更年期の不調と免疫力低下を食事で整える方法【お悩み相談室】

更年期
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更年期に入り体調を崩しやすくなり、免疫力の低下にも悩んでいるという50代女性からのご相談です。大豆やざくろを摂り始めたものの、他に何を食べればよいかわからず模索中とのこと。

更年期に起こる体調変化の背景と、免疫力・自律神経を整えるおすすめの栄養素や食材、食事の工夫について管理栄養士がお答えします。

更年期に入り、体調を崩しやすくなったことに悩んでいます。以前より明らかに免疫力が落ち、風邪をひきやすくなってきました更年期障害の症状もつらく食べ物で少しでも体調を整えられたらと考えています。テレビで「女性ホルモンの減少にはイソフラボンがよい」と知り、大豆製品(納豆・豆腐・豆乳など)を積極的に摂るようにしています。また、友人から聞いたざくろが女性ホルモンによいという話を参考に、ざくろ酢も飲み始めました。ただ、それ以外にどんな食べ物が更年期の不調や免疫力アップに効果的なのか、まだよくわからず模索中です。栄養バランスや腸内環境も気にしながら、他におすすめの食材や食事法があれば知りたいです。

(50代、女性、ハンドルネーム:もやもや日和、職種:医療・介護・福祉)


最初に

ご相談ありがとうございます。

更年期に入ってからの体調の変化や免疫力の低下に悩まれているとのこと、非常によくあることではありますが、ご自身の身体に真摯に向き合い、食事から整えようとされている姿勢がとても素晴らしいと思います。

「大豆製品」「ざくろ酢」などを既に取り入れていらっしゃるのは、とても良いスタートです。

ここからは、更年期における不調の背景や、免疫力を支える栄養素、そしておすすめの食材や食事法について、お伝えさせていただきます。

更年期の体調不良はなぜ起こる?

更年期は、閉経をはさんだ約10年間(日本人女性では45〜55歳前後)にわたる「女性ホルモン(エストロゲン)」の大きな減少期です。

エストロゲンには以下のような働きがあります:

  • 体温調節や自律神経の安定
  • コレステロール・脂質代謝の調整
  • 骨の健康維持
  • 粘膜の潤いを保つ
  • 免疫力の維持

つまり、エストロゲンの減少は自律神経の乱れや免疫力の低下、肌の乾燥、疲労感、気分の落ち込みなど、多岐にわたる影響を及ぼします。

更年期におすすめの栄養素と食材

① エストロゲン様作用を持つ食材

既に取り入れておられる大豆製品(イソフラボン)は、更年期の代表的な味方です。
植物性エストロゲンとも呼ばれる「イソフラボン」は、女性ホルモンのような働きをしてくれるため、ホットフラッシュ・情緒不安定・骨量低下の予防にも効果的です。

  • 納豆、豆腐、豆乳、味噌、おから など

    ➤ 1日1〜2回の摂取がおすすめ(大豆イソフラボン換算で1日40〜50mgが目安)

また、ざくろにはエストロゲンに似た成分(エストロン)が含まれるため、ざくろ酢やジュースもよい選択肢です。

②免疫力を高める栄養素と食材

更年期は免疫細胞の活動も弱まりやすく、風邪や感染症にかかりやすくなります。
免疫力を支える栄養素と、それを含む食材をご紹介します。

■ ビタミンC・E・A(抗酸化ビタミン)

  • ビタミンC:パプリカ、ブロッコリー、キウイ、いちご、柑橘類
  • ビタミンE:アーモンド、かぼちゃ、アボカド、オリーブオイル
  • ビタミンA(β-カロテン):にんじん、ほうれん草、小松菜、かぼちゃ

これらは、細胞の老化を防ぎ、粘膜のバリア機能を守るために重要です。

■ タンパク質

  • 魚(特に青魚):サバ、イワシ、さんま → DHA・EPAで抗炎症効果も
  • 鶏むね肉・卵:疲労回復に役立つ
  • 大豆製品:前述の通り、ホルモンバランスにも◎

免疫細胞も「たんぱく質」から作られます。更年期以降は筋肉量も減りやすいため、毎食意識して取り入れましょう。

③ 腸内環境を整える食材

腸には免疫細胞の約7割が集まるとされ、「腸活」はそのまま「免疫力アップ」につながります。

  • 発酵食品:納豆、味噌、キムチ、ぬか漬け、ヨーグルト
  • 食物繊維:ごぼう、れんこん、きのこ、海藻類、もち麦、玄米
  • オリゴ糖:バナナ、玉ねぎ、はちみつ

特に、「発酵食品+食物繊維」の組み合わせは、腸内の善玉菌を増やす黄金コンビです。

④ 自律神経を整える栄養素

  • マグネシウム:玄米、アーモンド、納豆、干しひじき
  • カルシウム:小魚、小松菜、豆腐、ヨーグルト
  • ビタミンB群:豚肉、卵、レバー、納豆、玄米

これらの栄養素は、自律神経の安定に関わり、イライラ・不眠・疲労感の緩和に役立ちます。

食べ方のポイント

  1. 「まごわやさしい」食材を1日1回意識

     → ま(豆類)ご(ごま)わ(わかめ)や(野菜)さ(魚)し(しいたけ等)い(いも類)
  2. 「噛むこと」を大切に

     → 消化を助け、満腹感や自律神経の安定にもつながります。
  3. 冷え・ストレス・睡眠不足をためない食生活

     → 冷たい食事を控える、夕食は就寝2〜3時間前に、を意識してみてください。

イソフラボンやざくろを取り入れていらっしゃるのは素晴らしい選択です。
そして、ここにさらに「腸内環境」「抗酸化栄養素」「たんぱく質」を意識した食材をバランスよく加えていくことで、より一層体調は整いやすくなります

最後に

更年期は、身体が「新しいリズム」へ移っていく時期。
焦らず、自分のペースで、日々の食事を見直すことが、長く元気に過ごすための土台になります。
ご自身をいたわりながら、栄養の力を上手に取り入れていきましょうね。

<本記事の回答者>

山本瑠美

管理栄養士

所属:株式会社ファミワン

保育園、老人ホーム、病院での勤務経験を活かし、0歳~高齢者の食を支援しています。食事は「生きる土台」、大切さはわかっていても、乱れたり習慣を変えることが難しい場合も。まずは完璧を目指すのではなく、個人の嗜好やライフスタイルに合わせた提案を心がけています。食べることや栄養の大切さを、わかりやすく楽しくお伝えします。


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