40代半ばの夫が急に元気がない…男性更年期の症状でしょうか?【お悩み相談室】

更年期
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些細なことでイライラしたり、無気力になったりする40代半ばの夫を見て「これって男性更年期?」と不安になったという50代女性からのご相談です。
家族として支えたいけれど、どう関わればよいかわからないとのこと。

今回は、男性更年期(LOH症候群)とストレスの見分け方、そして妻としてできる具体的なサポートの仕方について臨床心理士がアドバイスします。

最近、夫の様子が明らかに変わってきた気がします。些細なことでイライラしたり、急に無気力になったり、夜も眠れない日があるようです。これって男性更年期障害の症状なのでしょうか?それともストレスによる症状なのでしょうか?
まだ40代半ばの夫です。ネットで男性更年期を検索すると、うつ、不眠、疲労感、性欲低下など、心当たりがあることばかり。最近は家族との会話も減ってきて心配です。仕事のストレスもあるようで、気力が続かないように見えます。

本人は「年のせい」と言いますが、私としては何かできることはないかと模索中です。夫には酷ですがまだまだ働いてもらわないといけませんし…。
今は夫の体調を気遣いながら、食事を一汁三菜の和食メニューにしたり、気分転換に一緒に歩こうよと誘ったりしていますが、他にした方がよいことがあれば教えてください。
専門のクリニックを受診させるべきかも悩んでいます

(50代、女性、ハンドルネーム:みっちょん、職種:主婦)


最初に

丁寧にパートナーさんの様子を観察し、支えようとしておられるのですね。

「食事を整えたり、一緒に歩こうと誘ったり」と、すでにとても素敵なサポートをされていると感じました。

パートナーの変化に気づいても、つい「本人が気づくまで黙っていよう」と距離を取る方も多い中で、思いやりの行動を続けていることは本当に立派なことです。

「夫が病気かも」と決めつけない視点を

それにしても、「些細なことでイライラ」「急に無気力」「眠れない」——この変化を目の当たりにすると、やっぱり心配になりますよね。

みっちょんさんがネットで「男性更年期」と調べたのも自然な流れだと思います。

ただ、ここで少し立ち止まっておきたいのは、「夫が病気かもしれない」と決めつけない視点です


人は、自分の“調子の変化”を他人から「病気かも」と指摘されると、どうしても身構えてしまいます。

「オレ、そんなにヤバいの?」とプライドが刺激されたり、「治される側」「迷惑をかけている人」になったようで居心地が悪くなったり

でも、その前にできることがあるんです。

AMSスコアで“今の自分”を見える化してみる

まずおすすめしたいのは、一緒に考える姿勢です。

「あなた、更年期かも」よりも、「最近、疲れやすいのかな」「眠れない日が続いてるけど大丈夫?」と、症状そのものに寄り添う言葉がけが大切です。

そして、もし本人も「ちょっと変だな」と感じているようなら、AMSスコア(男性更年期障害質問票)を試してみるのも良いでしょう。

これは男性更年期の自己チェックシートのようなもので、簡単にネットでもできます。

ちなみに、女性の場合はSMI問診票というものもあります。
どちらも今の状態を“見える化”するツールとして、とても有用です。


「どこが辛いのか」を自分で把握できるだけでも、ご本人にとっては大きな第一歩です。

大切なのは、「病名をつける」ことより、「体の声を一緒に聞く」こと。

男性更年期の症状は、ホルモンの変化に加えて、ストレスや過労、睡眠不足なども複雑に絡みます。

だからこそ、病院へ行く・行かないの二択ではなく、「自分のコンディションを知る」から始めてみるのがおすすめです。

受診先の選び方。まずは相談してみること

もしAMSスコアで中〜高スコアが出た場合は、泌尿器科や男性更年期外来が適切な窓口です。

一方で、仕事のストレスや気分の落ち込みが強い場合は、心療内科やメンタルクリニックも選択肢になります。

どちらにしても、“まずは相談してみる”ことが何より大事

そのための下準備として、AMSスコアはとても便利なツールです。

家庭でできる静かな寄り添いとは

また、家庭でできるケアとしては、みっちょんさんがすでに実践している「一汁三菜の和食」「ウォーキングに誘う」で十分です。

無理にテンションを上げようとせず、「一緒にテレビを見る」「今日は早めに寝ようか」といった“静かな寄り添い”が心身の回復に役立ちます

もうひとつ大切なのは、コミュニケーションの“質”を焦らないこと

男性は、体調が落ちているときに「話し合おう」と言われると逃げたくなります
無理に会話を増やそうとせず、沈黙の時間も“安心できる時間”と考えてみてください

「無言で隣を歩く」——それも立派な会話です。

最後に

そして、みっちょんさんご自身も疲れすぎないように。
“更年期の彼を支える妻”という立場に無意識に力が入りすぎてしまうことがあります。

彼を気遣うあなたの優しさが、あなた自身にも向きますように
どうか、少し肩の力を抜いて過ごしてください。

更年期は“終わりの時期”ではなく、“次の関係を作る時期”でもあります。
お二人が、この変化の時期を「新しいペースを探す時間」として、少しずつ歩んでいけることを願っています。

<本記事の回答者>

戸田さやか

公認心理師/臨床心理士/生殖心理カウンセラー/がん・生殖医療専門心理士/ブリーフセラピストシニア

所属:株式会社ファミワン

「妊活や性の悩み、子育てや働き方のことまで、「誰に相談していいかわからない」テーマも歓迎しています。どんな内容でも大丈夫。安心してご相談ください。臨床心理学の確かな知識と技術を活かし、原因探しや悪者探しではなく、あなたにとってのゴールを発見するお手伝いをさせてください。」


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