更年期の不安感やうつっぽい感じとの上手な付き合い方【お悩み相談室】

更年期に入ってから不安感やうつっぽい症状があり、自分で自分を責めてしまうというお悩みを抱えた50代女性からのご相談です。ご家族にも心配されていて、精神科に相談するように言われ、受診したほうがいいかも悩まれているそうです。
更年期との付き合い方、また受診について臨床心理士がお答えします。
更年期の不安感やうつっぽい感じに悩んでいます。これまで精神面は強い方だと思っていました。些細なことに悩むことはありませんでした。ただ、更年期が始まった40代後半から何もかも不安に思うようになり、「どうしよう」が口癖です。また不安に感じると「私がこんなんだから」と自分で自分を責めてしまいます。夫や子どもたちにも「最近どうしようばっかり言ってるね」と言われます。家族に話したら精神科に相談したほうがいいといわれました。でも精神科に行く勇気がありません。更年期のはずなのに精神病だったらどうしようと不安です。不安やうつっぽい感じとの付き合い方、また病院にお世話になったほうがいいのか、相談させてほしいです。
(50代、女性、ハンドルネーム:なつめ、職種:事務・オフィスワーク)
目次
この時期の不安や落ち込みは「自然な変化」
こんにちは。お悩みを共有してくださりありがとうございます。長年精神的に強いと感じていたのに、更年期を迎えた途端、不安や落ち込みに悩むようになったとのこと。まるで自分の性格が大きく変わってしまったような感じがして、戸惑われていることと思います。「どうしよう」と口癖になってしまうほど、不安が心の中を占めることが増え、そんな自分を責めてしまうこともあるのですね。
まずは、ここまで一人で抱え込まずに、相談しようと思ってくださったこと、それ自体がとても大切な一歩です。どうか、ご自身を責めるのではなく、心と体の変化に優しく寄り添っていくことを意識してみてください。
更年期は、ホルモンの変化が大きく影響する時期です。エストロゲンが減少することで、体だけでなく精神面にもさまざまな影響が出ることが知られています。
この時期の不安や落ち込みは「自然な変化」です。これまで気にならなかったことが急に心に引っかかるようになったり、ちょっとしたことで不安になったりするのは、更年期のホルモン変化による影響かもしれません。これはあなたの「性格が変わった」わけではなく、体の変化に適応しようとしている証拠です。また、「私が弱くなった」と考えなくて大丈夫ですよ。
これまで精神的に強いと感じていたからこそ、今の状態に違和感を覚えるのも当然です。ただ、それは決して「弱くなった」のではなく、体と心が新しいバランスを取ろうとしている途中なのです。
不安や落ち込みと付き合うためにできること3選
不安や落ち込みと付き合うために、日常の中でできることをいくつかご紹介します。
1.「どうしよう」と言いそうになったら、深呼吸
「どうしよう」と言葉に出すたびに、不安な気持ちが強くなることがあります。言いそうになったら、まず深呼吸をして、「いま、何ができるか?」と自分に問いかけてみましょう。
2.小さな「安心できること」を見つける
例えば、好きな香りをかぐ、落ち着く音楽を聴く、散歩をする、柔らかな布団にくるまるなど、自分がリラックスできることを日常に取り入れてみてください。不安な気持ちが出てきたときに、「これをやれば落ち着く」という安心材料を持つことが大切です。
3.日記をつける
その日の気持ちを書き出すことで、自分の状態を客観的に見ることができます。「今日はこんなことがあった」「こういうときに不安になった」というパターンが見えてくると、対策を立てやすくなります。
病院はあなたの味方
「更年期のはずなのに精神病だったらどうしよう」と不安になって、病院に行くべきか悩まれているのですね。結論から言うと、更年期の影響による不安やうつっぽさは多くの人が経験するものですし、専門家に相談することで楽になる場合が多いです。
更年期の不調は、婦人科でホルモンバランスを確認することで、ホルモン補充療法や漢方治療などの選択肢が見えてくることもあります。「精神科に行くのは抵抗がある」と感じる場合、まずは婦人科を受診することも一つの方法です。
また、精神科=「病気の診断をされる場所」ではありません。心の健康を整えるための場所です。風邪をひいたらお薬をもらいに行く。身体に痛みがあったら悪いところがないかエコーなどで検査してもらう。それらの行動と同じです。「今の不安が生活にどれくらい影響しているのか」を確認し、必要に応じたケアを受けることができます。大丈夫、病院はあなたの味方ですよ。
そうは言われても、精神科という場所は心理的ハードルが高いですよね。「病院に行くのは勇気がいる」と感じる場合は、カウンセリングを受けることから始めるのも良いでしょう。話すことで気持ちが整理され、少しずつ自分に合った対処法が見えてくるかもしれません。
オンラインで気軽に受けられる健康相談や、20~30分間程度の短い時間で臨床心理士のような専門家とお話しできるサービスもあります。「ちょっと試しに」くらいの気持ちで利用してみるのはいかがでしょうか。
最後に、ご家族との関係についてお話させてください。ご家族が「最近どうしようばっかり言ってるね」と気づいてくれているのは、あなたを大切に思っているからこそ。もし、家族に「精神科に相談したら?」と言われたときに抵抗を感じるなら、「もう少し自分でできることを試してみたい」と伝えてみるのもいいかもしれません。
また、家族にも「今は更年期の影響で気持ちが揺れやすいんだ」と伝えておくと、より理解してもらいやすくなるかもしれません。
一歩ずつ、自分に合った方法を見つける
更年期の不安やうつっぽさは、決してあなただけが感じているものではありません。そして、それは「あなたが弱くなったから」でも「病気だから」でもなく、体と心の変化のひとつです。
どうか、「こんな自分はダメだ」と責めるのではなく、「これからの人生のために新しい自分との付き合い方を探しているんだ」と考えてみてください。一歩ずつ、自分に合った方法を見つけていきましょう。
あなたが少しでも穏やかな気持ちで過ごせるよう、心から応援しています。
回答者:臨床心理士、がん・生殖医療専門心理士
生理・PMS・更年期・妊娠・出産・女性特有のがんなど、女性の健康課題やライフイベントに関するご相談を専門にしています。セックスレスや性交痛、パートナーとのコミュニケーションなど、性のお悩みについてもカウンセリングを担当しています。女性特有の心と身体の問題、なかなか人には話せないプライベートなお困りがあれば、是非お気軽にご質問ください。
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