更年期障害で性格が変わる?ガミガミ怒りっぽくなった自分を元にもどしたい【お悩み相談室】

今回は、更年期を迎えたことで怒りっぽくなり、人間関係の変化に悩む40代女性からのご相談です。これまで社交的で慕われる存在だったのに、最近は些細なことでイライラし、職場でも「怖い先輩」と思われているのではと不安になっているそうです。
更年期による性格の変化にどう向き合い、気持ちを落ち着ける方法があるのか、臨床心理士が一緒に考えます。
もともと何事にも手を抜けない性格で、仕事でもプライベートでも周囲から「頼れる」と嬉しい誉め言葉をもらっていました。社交的な性格で、年下の同僚や後輩からも慕われることが多かったのですが、最近、すぐにイライラしてしまいます。特に仕事では、ちょっとしたことで怒ってしまい、「怖い先輩」と思われているのではないかと不安です。
更年期の影響なのか、気持ちがコントロールできず、後で自己嫌悪に陥ることもあります。昔は相手の立場になってわかりやすいように伝えようと笑って対応していたはずが、今では些細なミスが許せなくなり、必要以上に厳しく指摘してしまいます。周囲の態度も変わってきたように感じ、距離を取られている気がしてつらいです。
最近は、できるだけ一呼吸おいて話すようにしたり、好きな音楽を聴いて気分転換を心がけていますが、根本的な解決には至っていません。自分には厳しく、周りにはやさしくできる自分が好きだったのですが別人のように性格が変わってしまったと感じます。昔のように、穏やかに人と接するにはどうしたらいいのでしょうか。
(40代、女性、ハンドルネーム:ナイチンゲール、職種:事務・オフィスワーク)
目次
最初に
こんにちは。ご相談ありがとうございます。
まずは、これまで「頼れる人」「優しい先輩」として周囲から信頼され、たくさんの努力を重ねてこられたこと、本当に素晴らしいことだと思います。そして今、そのご自分とのギャップに悩んでおられること、自分が自分でなくなってしまったかのような間隔、きっととてもお辛いですよね。
怒りっぽくなった、些細なことでイライラしてしまう、そんな自分に自己嫌悪してしまう——それは、もしかすると”あなた自身の弱さ”ではなく、”体の変化”が引き起こしているものかもしれません。
更年期は女性ホルモンが大きく変動・低下する時期
1. 更年期と感情の不安定さの関係
更年期は、女性ホルモン(エストロゲン)が大きく変動・低下する時期です。
エストロゲンには、脳内の神経伝達物質(特にセロトニンやドーパミン)を安定させる働きがあります。これらが減少すると、感情のブレーキが効きづらくなり、イライラや怒り、落ち込みが生じやすくなることが知られています。
つまり、今のあなたの”感情の波”は、ご自身の人格が変わったわけではなく、ホルモンバランスの影響による一時的な現象と考えられます。
まずは、この事実をしっかりと理解し、「私はダメになったのではない」と安心してほしいのです。
2. 穏やかさを取り戻すための工夫
(1) イライラの「前兆」に気づく
→ 怒りが爆発する前に、体のサイン(肩がこわばる、呼吸が浅くなる、胸がドキドキするなど)に気づく習慣を持つことが第一歩です。
(2) 5秒ルールを使う
→ 怒りそうになったら、5秒だけ黙って深呼吸をする。この短い時間で感情のピークはかなり和らぎます。
(3) 完璧主義を手放す
→ “昔の自分”に戻ろうとするほど苦しくなります。今の自分にできるベストで十分。失敗しても「まぁいっか」と心の中でつぶやく習慣をつけましょう。
(4) 感情を吐き出す時間を持つ
→ 誰かに愚痴をこぼす、日記に思いを書きなぐる、カラオケで大声を出す。感情を溜め込まないことも、とても大事です。
3. 周囲との関係を修復するために
人間関係は、「完璧な対応」で築かれるのではなく、「失敗してもまた歩み寄る」ことで育つものです。
(1) 素直に自分の変化を話す
→ 気のおけない後輩や同僚に、「最近ちょっと更年期でイライラしやすくて、ごめんね」と軽く打ち明けてみるのも一つの手です。意外とみんな共感してくれるものです。
(2) 「ありがとう」を意識的に増やす
→ 小さな場面でも「助かったよ、ありがとう」を積み重ねると、周囲の安心感と信頼感が少しずつ戻っていきます。
最後に
今あなたが感じている“変わってしまった私”という不安は、とても自然なものです。そしてそれは、”より強く優しいあなた”への変化のプロセスでもあります。
焦らず、少しずつ、今のあなたを受け入れていきましょう。
笑顔を取り戻す日が、必ず来ます。
<参考文献・出典>※以下の文献を参考にしています
厚生労働省
▶更年期とは:https://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/health/menopause.html
回答者:株式会社ファミワンに所属する【臨床心理士、がん・生殖医療専門心理士】
生理・PMS・更年期・妊娠・出産・女性特有のがんなど、女性の健康課題やライフイベントに関するご相談を専門にしています。セックスレスや性交痛、パートナーとのコミュニケーションなど、性のお悩みについてもカウンセリングを担当しています。女性特有の心と身体の問題、なかなか人には話せないプライベートなお困りがあれば、是非お気軽にご質問ください。
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