更年期に離婚を考える私…後悔しない選択とは?【お悩み相談室】

結婚25年目を迎えた女性から、離婚を考えているというご相談です。夫との関係は冷え切り、会話もほとんどない状態。ひとりで過ごす時間が心地よく、離婚したほうが楽かもしれないと感じる一方で、後悔しないか不安を抱えているようです。
長年連れ添ったパートナーとの関係をどうするべきか、離婚の選択肢をどう考えるべきかを心理士と一緒に考えてみましょう。
夫との関係がこじれていて、離婚を考えています。以前に、洗い物をしている私の横でテレビを見ている夫の笑い声にムカついて「黙って見て!」と声を荒げてしまい、それからは成人して出て行った子どもの部屋に小さなテレビを買ってきてはそこで夫は過ごすようになりました。正直、さみしい気持ちなんてなく、ひとりで広々とリビングを占領できる時間に、嬉しささえ感じます。介護の仕事をしているんですが、職場でストレスを感じ日々我慢しているので、ひとりの方が要らぬストレスを感じることがなく気楽なんです。ひとりが楽に感じるのも離婚したい理由のひとつです。夫も私と顔を合わせるのは気まずいようで、最近では「ごはん」「お風呂あがった」などの事務的な会話しかしていません。夫が視界に入るとイライラしてしまう私なので、離婚した方がお互いのために良いと思うのですが…
実は、今日がちょうど結婚25年目の銀婚式です。結婚当時はこの日が待ち遠しくあったなと思い返すと、本当に離婚して後悔しないのか、自分でも答えが出せずにいます。悩むということはやめておいた方がいいのでしょうか。でもこの関係性のままあと何十年も一緒にいるなんて耐えられません。
(50代、女性、ハンドルネーム:ちわわ、職種:医療・介護・福祉)
目次
最初に
銀婚式、おめでとうございます…と言うべきか、正直ちょっと迷いました。でも25年、人生の半分近くを誰かと共に過ごしてきた事実は、それだけで十分にすごいこと。まずは、その年月に拍手を送りたいと思います。
さて、「洗い物している横でテレビ見て笑ってる夫にムカッときた」——うん、わかります。地味にイラっとくるやつですよね。水しぶきの中で孤軍奮闘しているのに、隣でヘラヘラされると、こっちは“無言の泡ハラスメント”を受けてる気さえしてきます。
そこから夫が別室にテレビを持ち込み、気まずい共存生活へ…。誰にも言えないけれど、リビングを独り占めしている自分にちょっとニンマリしちゃうあたり、本音をきちんと見つめていて素敵です。
離婚するかしないか、今すぐに答えを出さなくても大丈夫
1. 「離婚を考える=悪いこと」ではない
まず、お伝えしたいのは、離婚を考えること自体は何も悪くないということです。
特に50代。子育てがひと段落し、仕事も中堅どころで責任が増し、自分の時間が持てるようになる一方で、「これから先の自分の人生、このままでいいのか?」という問いが胸に迫ってくる時期でもあります。
そんな中で、「夫と一緒にいるより一人の方が気楽」と感じるのは、ごく自然な感覚です。
介護の仕事で日々気を使いっぱなしなら、家ではなるべくストレスを避けたいと思うのは当然です。むしろ、そこに気づけているあなたの感性は鋭く、自分を大切にする力がしっかり育っている証拠です。
2. 「今日が銀婚式」なのに離婚を考えている?それって変?
いえいえ、むしろ節目だからこそ考えたくなるのです。
結婚25周年。昔は「この日が楽しみ」と思っていた自分と、今の「離婚してスッキリしたいかも」と感じる自分。どちらもあなた自身です。
人は変わります。そして、変わった自分を無理に否定せず、「今の私は、こう感じてるんだな」と受け止めることも、大人の知性のひとつです。
25年も一緒にいたのに、離婚を考えるなんて…と、ちょっと罪悪感があるかもしれません。でもそれって、裏を返せば、ちゃんと愛していた証拠でもあります。
3. 本当に「離婚したい」のか、「このままがイヤなだけ」なのか
ここでちょっと心理的な視点を。
人が離婚を考えるとき、実は「夫と別れたい」というより、「今の関係性がつらい」「今の自分の感情から解放されたい」と思っていることが多いです。
つまり、「離婚=すべての問題が解決する」とは限らないんですね。
夫婦の形を変えなくても、「同居人としての距離感」「家事分担の再構築」「言葉のかけ方や生活時間の調整」など、少しの工夫で「まあ、これならやってけるかも」と思える状態に近づけることもあります。
そのうえで、やっぱり「人生の残り時間をもっと穏やかに、自分らしく過ごしたい」と思うなら、そのときは堂々と離婚という選択を考えていいのです。
4. すぐに答えを出さなくて大丈夫
「悩むということは、やめた方がいいのかも?」とおっしゃっていましたね。
でも、人間関係のことで迷うのは、当然のことです。
簡単に決められないのは、あなたがちゃんと人との関係を大事にしてきた証拠。
悩みながら、少しずつ自分の気持ちを整理していく。その過程そのものが「自分を取り戻すプロセス」なんです。
最後に
「夫が視界に入るだけでイライラする」——この一言、きっと多くの妻たちが共感の嵐です。
だけど、そんな本音を隠さず、ユーモアも交えながら相談してくれるあなたの言葉には、人としてのあたたかさと強さが滲んでいます。
これからどうするか。正解なんて誰にも分かりません。でも、「自分の人生を快適にしたい」というその気持ちは、きっとあなたをいい方向へ導いてくれます。
離婚するにせよ、しないにせよ。
あなたが「よし、これでいい」と思える選択ができますように。
今日という銀婚式が、過去を悔やむ日ではなく、未来を考えるきっかけの日になりますように。
回答者:株式会社ファミワンに所属する【臨床心理士、がん・生殖医療専門心理士】
生理・PMS・更年期・妊娠・出産・女性特有のがんなど、女性の健康課題やライフイベントに関するご相談を専門にしています。セックスレスや性交痛、パートナーとのコミュニケーションなど、性のお悩みについてもカウンセリングを担当しています。女性特有の心と身体の問題、なかなか人には話せないプライベートなお困りがあれば、是非お気軽にご質問ください。
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