「最近、何をしても疲れる」男性更年期かな?【お悩み相談室】

更年期
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疲れやすく、息切れや物忘れ、性欲の低下、日々の楽しみの喪失感などが続いているという50代男性からのご相談です。
年齢のせいなのか、それとも更年期なのか――不安を感じながらも、どう過ごせばよいのか分からないとのこと。

今回は、男性更年期の特徴や受診の目安、更年期への向き合い方や生活習慣のポイントについて、臨床心理士がアドバイスします。

更年期の男性です。日々が過ごしにくくなり、困ってます。
楽しみを次々に失って、困難なことが多くなりました
とても疲れやすいです。時々イライラすることもあります。
階段を上っただけで疲れて、息が切れます。
睡眠不足になると物忘れがあります。性的欲求が微塵もなくなりました。
これは、男性の更年期の症状でしょうか?
過ごしやすくなるには、どのようにしたらよいですか?

(50代、男性、ハンドルネーム:くじら、職種:自営業)


最初に

「楽しみを次々に失って」「とても疲れやすくなった」とのこと。
これまで当たり前のようにできていたことが、急にしんどく感じられる…その違和感や戸惑いの中で、どう過ごせばいいのか分からなくなってしまうお気持ち、とてもよく伝わってきました。

自営業ということですから、日々の責任もご自身にかかっておられると思います。
「気を抜ける暇がない」「自分が頑張らないと回らない」と、心と体に鞭打つようにして続けてこられたのではないでしょうか
そんな中で、疲労感、息切れ、物忘れ、そして性欲の低下といった変化が重なれば、「自分はどうなってしまったのか」と不安になりますよね。

でも、これらの症状は決して「意志が弱った」せいでも、「歳を取ったから仕方ない」と片付けるべきものでもありません
むしろ、心身が丁寧に「メンテナンスしてほしい」と訴えているサインなのです。

男性の更年期(LOH症候群)とは?

男性の更年期障害(LOH症候群)は、40代後半~50代前後で徐々に現れることが多いとされています。
女性の更年期と同じように、加齢によって性ホルモン(テストステロン)が減少することで、身体的にも精神的にもさまざまな変化が起こります

ただ、症状の出方は人それぞれで、くじらさんのように「疲れ」「意欲の低下」「怒りっぽさ」「性欲の減退」など、メンタル面と身体面の両方にまたがって現れるケースも珍しくありません。

これからの方向性としては、「背景をきちんと調べて安心する」ことと、「暮らしの中に小さな快適さを取り戻す」ことが大事です。

受診するならどこ?

病院を受診するなら、まず「泌尿器科」や「男性更年期外来」をおすすめします。
血液検査でホルモン値(テストステロンなど)を調べ、必要に応じてホルモン補充療法が行われることもあります。

心身の疲労が強い場合には、心療内科やメンタルクリニックと併行して診てもらうのも良い選択です。


もし医師に相談するのが不安な場合は、地域のメンズヘルス外来や保健センターなどで情報を得るのも一つの方法です。
最近は「男性の更年期外来」を設ける病院も増えており、恥ずかしいことではありません

「昔の自分に戻る」より「今の自分を楽にする」視点を

そしてもうひとつ、日常生活で「自分の快の感覚を回復すること」

更年期の時期は、脳も体もエネルギーを節約モードに入るため、以前のような「ワクワク感」や「勢い」は感じにくくなります。
だからこそ、無理に“昔の自分”を取り戻そうとせず、「今の自分に心地よいもの」を探すほうが現実的です。

たとえば、

疲れたら昼寝をする、
音楽を聴く、
温泉に行く、
仕事を少し減らす――

そんなささやかなことでも、ホルモンバランスを整える助けになります。
「何もしない時間」を怖がらないことも、回復の鍵です。

更年期を楽に過ごすための生活習慣の見直しポイント

男性更年期は、ホルモン低下に加えて、ストレス・睡眠不足・過労などが拍車をかけることが知られています(※)。
そのため、治療と同時に生活習慣の見直しがとても重要です。

・睡眠
眠れないときは「寝よう」と頑張らず、いったん起きて温かい飲み物をとる、軽いストレッチをするなど“リセット”を試みましょう

・運動
激しい運動でなくても、1日20分のウォーキングや軽い筋トレでテストステロン分泌が促されます。

・食事
タンパク質(肉・魚・豆類)と亜鉛(牡蠣、ナッツなど)を意識的に。
これらは男性ホルモンの材料になります。

・ストレスケア
人と会う、趣味を続ける、愚痴を言う――どれも立派なケアです。

最後に

最後にひとつだけ。

更年期は「終わり」ではなく、「次のステージの入口」です。

これまで頑張りすぎてきたエネルギーの使い方を見直し、心地よい生き方にシフトしていくチャンスでもあります。

くじらさんの毎日に、少しずつでも過ごしやすい時間が戻ってきますように。


<参考文献・出典>※以下の文献を参考にしています

日本泌尿器科学会
▶LOH症候群(加齢男性・性腺機能低下症):https://www.urol.or.jp/lib/files/other/guideline/44_loh.pdf

<本記事の回答者>

戸田さやか

公認心理師/臨床心理士/生殖心理カウンセラー/がん・生殖医療専門心理士/ブリーフセラピストシニア

所属:株式会社ファミワン

「妊活や性の悩み、子育てや働き方のことまで、「誰に相談していいかわからない」テーマも歓迎しています。どんな内容でも大丈夫。安心してご相談ください。臨床心理学の確かな知識と技術を活かし、原因探しや悪者探しではなく、あなたにとってのゴールを発見するお手伝いをさせてください。」


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