妊治療の分野で治療する患者さんたちが増えてくるかもしれないとも感じて、なにかできることがあるんじゃないかという気持ちが湧いてきました。
それである日突然、求人も出てない病院に、勉強させてほしいです!って飛び込んで、働かせてもらったのが生殖の分野に進むスタートでした。
ーすごい!?道場破りみたいな勢いですね。
そうです、そんな感じです。いきなりですね(笑)
年齢的にも新しいことにチャレンジをしたいと思っていたタイミングでしたし、私は不妊治療をすごく好きになるんじゃないかって直感的に感じて、チャレンジしたいと思ったのが一番のきっかけですね。
ー先ほど未知の領域だったと伺いましたが、特に興味を持たれた部分があったのでしょうか
そうですね。特に”ホルモン”の働きの部分ですかね。
ホルモンに関しては本当に知らないことが多かったです。産婦人科の範囲として妊娠から産後はわかっていましたが、妊娠するまでの細かな仕組みは詳しく知らなかったんですよ。受精卵になってから着床するまでのこと、それが単純なことではないという部分も含めて、看護師の資格を取るための勉強の中では、そういうことを勉強してきてはいませんでした。
患者さんたちはすごくいろんなことを背負いながら治療をされてきたのに、自分がわからなさすぎることに恥ずかしさもありました。
不妊治療に関わらず、女性ってホルモンによっていろんなことが左右されてくるんですよね。更年期もPMSも、ホルモンの影響です。ホルモンのゆらぎによる不調を、当事者自身もホルモンから来てるものだっていう風に感じ取れなくて、なんとなくつらい思いをしながら、自分を責めながら、仕事をしたり、日々の生活をおくっています。
生殖医療から広がり、更年期を含めたホルモンの影響による女性のつらさや苦しみを、なるべく減らしていきたい、ということが、私の目標です。
今からまだまだ輝く!更年期は自分に合った楽しみを見つけてポジティブに乗り越える
ー「更年期」の方からはどのようなお悩みや相談がありますか
私の働いている病院では、、不妊治療をしている中で更年期の症状が出始めて悩まれる方々が一定数いらっしゃいます。また、治療を終えた後の患者さんたちと継続したつながりもあるので、その方たちからの更年期のお悩みを聞くこともあります。
ご相談のきっかけとしては、ホルモンの検査結果を見て何か問題があるのではないかという不安や、あとはイライラするとか火照るなどの自分に起こっている症状が、病気なのか更年期障害なのかがわからないという悩みが多いかなと思います。
症状に伴って仕事がうまくできなくなってくる、パートナーとの関わりがうまくできなくなってくる、日常生活がちょっとうまくいかないんだけど、どうしたらいいんだろうという更年期症状に伴う周囲とのコミュニケーションに関するご相談もあります。
ーどのようにアドバイスされていますか
漢方やホルモンの薬を使って症状を緩和する方法などは、病院の先生からも聞いているはずなので、私からは、自分自身の経験を参考にアドバイスすることが多いですね。
患者さんの中には、治療も仕事も生活も完璧にしたい、完璧主義者の人たちが多かったりするんですよね。なので、更年期の症状やその影響に対しても、すごく真剣に考えたり悩んだりされています。
更年期って実は、ストレスとか気真面目さがマイナスに影響することもあるので、趣味などをうまく活用して、ストレスを発散しながら生活をするといいですよという話をよくしています。
私自身、更年期障害が結構早くにきたのですが、自分の趣味とか楽しいなって思うことと、仕事をバランスよくやっていくことで、更年期の症状が楽になってきたんですよね。こうじゃなきゃいけないっていうのはないので、自分に合った楽しみを見つけることがポイントかなと思います。私の場合は断然、推し活です(笑)
外に出るのが億劫だなと思う時でも、オンラインでヨガのレッスンが受けられたり、好きなドラマを見るなど家でできることも今は多いので、とにかくその人の生活習慣とか趣味を聞きながら、アドバイスしています。
ー更年期でお悩みの方へメッセージをお願いします
更年期に負けないで、楽しく過ごしてほしいですね。
私はどうせ更年期だから、みたいな考え方はやめて、私は今からまだまだ輝くよ、更年期がなんだ!これからの人生も楽しまなきゃという感じで、ポジティブな気持ちを持つことがおすすめです。
みなさんの声に耳を傾け、ずっとサポートしていきたい
ー普段のお仕事や活動の中で、心がけていることや、特にここに力を入れて取り組んでいるということがあれば、お聞かせください
私が助けることができる分野で困っている、不安を感じていることがあるのであれば、とにかくひたすら分かるまで説明をしてあげたい、伝えてあげたいと思っています。そのために”話を聞く”というところを忘れないように、心がけています。
女性特有の健康課題や生殖の分野って、女性がなかなか相談しにくい分野の一つでもあるかなと思うんですよね。
受診や相談をしないまま、自分なりに調べながら、分からないままやってるとか、なんとなくやり過ごしている女性も多いのかなと思います。そういったところをなるべくうまく聞き出して、解決のお手伝いをしてあげたいなっていう気持ちはあります。
先ほどお話しした「女性のつらさや苦しみをなるべく減らしていきたい」という想いは、最初から持っていたわけではなく、仕事をしていく中で、さまざまな人たちと出会って私自身の考え、想いが変わってきたんですよね。
私が出会ってきた患者さんたちが、私に対して試練というか、思いを伝えてくださったような気がしています。私と出会ってくださった患者さんたちのおかげで今の私があると感じています。
ー普段のお仕事や活動の中で、やりがいを感じている部分を教えてください
不妊治療って、100%結果が出せる分野ではなくて、いろいろな形の治療の終わり方があります。どんな終わり方でも、その後のその方たちの人生も見せていただけることが、うれしいなって思います。
出産された方々が、お子さんを連れて会いに来てくださったり、お手紙をくださったり、それが何年も続いたりするとやっぱりうれしいですね。
結果が出せずに治療を終えた方も、その後もやり取りが続いて、近況や直近の活動など、その後の生活を報告してくださったり、私が困った時にも助けていただくことがあります。終わりを決めた時には、二人で涙をたくさん流したけど、今こうやって笑顔で話せる日が来たんだなと感慨深く思います。
そこまでに長い期間の信頼関係があって、病院の治療が終われば終わる関係ではなく、その後も、その方たちの人生に関わらせていただくことができることがうれしいなと思っています。
がんばっている自分を常に褒めて、甘やかしてください
ー 石橋さんオススメの、気分がモヤモヤした時のリフレッシュ方法だったり、リセット方法をお聞かせください
そもそも、私、ポジティブにしか考えれない脳みそになっていて、モヤモヤすることがないかもしれません(笑)。
コツとしては、がんばっている自分を常に褒めて、がんばっている自分を常に甘やかすことです。
仕事から家に帰ったら、パっと気持ちを切り替えて、寝る前には絶対嫌なことは思い出さない。今日あった楽しいことを3つ思い浮かべて一人でニヤニヤしながら、今日も幸せだと思いながら寝ます。そうすることですっきり眠れるし、次の日の朝を元気にむかえることができます。
患者さん、特に女性の方によく言うんですけど、自分を守ることができるのって自分だけで、自分を一番可愛がることができるのも自分なんですよって。みなさん、自分を大事にしてほしいと思っています。