「見て見て!」がイライラの引き金に。更年期の影響でしょうか【お悩み相談室】
小学3年生の息子さんにイライラしてしまい、自分でも驚いたという40代女性からのご相談です。
普段は優しく接しているつもりなのに、どうしても感情を抑えられず自己嫌悪に。
「更年期の影響もあるのかも」と不安を感じているそうです。
今回は、イライラが爆発しそうなときの気持ちの切り替え方や、更年期に伴う感情の揺れとの向き合い方について、臨床心理士がアドバイスします。
普段は子どもに優しく接するよう心がけ、楽しく過ごしているつもりなのですが、今日はどうしてもイライラが止まらず、爆発しそうになりました。小学3年生の息子が「見て見て!」と何度も話しかけてきて、それがどうしても鬱陶しく感じてしまい、自分でも驚くほどイライラしてしまいました。
子どもは悪くないのに、どうしてここまで感情が高ぶるのか、自分でもわかりません。私自身43歳で、もしかしたら更年期の影響もあるのかもしれないとも思います。
この先、こういう感情が頻繁に起きてしまったらどうしよう…と不安です。こんなとき、どのように気持ちを切り替えたり、落ち着けたりすればいいのでしょうか。
(40代、女性、ハンドルネーム:みわ、職種:事務・オフィスワーク)
最初に
日々お子さんと丁寧に関わろうとして、がんばっておられるのですね。
小学3年生というと、まだ甘えたい気持ちと同時に自立心も芽生える時期。
「見て見て!」と何度も声をかけてくるのは、親に自分を認めてほしいサインでもあります。
頭ではわかっているのに、その瞬間、どうしてもイライラしてしまう——そのギャップに自己嫌悪してしまうお気持ち、よく伝わってきましたよ。
誰だって、常に優しい親ではいられません。
むしろ「優しくしたいのにできない」と気づける時点で、みわさんはとても誠実です。
もし本当に“冷たい母親”なら、そんなふうに悩まないでしょう。
育児はマラソンのようなもので、日々の疲れやストレスが積み重なり、ふとした刺激で爆発することがあります。
息子さんが悪いわけでも、みわさんが悪いわけでもなく、ただ“容量オーバー”が起きただけなんです。
スマホもメモリがいっぱいになると動作が重くなりますよね。それと同じです。
「怒らないように」より「今なにが起きてる?」に注目
もし今後また同じようにイライラの波が来たら、「感情を抑えよう」と頑張るよりも、「今、自分の中で何が起きているか」を観察してみましょう。
たとえば、
「頭が熱くなってきた」
「肩に力が入ってる」
「呼吸が浅くなってる」と体のサインに気づくことから始めます。
これは“感情の温度計”を持つようなものです。
怒りが沸点に達する前に、「ちょっと沸いてきたな」と気づけるだけで、衝動的な爆発を防ぐ第一歩になります。
そして、息子さんに「ちょっと待ってね」と一言伝えて、その場を離れるのも立派な対応です。
リビングを出て、洗面所で顔を洗う、深呼吸する、冷たい水を触る——たった数十秒でも「立ち止まる」ことが、気持ちの切り替えにつながります。
また、「自分を責めない言葉」を持っておくと心が楽になります。
「私、いま疲れてるだけ」
「悪いのは私でも息子でもなく“イライラ”という現象」
——こう言葉にしてあげるだけで、感情が少し落ち着くことがあります。
些細なことで怒りやすくなるのはホルモンの影響かも
更年期は、ホルモンの変化によって怒りやすさや涙もろさなど、感情の波が強くなることがあります。
「これまでと違って、些細なことでイライラするようになった」「気分の波が読めない」という人も少なくありません。
そんな時は、婦人科でホルモン値を測る検査を受けてみるのもひとつの方法です。
医師のもとで漢方薬やホルモン補充療法などを取り入れることで、気持ちが安定することもあります。
怒りの裏にある本当の気持ちを見つめる
また、心理学的には、怒りの感情は“二次感情”とも呼ばれ、実はその下に「認めてもらえなくて悲しい」「ひとりぼっちのようで寂しい」「不安」「自分を責める気持ち」などの一次感情が隠れていると言われています。
一次感情が刺激されると、怒りという二次感情が湧いて、その結果、怒るとか怒鳴るといった行動が出てくるのです。
息子さんに「見て見て!」と言われたとき、もしかしたら「やらなきゃいけないことを中断されるストレス」と、「思うようにできない自分への苛立ち」が重なっていたのかもしれません。
それは“子どもが悪い”というより、“頑張りすぎているお母さんのSOS”なんです。
怒りを感じることがあったら、あとで「私は本当は何に傷ついたんだろう」と振り返ってみるのも大切です。
完璧な対応なんて誰にもできません。
大切なのは、「今日は無理だったけど、次はもう少し落ち着けたらいいな」と思えること。
そうやって少しずつ、自分を許す力を育てていくことが、子どもの安心にもつながります。
最後に
いつも優しくいてあげたいと思っているみわさんは、とっても素敵なお母さんだと思いますよ。
どうか頑張っている自分を、ほめてあげてくださいね。
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