プラセンタ注射に惹かれるけど迷う…更年期を少しでも楽にしたい【お悩み相談室】

更年期
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今回は、寝つきの悪さや気分の落ち込みなど、更年期のような症状に悩む40代女性からのご相談です。ネットで話題のプラセンタ注射に興味はあるものの、効果や副作用、やめ時の不安で踏み切れないとのこと。

プラセンタ注射のメリット・デメリットや注意点について、薬剤師がやさしく解説します。

ここ1年ほど、寝つきが悪かったり、疲れがとれなかったり、気分が落ち込んだりと、いわゆる更年期のような症状が気になっています。育児とパートの両立で毎日があっという間に過ぎるなか、同じく更年期症状に悩む同世代の同僚から「プラセンタ注射が気になっている」と聞いて私も気になりだしました。
ただ、ネットでは「体調がよくなった」「肌ツヤが出た」とすごくいいという方もいれば、「危険」「やめたら体調が悪化した」という声もあって、正直なところ迷っています。やめたときにシミが増えたり、体調が崩れたりするのでは?と思うと踏み切れません。
更年期を過ぎたらやめられるのか、ずっと続けなきゃいけなくなるのかも気になります。
プラセンタ注射のメリット・デメリットを教えていただきたいのと、実際に使った方がどうだったのかも伺える範囲で教えていただけるとうれしいです。

(40代、女性、ハンドルネーム:ぽぽmon、職種:販売・サービス)


最初に

ここ1年ほど、寝つきが悪かったり、疲れが取れにくかったり、気分が落ち込みやすかったりと、更年期のような症状が気になっているとのことですね。
育児とパートを両立しながら毎日をやりくりしている中で、自分の体調の変化に気づく時間もあまりなかったのではないでしょうか。

そんな中、同じ世代の同僚の方からプラセンタ注射の話を聞き、「自分も試してみようかな」と思い始めるお気持ち、とても自然だと思います。
ただ、ネットでは「体調がよくなった」「肌ツヤが出た」と良い評判もあれば、「危険」「やめたら体調が悪化した」という情報もあり、正直迷ってしまいますよね

プラセンタを始めるとやめられなくなるのではないか、シミや体調が悪化するのでは、と不安になるお気持ちもよくわかります。

まずは、その迷いや不安を整理することが大切です。

プラセンタ注射を始める前に知っておきたいこと

例えば、寝つきや疲れの感じ方が少し改善され、日常生活での気分の落ち込みが軽くなると、少し過ごしやすくなるかもしれませんね。
更年期の症状は生活リズムやストレスの影響も受けやすく、体調を整えられると育児や仕事の負担も少し楽に感じられることがあります。

また、知っておくと安心できる情報としては、プラセンタ注射には効果の感じ方に個人差があること、副作用や制限があること、やめた場合は元の状態に戻るだけで、大きな悪化にはならないことです。
こうしたことを知っておくと、始めるかどうか、どのくらい続けるかを考える際に役立ちます。

さらにプラセンタ以外にも、更年期障害に対してはホルモン補充療法や漢方薬など、体調に合った選択肢があります。
医師に相談の上で、自分に合った方法を選べると安心ですよ。

プラセンタ注射とは?効果と保険適用のポイント

そもそもプラセンタ注射とは、胎盤から抽出した成分を使った注射で、体のバランスを整える作用が期待されています。
日本では2種類のプラセンタが保険適用になっていますが、「メルスモン」が1956年から更年期障害や乳汁分泌不全の治療薬として使われており、慢性肝疾患による肝機能障害がある方には「ラエンネック」が保険適用になります。

メルスモンは、ホルモンのバランスを整えたり、自律神経の働きを調整したりする作用があるため、ほてり・のぼせ・イライラなどの更年期症状を和らげる効果が期待できます。


保険適用となるのは、

  • 更年期障害やホルモンバランスの乱れで悩んでいる方
  • お肌の代謝を整えたい方
  • シミや肌トラブルを改善したい方

効果の感じ方には個人差があるため、初回から実感する方もいれば数回繰り返して少しずつ変化を感じる方もいます。
また効果は数日〜1週間程度で消えてしまうため、週1〜2回の通院を目安に続ける必要があります。


注意点としては、プラセンタ注射を受けると献血や臓器提供ができなくなることがあること、また注射部位の腫れや赤み、まれに蕁麻疹やアレルギー反応が出る可能性があることです。
注射をやめた場合は、得られていた効果がなくなるだけで、症状が悪化するわけではありません。

更年期症状を和らげるためには、プラセンタ注射に限らず、漢方薬や生活習慣の工夫も選択肢になります。
まずは医師に相談し、自分の症状や生活に合った方法を一緒に考えることが大切です。

最後に

プラセンタ注射は、更年期の症状を和らげたり肌の調子を整えたりする効果が期待できますが、効果の感じ方には個人差があり、また効果を感じ続けるには継続して通院する必要があります。

また、献血や臓器提供の制限や副作用の可能性も知っておくことが大切です。


大切なのは「自分に合った方法で、無理なく体調を整えること」です。

プラセンタ注射も選択肢のひとつとして考えつつ、漢方薬や生活習慣の工夫など、幅広く検討することで安心につながります。
まずは医師に相談して、自分の症状や生活に合った方法を一緒に考えてみてくださいね。


<参考文献・出典>

メルスモン製薬株式会社
▶医療用医薬品 メルスモンについて:https://melsmon.co.jp/medical-personnel.html

<本記事の回答者>

北里大学薬学部卒業後、総合病院産科病棟で勤務した経験をもとに、主に妊活~授乳期にかけての薬の飲み合わせやお子さんの予防接種についてのご相談を専門にしています。私たちの日常のそばにある薬だからこそ、正しく使っていただきたい、そんな思いで回答しております。薬について気になることがあれば、お気軽にご相談ください。


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