生理中に集中力が続かず、仕事もミスばかりです【お悩み相談室】

今回は生理中に集中力が続かず、気持ちここにあらずでミスが増え、注意を受けてしまうという20代の女性のお悩みです。またご自身で周りの方に相談しても同じ悩みを抱えている方がおらず、誰にも分かってもらえないこともつらいそうです。
生理との付き合い方について、臨床心理士がお答えします。
生理になると仕事にまったく集中できません。集中力がすぐに切れてしまいます。頑張ろうと気合いを入れてもすぐにほかのことを考えてしまったり、ぼーっとしてしまいます。ミスも多くなってしまうので、注意を受けてばかりです。ミスを受けたら、生理中の感情のコントロールの難しさから、ずっと落ち込んでしまいます。周りの友人や同僚に相談しても同じ症状で悩んでいる方がいなくて…誰にも分かってもらえないこともつらいです。集中力を少しでも続かせる方法はありますか。普段から自分にもできることがあるなら取り組んでみたいです。
(20代、女性、ハンドルネーム:101、職種:IT・エンジニア)
目次
同じ症状で悩んでいることは珍しくない
生理になると仕事にまったく集中できず、頑張ろうと思ってもすぐに気が散ってしまう。ミスが増えて注意を受けるたびに落ち込んでしまう——あなたのつらさ、よく伝わってきました。
周りの友人や同僚に相談しても、同じ悩みを持っている人がいないと、「私だけなの?」と不安になりますよね。でも、安心してください。このような症状は決して珍しいものではありません。
集中力が落ちる原因と、改善のためにできること
では、なぜ生理中に集中力が落ちるのか、そして少しでも改善するためにできることを一緒に考えていきましょう。
1. なぜ生理中に集中力が低下するの?
まず、「いつも通りではいられない私」を責める必要はまったくありません。生理中に集中力が落ちるのには、科学的な理由があるのです。
<ホルモンの変動が影響>
生理前から生理中にかけて、エストロゲンとプロゲステロンという女性ホルモンが大きく変動します。生理前はプロゲステロンの分泌が増加し、脳内のセロトニンという神経伝達物質の活動が抑制されます。すると、気分の落ち込みやイライラが生じやすくなるのです。
<貧血気味になることも>
生理中は鉄分の消費が増え、軽い貧血状態になることがあります。血流が脳に十分に届かないことで、頭がぼーっとする感じが強くなることも。
<睡眠の質が低下しがち>
生理中の腹痛や体温の変化で夜中に何度も目が覚めてしまうことはありませんか? 睡眠の質が下がると、脳のパフォーマンスも低下しやすくなります。
つまり、あなたの集中力低下は「意志の問題」ではなく、ホルモンの影響による体の自然な反応なのです。
2. 生理中にできる集中力アップの工夫
「それでも仕事はしなきゃいけない…」というのが現実ですよね。そこで、生理中の集中力低下を少しでも和らげる方法をいくつかご紹介します。
①「ポモドーロ・テクニック」を試す
ポモドーロ・テクニックとは、集中する時間と休憩時間を繰り返すことで、仕事のペースを生み出す時間管理術の一つです。長時間集中するのが難しいときは、25分集中→5分休憩のサイクルを繰り返してみてください。
– 25分間は1つの仕事に集中
– 5分間の休憩で軽くストレッチや深呼吸をする
– 4セットごとに長めの休憩(15〜30分)を取る
「長時間頑張らなきゃ」と思うと苦しくなりますが、25分だけならなんとかなるかも…という感じがしませんか?
②鉄分をしっかり補給する
レバーやほうれん草、納豆など鉄分が多い食品を意識して摂ると、貧血予防になり、ぼーっとする感覚が和らぐこともあります。
③「やることリスト」を使う
生理中は頭がぼんやりしやすいので、仕事やタスクをメモに書き出すことで「何をするべきか」が明確になります。
– 優先順位をつけて「まずはこれだけやる!」と決める
– できたらチェックをつけて達成感を得る
「今日はこれだけできればOK」と思えると、気持ちの負担が減りますよね。
④休めるときはしっかり休む
生理中の集中力低下に対抗するには、休息の質も重要です。
– 昼休みに15〜20分の仮眠を取ると、午後の集中力が回復しやすくなります。
– 夜はスマホやPCのブルーライトを控え、寝る1時間前からリラックスモードに。
3. 生理以外の時期にできる「集中力の土台作り」
普段から取り組めることとして、生活習慣を少しずつ整えておくことで、生理中の影響を軽減することができます。
・適度な運動を取り入れる
軽いウォーキングやストレッチを続けることで、血流が改善し、ホルモンバランスが整いやすくなります。
・食事をバランスよく摂る
鉄分、ビタミンB群、マグネシウムなど、集中力やメンタルをサポートする栄養素を意識して摂る。
・「自分のリズム」を知る
生理周期を記録し、「いつ頃から集中しにくくなるか」を把握すると、予定を調整しやすくなります。
体の仕組みによるものだから自分を責めないで
生理中に集中力が落ちるのは、決してあなたの努力不足ではなく、体の仕組みによるもの。ですから、「どうして私は頑張れないんだろう」と責める必要はありません。
「生理中は無理しすぎない」「できる工夫を取り入れてみる」「少しでも自分を労わる」「生理が終わったら本来のパフォーマンスを発揮する」——これだけでも、気持ちがずいぶん楽になるはずです。
あなたの体に優しくしながら、できることから試してみてくださいね。
回答者:臨床心理士、がん・生殖医療専門心理士
生理・PMS・更年期・妊娠・出産・女性特有のがんなど、女性の健康課題やライフイベントに関するご相談を専門にしています。セックスレスや性交痛、パートナーとのコミュニケーションなど、性のお悩みについてもカウンセリングを担当しています。女性特有の心と身体の問題、なかなか人には話せないプライベートなお困りがあれば、是非お気軽にご質問ください。
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