イライラストレスと薄毛…更年期治療でなんとかなる?【お悩み相談室】

更年期の症状でイライラや寝つきの悪さが続き、ストレスのせいか薄毛の進行も気になっているという50代女性からのご相談です。ネットでは様々な情報が錯綜し正しい情報がわからないというお悩みも。
更年期治療の選択肢やセルフケアの方法、薄毛との関係について、助産師がお答えします。
50代に入り、更年期のせいかイライラすることが増えてきました。夜も遅くまでPC作業をするためか、寝つきも悪くてなかなか疲れが取れず、ストレスが溜まっています。
30代の頃から薄毛は少しずつ気になっていたのですが、最近はさらに進行しているようで、そのことも大きなストレスになっています。
仕事に影響が出そうで心配なので、更年期の治療も考えているのですが、ネットで調べると色んな情報があって何が正しいのかわからず途方に暮れます。
更年期の症状も薄毛も、少しでも良くする方法はあるのでしょうか?
(50代、女性、ハンドルネーム:YOYO、職種:クリエイティブ)
目次
最初に
YOYOさん ご相談ありがとうございます。
更年期症状のようなイライラすることが多く、寝つきの悪い日もあり、ストレスが溜まっているのですね。そして、薄毛の進行も感じておられ、さらにストレスが加わっている状況なのですね。
今回は更年期症状に対する治療について、どんなものがあるかを説明し、YOYOさんが今よりも楽に過ごせるようになるために少しでも治療を前向きに検討するきっかけになれば幸いです。
イライラ・不眠…つらい更年期に必要なケアとは?
更年期症状と一言でいっても、YOYOさんのようなイライラ、不眠、気分の落ち込み、集中力の低下などの精神症状や、ホットフラッシュ、発汗、動悸、疲労感などの身体症状など、症状やその程度は人それぞれ違い、日常生活に支障をきたすような状態を更年期障害といいます。
女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量の減少が主な原因ですが、加齢によるからだの変化や、精神的・心理的な要因、家庭や職場などでの社会的要因などが複合的に影響して、更年期障害を発症すると考えられています。
そのため、更年期症状がある場合、こころとからだのバランスを整えることがとても重要なポイントになります。
バランスを整えるためには、規則正しい生活・栄養バランスのとれた食事・適度な運動・良質な睡眠が望ましいですが、忙しい日々の中でこれらを実践するのは実際には難しいですよね。
特に、今は症状として「寝つきの悪さ」も出ているので、寝不足によるイライラや集中力の低下など悪循環につながっているのではないかと思います。
そのため、まずは心身を休めるリラクゼーションが良いかと思います。
YOYOさんは何をしている時がリラックスできますか?
好きな香りや音楽はありますか?
ご自分の「好き」に触れる時間を意識的に取ると、ご自分の癒しにつながると思いますので、少し考えてみてください。
また、セルフケアで症状が改善しない場合や、症状がひどく日々の生活に支障をきたしている場合などは、薬物療法を検討します。
更年期の薬物療法にはどんな種類がある?
薬物療法にはホルモン補充療法(HRT)、漢方薬、向精神薬の大きく3つに分けられます。
1.ホルモン補充療法(HRT)
通常、エストロゲンとプロゲステロン(黄体ホルモン)の2種類の女性ホルモンを組み合わせて投与します。
ホットフラッシュやほてり・のぼせ・発汗などの血管が開いて熱を放出するときの症状に対して特に有効です。
エストロゲンの減少に伴い、更年期を過ぎると心臓・血管の病気や骨粗鬆症のリスクが高まりますが、HRTはこれらの予防にも有効といわれています。
HRTで用いるホルモン剤には、飲み薬や貼り薬、塗り薬、膣剤など、数種類ありますので、診察により他の疾患がないことを確認した上で、状態やライフスタイルなどをふまえて用いるタイプを検討されると思います。
2.漢方薬
いくつもの生薬を組み合わせて作られた漢方薬ですが、症状や体質(証)に合わせた漢方薬によって、からだとこころの乱れをトータルで回復することを目的とします。
更年期障害で処方されるお薬にも数種類ありますので、ご自身の症状や体質をしっかりと伝え、お薬を選択してもらいましょう。
3.向精神薬
気分の落ち込み、意欲の低下、イライラ、不眠など、こころの症状(精神症状)がツラい場合は、抗不安薬、抗うつ薬、睡眠薬など向精神薬が用いられます。
新しいタイプの抗うつ薬である選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)やセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)は、副作用が少なく、ほてりや発汗といった症状にも有効です。
更年期と薄毛の関係は?治療との相乗効果も
そして、気にしておられる薄毛についてですが、女性の加齢による薄毛は、女性ホルモンの低下によるホルモンバランスの乱れ、ストレスや生活習慣など様々な原因による血行不良が主な原因と言われています。
つまり、直接的ではないものの、現在の更年期症状に対するセルフケアを実践されたり、治療を受けられることは、薄毛の緩和につながる可能性があります。
もちろん、更年期症状に対するセルフケアや治療と並行して、皮膚科で専門的な治療を相談されることも良いと思います。
最後に
ネット上で様々な情報が得られる半面、その情報の正しさを判断することが難しい場合もあり、よけいに不安になることもありますよね。
今回お伝えする内容によって、YOYOさんがご自身の更年期症状に対して何らかの行動をしてみよう、という想いになっていただければ嬉しいです。
<参考文献・出典>
公益社団法人 日本産婦人科学会
▶更年期障害について:https://www.jsog.or.jp/citizen/5717/
公益社団法人 日本皮膚科学会
▶男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版:https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/AGA_GL2017.pdf
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