更年期で不機嫌な妻にどう接すればいい?【お悩み相談室】

今回は「更年期でイライラしている妻に、どう接すればいいのかわからない」と悩む50代男性からのご相談です。家事を手伝っても妻の怒りが収まらず、どうすればいいのか戸惑っているとのこと。
更年期の影響で気持ちが不安定になる奥様に対して、夫としてできることは何か?数多くの夫婦のお悩みに対応してきた心理士が、夫婦関係をより良くするためのヒントをお伝えします。
更年期のせいかイライラしている妻へどう接していいかわからない。56歳になった頃から、妻がのぼせや倦怠感でつらいと話していた。どうしたらいい?と聞くと、家事を手伝ってほしいと言われたので晩御飯後の食器洗いや、風呂掃除をこの2年間している。最初の頃は感謝されていたが、ここ最近は「もっと丁寧に洗って!汚い!」「なんでわからないの!?」などと怒られてばかりだ。昨日もお風呂からあがってくると、妻がすごい剣幕で洗い終わった食器をもう一度洗っていて、見ないふりをしたいぐらいだった。僕の洗い方がお気に召さなかったのだろうと「ごめん」と言うと、怒鳴られはしなかったが「もういい」と冷たい目で見られてつらかった。特に家事に手を抜いているわけでもないし、洗い方が変わったわけでもないのに、ずっと妻はイライラしている。正直何が悪いのかわからないし、どうして欲しいのかも機嫌が悪いので聞きづらい。更年期の妻へどう接してあげたらいいか教えて欲しい。
(50代、男性、ハンドルネーム:ひろ川、職種:運輸・物流)
目次
最初に
こんにちは。まずはこの場を借りて、あなたにこう言わせてください。
晩ご飯後の食器洗いに、風呂掃除――えらい!ほんとうに、よくやっておられます!
パートナーさんのニーズを聞いて、2年間コツコツと家事を継続中というのは、もう表彰ものです。
しかも感謝されるどころか「なんでこんな洗い方なの!?」と“食器洗い警察”に責められるようになったとのこと…。
その心のしんどさ、お察しします。
「いや、こっちは手抜いてないし」「洗剤の量も変えてないし」「なんなら自分より丁寧に洗ってるつもりだけど?」と思いたくなっても無理ありません。
なのに、“ごめん”と謝ったら「もういい」って…この「もういい」が全然よくなさそうに感じて、お手上げだと感じますよね。
更年期妻の「雷」と上手く付き合う方法3選
【1】実はあなた、怒られているんじゃなく、近くにいてくれている“から”ぶつけられているのかも
更年期の女性は、加齢に伴って女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が大きく減少します。この急激なホルモンの変動は、自律神経や感情のコントロールに大きな影響を及ぼすと考えられています。
つまり、ご本人も「なんでこんなにイライラしてるのかわからない」「止めたくても止められない」という状態にあることがとても多いのです。
そして、そうしたイライラや倦怠感、不安感を一番ぶつけやすい相手――
それが、文句も言わずそばにいてくれる“あなただから”なのです。
ちょっとした言葉のきっかけで雷が落ちる日もあります。
でも、あなたは決して“悪いことをしている”から怒られているのではなく、
“近くにいる安心感”があるからぶつけられている、という場合も多いんです。
【2】雷を避けるより、静かに傘を差す
では、どう接するのがよいのでしょうか?
まず大切なのは、“怒りに正面から応戦しない”ことです。
「こっちだってがんばってるんだよ!」と張り合いたくなる気持ちもよくわかります。
でも、そのときのパートナーさんは、理屈ではなく“体と心のしんどさ”に振り回されている状態かもしれません。
おすすめのアプローチはこんな感じです。
* 「最近、すごくつらそうだけど、何かできることある?」と聞く
* 「洗い方、気になったところあれば教えて」と指示を仰ぐスタンス
* 「今日は機嫌が悪いな」ではなく「今日は体調が悪いのかな」と捉え直す
それでも言葉を選ぶのが難しい時期には、“そっと黙って一緒にテレビを観る”“何も言わずに洗濯物をたたむ”だけでも十分です。
無理に話しかけず、でも「ひとりにしてるわけじゃないよ」という空気が、パートナーさんにとって安心感になることがあります。
【3】“更年期のふたり”でいられる関係に
大切なのは、あなたもまた“更年期世代”であるということ。
妻をサポートしなきゃ、機嫌をとらなきゃとがんばりすぎてしまうと、あなた自身が気持ちをすり減らしてしまいます。
だから、「自分もしんどい日がある」「つらい気持ちもある」ということは、遠慮せず言葉にしていいのです。
更年期は、女性だけの問題ではなく“夫婦の転換期”でもあります。体が変化するのは妻だけでも、心が揺れるのは夫も同じ。
“ふたりの更年期”を、言葉にしながら一緒に乗り越えていけたら、これまでとはちょっと違う形の「夫婦の絆」が育っていくかもしれません。
最後に
あなたはすでに、とても優しい夫さんです。
怒られても、責められても、あなたは“見ないふり”をせずに、「どうしたらいいんだろう」と悩んでここに来てくださいました。
それって、本当に素晴らしいことです。
今すぐ正解の言葉や対応が見つからなくても、「一緒にいたい」「助けになりたい」と思っているあなたの存在そのものが、パートナーさんにとって何よりの支えになっているかもしれません。
雷が落ちる日があっても、ハレばれとした日だって、きっとあります。
あなたの優しさが、どうか明日も、そっとおふたりの空を照らしますように。
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