更年期症状に市販薬は有効?HRT治療とどちらがいいのかわかりません【お悩み相談室】
今回は、更年期の気分の浮き沈みや体のだるさが強まり、薬を使うべきか迷っている50代の女性からのご相談です。サプリだけでは追いつかず、市販薬とホルモン治療のどちらが自分に合うのか判断できず不安を抱えているとのこと。
更年期の薬の種類や選び方、治療の考え方について、薬剤師がアドバイスします。
更年期に入ってから、気分の浮き沈みや体のだるさが強くなってきました。家事や仕事に集中できない日もあって、「薬を飲んだ方がいいのかな」と考えるようになっています。
これまではサプリやハーブティーで様子を見てきましたが、体の変化に追いついてない感じがします。市販薬で対応できるのか、それとも病院でホルモン治療などを受けるべきなのか、判断がつきません。
正直、薬に頼ることに抵抗もありますが、このままでは生活に支障が出そうで…。
更年期の薬にはどんな種類があるのか、使い分けや注意点を知りたいです。
(50代、女性、ハンドルネーム:セロ弾き、職種:事務・オフィスワーク)
最初に
更年期に入ってから、気分の波や体のだるさがこれまでより強くなり、家事や仕事に手が回らない日が増えてきたのですね。
「そろそろ薬を考えたほうがいいのか」と迷いながら、サプリやハーブティーだけでは少し物足りなさを感じている様子も伝わってきます。
生活に影響が出るほどの変化に戸惑いつつも、自分の体調を注意深く観察して対応しようとしている姿勢は、とても前向きで努力されている証拠です。
ここまで頑張ってきたことを少し立ち止まって整理する時間を持つことも、気持ちを落ち着ける一助になるかもしれません。
生活を楽にする“選択肢”を理解することから始めよう
今後の目標は「日常生活の負担を少し軽くして、心身のバランスが取りやすい状態をつくること」です。
そのためには、どの手段が自分に合いそうかを理解しておくことが重要です。
選択肢としては、HRT(ホルモン補充療法)、抗うつ薬(SSRIなど)、漢方薬、さらには市販のサプリがあります。それぞれの特徴や効果の出方を知ることで自分に合った方法を選びやすくなりますよ。
例えば、体のだるさやのぼせ、発汗、不眠といった症状が目立つ場合はHRTが有力な選択肢となります。
気分の落ち込みやイライラが精神的な症状がメインであれば、HRTだけでは十分でないこともあり、抗うつ薬が効果を示す場合があります。
漢方薬は体質改善を通して気分の安定に役立つことがありますが、効果が出るまでに時間がかかり、また体質との相性によっては実感できないこともあります。
こうした情報を整理しておくことで、主治医との相談も具体的に進めやすくなるでしょう。
更年期でよく選ばれるHRTのメリットと注意点
更年期の心身の変化は、卵胞ホルモン(エストロゲン)の低下が一因である可能性が指摘されています。
ホルモンの変化によって脳内のセロトニンが不足することで気分の落ち込みや抑うつ症状が出やすくなることがあると考えられています。
そのような場合に検討される治療のひとつが、HRT(ホルモン補充療法)です。
HRTは、体内で不足している卵胞ホルモン(必要に応じて黄体ホルモン)を外から補うことで、更年期症状を緩和する治療です。
具体的には、経口の錠剤、皮膚に貼るパッチ剤、ゲルやクリームの塗布などの方法があります。
HRTは、のぼせや発汗、不眠、気分の浮き沈み、関節痛、骨密度低下など、多岐にわたる更年期症状に対応できます。
効果は早ければ数日~1週間で感じられることもありますが、一般的には数週間~1か月ほどで実感しやすくなる場合が多いです。
副作用としては、不正出血や吐き気・乳房の張りなどが報告されていますが、HRTをしているからといって必ずがんリスクが上がるわけではありません。
開始時期によっては心血管疾患リスクに影響があることもわかっているため、迷いがある場合は主治医に相談すると安心です。
抗うつ薬・漢方・市販薬の使い分けをやさしく解説
気分の落ち込みやイライラが強い場合はHRTだけで改善しないこともあり、その場合は抗うつ薬(SSRI)が有効なため、婦人科や心療内科の受診を検討しましょう。
市販薬としては軽度ののぼせや疲労感の緩和が中心で、漢方薬(加味逍遙散、抑肝散など)は体質に合えば気分の安定に役立ちますが、根本的な改善には時間がかかる点を理解しておく必要があります。
生活面では、規則正しい睡眠、軽い運動、栄養バランスのよい食事が症状の安定を助けます。
また、「今日はここまでできた」と自分を認めることも、心身の負担を減らすうえで大切です。
最後に
まずは生活への支障やつらい症状を整理しながら、今のご自身に合った方法を少しずつ見つけていくことが大切です。
無理に我慢せず、必要に応じて医療の力を借りることも自然な選択です。
市販薬で様子を見たほうがいいのか、ホルモン治療などを検討したほうがいいのかは、症状の現れ方や体質によっても違ってきます。
だからこそ、まずは一度、専門家に相談してみてはいかがでしょうか。
今感じている不調を整理しながら、自分に合った治療やケアの方向性を一緒に考えてもらうことで、少し先が見えてくると思います。
<参考文献・出典>
一般社団法人 日本女性医学学会
▶ホルモン補充療法の正しい理解をすすめるために:https://www.jmwh.jp/pdf/hrt_guide_book.pdf
公益社団法人 日本産科婦人科学会
▶産婦人科診療ガイドライン-婦人科外来編2023:https://www.jsog.or.jp/activity/pdf/gl_fujinka_2023.pdf
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