更年期に入ってめまいや息切れが…貧血が原因でしょうか？【お悩み相談室】

更年期

2025.12.23

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外出時にふらつく、階段で息が切れる、視界が白くなる…。
「貧血かな？」と工夫しても改善しきらず、頻度が増えて不安になっているという50代女性からのご相談です。
更年期は自律神経の乱れから、立ちくらみや息切れが起きやすくなる時期。

今回は、考えられる原因の整理と、安心のために何を確認すべきかを助産師が解説します。

更年期に入ってから、外出や階段を上がったあとに立ちくらみが続くことが増えました。ときどき視界が白っぽくなったり、息切れがなかなか治まらなかったりします。

貧血かと思い、赤身やレバーを意識して食べ、温かい飲み物を増やすなど試していますが少しマシになったのかなぁ？程度です。

この前は、通勤途中の駅で動悸がして座り込んでしまい、周りにも心配をかけてしまいました。以前からたまに症状はありましたが最近は頻度が増えているので不安になっています。

（50代、女性、ハンドルネーム：金曜のヨル、職種：教育・保育・カルチャー）

最初に
更年期で起きやすい“ふらつき”の背景
貧血の原因はさまざまある
“更年期だし仕方ない”で片づけず、一度チェックを
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最初に

金曜のヨルさん　ご相談ありがとうございます。

更年期に入り、立ち眩みや息切れ、動悸など貧血のような症状が出てきているのですね。
既に意識して食事などで鉄分摂取を心がけておられるものの、思うほどの改善はみられず、たまにあった症状の頻度が増え、不安になられているのですね。

今回は更年期障害で起こるふらつきやめまいついて、またこれらの症状の他に考えられる原因などについて説明し、金曜のヨルさんが今後どうするのが良いか考えるきっかけになれば幸いです。

更年期で起きやすい“ふらつき”の背景

めまいやふらつきは、昔から更年期症状の１つとされてきましたが、実際にはその原因や病態はまだよくわかっていません。
しかし、更年期は女性ホルモンの分泌が急激に減少し、その影響で自律神経のバランスが乱れ、こころと身体の変化や様々な症状があらわれると考えられます。

また、女性ホルモンには、血管を保護・広げる作用があるため、女性ホルモンが急激に減少することで血管や血流に問題が生じ、めまい・立ち眩みを引き起こしている可能性があります。

貧血の原因はさまざまある

また金曜のヨルさんがご自身の症状から疑っている貧血については、いくつか種類があります。
今回は簡単な説明にとどめますが、原因によって対処・治療が異なりますので、注意が必要です。

＜鉄欠乏性貧血＞

最も一般的なタイプの貧血は鉄欠乏性貧血で、体内の鉄分が不足することによって起こります。
日本人女性の約10％がこの鉄欠乏性貧血だと報告されています。
鉄分不足は酸素の運搬能力を低下させ、その結果、疲労感、息切れなどが起こり、さらに進行するとめまいや心拍数の増加、集中力の低下などが起こります。

鉄分不足は、偏った食生活や月経・潰瘍やがんなど消化管からの出血などが原因となります。
消化管からの出血がある場合は、便の周りに血が付着し赤かったり、便に血液が含まれ黒くなる（タール便）ので、念のため排便時に確認されることをお勧めします。

＜巨赤芽球性貧血＞

巨赤芽球性貧血は、ビタミンB12や葉酸の欠乏により赤血球が正常に成熟できなくなることで発生します。
ビタミンB12や葉酸は、赤血球の細胞骨格を維持するのに必要な物質で、欠乏すると体内で新たに血液を造ることができなくなります。
胃炎によるビタミンB12の吸収不良や、過度の飲酒や低栄養による葉酸の摂取不足などが原因と考えられ、疲労感や息切れのほか、しびれや運動障害など神経症状があらわれます。

＜悪性貧血＞

悪性貧血は巨赤芽球性貧血のうち、ビタミンB12を吸収するのに必要な内因子という物質や、その内因子を産生する胃の壁細胞に対して自己免疫機能が働き、ビタミンB12が吸収できなくなるため起こります。
また菜食主義など極端な食生活や胃の全摘出・小腸疾患なども原因となりますが、何らかの疾患があったとしてもビタミンB12は体内に貯蔵できるため貧血に至るには数年かかるといわれています。

＜その他の貧血原因＞

また、慢性腎臓病や関節リウマチ、甲状腺疾患など慢性疾患が原因となって貧血が起こる場合や、再生不良性貧血や骨髄異形成症候群、血液腫瘍など血液疾患が原因となっている場合もあります。

鉄欠乏性貧血、飲酒や消化管出血、月経異常、ビタミンＢ群の不足による貧血、慢性疾患などが原因ではないことを除外した上で血液疾患を疑う場合が多いですが、中には原因不明とされる場合もあります。

このように貧血の原因は様々ありますので、まずは、現在起こっている立ち眩み、動悸・息切れが貧血によるものなのかを調べ、もし貧血によるものであった場合は、今度はその貧血の原因を調べ、その原因にあった治療を受けていただくようになります。
またその原因によっては、生活習慣の改善に関するアドバイスもいただけると思います。