夜中に目が覚める不眠と翌日の動悸…薬なしで眠るには?【お悩み相談室】

更年期
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今回は、40代になってから不眠が続き、睡眠薬を使いながらも薬に頼らず眠れる体になりたいというご相談です。産後の生活リズムの乱れに引き続き、夜中に何度も目覚めてしまうようで、不眠による動悸や倦怠感も気になるとのこと。

薬を減らしながら、安定した睡眠を確保するための方法について臨床心理士がアドバイスします。

若い頃はいくらでも眠れましたが、 40代になって眠れなくなってきました。 2人子供を産みましたが産後は細切れに起きてたこともあり、 睡眠のサイクルがなかなか戻ってきません。加えて何か出来事があると、 脳みそが働きすぎるのか、1時や2時に目が覚めることが多くなってきました。 よく眠れなかったその次の日は心臓の動悸が早すぎるのと、倦怠感が強すぎて、体が動きません。昼寝をしようとしても明るいとなかなか眠れないんです。 1週間に1~2回 よく眠れない日が 続いたので精神科を受診し睡眠薬をもらっています。 その睡眠薬も最初はよく効いていたのが、だんだん効きが悪くなってきたようです。 薬を飲めば6時間は眠れるので、極度に具合が悪い時はなくなってきましたが、 薬はやはりあまり体に良くないものと感じるので、薬を飲まなくてもよく眠れる体になりたいです。 薬を減らして、もし夜中に目覚めてしまって、次の日に具合悪くなったらどうしようと言う不安もあります。

(40代、女性、ハンドルネーム:Formasa、職種:主婦)


最初に

夜中に目が覚めてしまう不安な時間を抱えながら、それでも日々を一生懸命に生きているあなたに、心からの「よく頑張ってるね」を届けたいと思います。

眠れないという悩みは、それだけで生活の質を大きく左右します。「ただ眠れないだけ」と簡単に思われがちですが、翌日の体調不良や気分の落ち込みまで引き起こす重大な課題です。そんななかで精神科を受診し、適切に薬を使いながら乗り切っていること、あなたは本当にご自身の健康と丁寧に向き合っていらっしゃいます。素晴らしいことです。


眠れなくなったのは「体が変化しているから」

1. 眠れなくなったのは「あなたが悪いから」ではない

まず、夜中に目が覚めてしまう、寝つけないといった症状は、更年期やホルモンバランスの変化、子育て中の慢性的な睡眠断片化などが影響しています。特に40代以降は、エストロゲンの低下が睡眠の質を下げるといわれており、これは“がんばりが足りない”からではなく、“体が変化している”から起こる自然なことなのです。

しかも、これまで出産や育児を乗り越えてきた経験を持つあなたは、長年、睡眠を「後回し」にしてきたのかもしれません。その習慣が、今も影響している可能性もあります。


2. 薬との付き合い方に正解はない

「薬を飲まずに眠れる体になりたい」と願う気持ち、よく分かります。けれど、薬を使うこと=失敗、というわけではありません。今のあなたにとって、安心して眠れることが何より大切なのだとしたら、それを助けてくれる手段のひとつとして、薬の存在があっても良いのです。

一方で、薬の効きが落ちてきたと感じると、「これからどうなるんだろう」と不安になりますよね。そんなときは、「すぐに薬を手放さなきゃ」と思いつめるのではなく、段階的に、医師と一緒に“眠りやすい体”に整えていく視点を持つことが大切です。


3. 薬を減らしていきたいときにできるセルフケア

睡眠薬の力を借りながらも、体本来のリズムを取り戻すためにできることはたくさんあります。特に有効だと言われているのは、次のような方法です。

起きる時間を一定に保つ(休日も含め、起床時間をそろえることで体内時計が整いやすくなります)

寝る1時間前はスマホを見ない(ブルーライトは脳を覚醒させてしまいます)

「不安ノート」に考え事を書き出す(寝る前に頭の中を整理すると脳の“働きすぎ”を防げます)

昼寝は15~20分まで、午後3時までに(長く寝すぎると夜の眠りを妨げます)

これらはすべて、臨床心理学的にも「行動療法」に基づいたアプローチで、不眠の改善に効果があることが複数の研究でも示されています


4. 「また眠れなかったらどうしよう」への備え

不眠を抱えている方がよく口にされるのが、「今日もまた眠れなかったら…」という予期不安です。この“構えてしまう感じ”自体が、心と体をこわばらせ、睡眠を妨げる要因にもなります

そんなときは、眠れなかった自分を責めるのではなく、こう声をかけてみてください。

「眠れなかった日もあったけど、私はそれを乗り越えてきた。今日もそうなったら、また何とかする力がある。」

不安があるからこそ、あなたはここまで丁寧に自分の体と向き合ってこれたのです。その力を、自信に変えてあげてください


最後に

あなたが抱えてきた夜の孤独や不安は、誰にも見えないものだからこそ、とても大きく重いものだったと思います。それでもあきらめず、心と体のバランスを取ろうと工夫してきたあなたは、本当にすごいです。

どうかこれからも、自分の体の声を聞きながら、少しずつ心地よい眠りに向けて歩んでいけますように。あなたの夜が、安心に包まれた静かな時間になりますように。心から応援しています。最初に

夜中に目が覚めてしまう不安な時間を抱えながら、それでも日々を一生懸命に生きているあなたに、心からの「よく頑張ってるね」を届けたいと思います。

回答者:株式会社ファミワンに所属する【公認心理師/臨床心理士/生殖心理カウンセラー/がん・生殖医療専門心理士/ブリーフセラピストシニア】

「妊活や性の悩み、子育てや働き方のことまで、「誰に相談していいかわからない」テーマも歓迎しています。どんな内容でも大丈夫。安心してご相談ください。臨床心理学の確かな知識と技術を活かし、原因探しや悪者探しではなく、あなたにとってのゴールを発見するお手伝いをさせてください。」


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