高齢出産で育児と更年期が重なる不安、乗り越えるためにできること【お悩み相談室】

更年期
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今回は40代の方から更年期のお悩みのご相談をいただきました。

高齢出産で、お子さんが幼いうちから更年期、これからの子どもの成長期と更年期とうまく付き合っていけるか不安を抱えていらっしゃるようです。

更年期との上手な付き合い方について、相談経験が豊富な公認心理士・臨床心理士がご相談にお答えします。

40歳で高齢出産しました。現在47歳で子どもは7歳になりました。45歳くらいからイライラすることが増えて、最近はホットフラッシュにも悩まされています。子どもにもイライラしてしまうことが多く、「ママ怖い」といわれることが増えてきてしまいました。「ママ怖い」と言われるとカッとして子どもを怒鳴ってしまいそうになり、必死に感情を抑えつけています。私の母も更年期の症状が辛そうだったので、これから今よりももっと体調が悪くなることも怖いです。これから子どもの成長とともに更年期とうまく付き合っていけるか不安でとても悩んでいます。

(40代、女性、ハンドルネーム:ダイエットがんばる、職種:主婦・主夫)


更年期の症状で悩むことは珍しいことではない

はじめまして。臨床心理士として、多くの方の心の悩みに寄り添ってきました。今回のご相談、とても正直なお気持ちを綴ってくださいましたね。

「ママ怖い」と言われてしまったときのショック、お察しします。お子さんを大切に思っているからこそ、そんな言葉を聞くと胸が締めつけられるような気持ちになりますよね。さらに、それをきっかけに怒りがこみ上げてしまうご自分に対しても、つらさや戸惑いを感じていらっしゃるのではないでしょうか。

また、年齢を重ねることで増えてきたイライラや、ホットフラッシュなどの更年期の症状にも悩まれているとのことこれは決して珍しいことではありません。更年期は心と体の変化が大きく、女性にとって試練の時期とも言われます。お母様が更年期に苦しんでいた姿を見ていたからこそ、「私もこの先、もっとつらくなるのでは」と不安を感じてしまうのも無理はありません。


でも、どうか忘れないでください。今、こうして「子どもとの関係をより良くしたい」「感情とうまく向き合いたい」と考えているあなたは、決して一人でこの悩みを抱えているわけではないのです。そして、そのお気持ち自体が、すでにお子さんへの深い愛情の表れです。

更年期と育児の上手な付き合い方

◆まずはご自身の気持ちに寄り添うこと

「ママ怖い」と言われたとき、心が傷つくのは当然のことです。その悲しみやショックを「こんなことで落ち込んではいけない」と押し込めるのではなく、「私は大切な存在から怖がられることにショックを受けているんだな」と、まずはその気持ちを認めてあげてください

また、「怒り」という感情が湧き上がることに対して罪悪感を持つ必要はありません。怒りは決して悪いものではなく、「自分の中にある何かのサイン」として表れるものです。「私、こんなに悲しかったんだ」「本当はもっと子どもと穏やかに過ごしたかったんだ」と、怒りの奥にある本当の気持ちに目を向けてみましょう。

◆更年期と向き合いながら子育てするために

更年期の症状が心と体に影響を与えるのは確かです。しかし、それに対して「私はこのままもっとつらくなるのでは」と不安に囚われてしまうと、余計にストレスが強くなってしまいます

ホットフラッシュやイライラが強くなる時期には、体を温めすぎない工夫をしたり、適度な運動を取り入れたりすることも有効です。また、漢方薬やホルモン補充療法(HRT)など、医学的なサポートを受けることも選択肢の一つです。心と体の健康のために、ぜひ婦人科や専門医に相談してみてください。

加えて、更年期のイライラや疲れが溜まりやすいときには、できるだけ「自分を労わる時間」を持つことが大切です。子育てをしていると、つい「子どもを優先しなければ」と思ってしまいますが、お母さん自身が笑顔でいることが、何よりもお子さんにとっての安心につながります

「私はよく頑張っている」「今日も1日お疲れさま」と、自分に優しく声をかけるだけでも心は軽くなります。お気に入りの音楽を聴いたり、好きな香りのアロマを楽しんだり、短い時間でもリラックスできる習慣を取り入れてみてください。

◆お子さんとの関係をより良くするために

「ママ怖い」と言われたとき、その言葉の奥にあるお子さんの気持ちに目を向けてみることも、関係改善の一歩になります。

お子さんは、「ママが怒っている=ママは私のことを嫌いなの?」と不安になることがあります。そこで、例えば「さっき大きな声を出しちゃったね。でも、ママはあなたのことが大好きだよ」と伝えるだけでも、お子さんは安心します。

また、「ママ怖い」と言われたときには、「ママは今、ちょっとイライラしちゃったの。でも、あなたが怖がるのは嫌だから、少し落ち着いて話したいな」と、素直に気持ちを伝えてみるのも良いかもしれません。

さらに、お子さんと穏やかに関われる時間を意識的に増やすのもおすすめです。短い時間でも、一緒に好きなことをする時間を作ることで、「怒るママ」ではなく、「楽しいママ」との記憶が増えていきます。

◆未来に対する不安を軽くするために

更年期と子育てが重なると、「これから先、もっとつらくなるのでは?」と不安になってしまいますよね。でも、大切なのは「今できることを少しずつ積み重ねること」です。

・自分の心と体を大切にすること

・お子さんの気持ちに寄り添うこと

・誰かに相談すること(専門家、家族、友人など)

この3つを意識していくだけでも、未来への不安は少しずつ和らいでいくはずです。

悩みに向き合おうとしていることが素晴らしいこと

あなたがこの悩みと向き合おうとしていること自体が、すでに素晴らしいことなのです。

一歩ずつ、自分を大切にしながら、お子さんとの関係を育んでいきましょう

ダイエットも頑張りすぎずに。あなたのお子さんを想うお気持ちが伝わりますよう、応援しています。

回答者:公認心理師・臨床心理士

自治体の子育て相談窓口でお仕事をさせていただいています。キンダーカウンセラーやスクールカウンセラーとしての経験も長いです。子育て中は悩みが尽きないですよね。年齢や個性に応じた親子のコミュニケーションでお困りなら、ご相談ください。不登校、ひきこもり、家庭内暴力や虐待などのカウンセリングも得意としております。


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