月の半分は眠気との闘い…PMSの対処方法は?【お悩み相談室】

生理・PMS
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今回は、生理前後の強い眠気でお悩みの20代女性からのご相談です。 アラームにも気づかないほどの眠気に襲われ、仕事にも集中できず、月の半分が眠気でつらいと感じているそうです。

PMSで起こる眠気との付き合い方、仕事との両立について助産師がお答えします。

生理前1週間から生理が終わるまで眠気に襲われます1度寝たら起きることも大変で、アラームをたくさんつけても鳴っていることに気づかない日も多いです。仕事中もとても眠く集中力が欠けてしまうことも…。なるべく睡眠時間を確保しようと早く寝るようにしているんですが、起きるのがつらいことは変わりなし。月の半分は眠気と戦っていることがとてもつらいです。ネットで調べたら私だけでなくPMSの症状と分かったことは良かったんですが、いつまで眠気が続くのか、いつまで付き合うのか不安になります。眠気との良い付き合い方があったら教えていただきたいです。

(20代、女性、ハンドルネーム:バニラヨーグルト、職種:金融・不動産)


PMSは様々な要因から起こる

ご相談いただき、ありがとうございます。

ご自身で調べて、お困りの眠気はPMSの症状とわかったということが、まずご自身の身体と向き合おうとされていて、素晴らしいなと思いました。ですが、今後のことが不安になるほど、ご自分でもどうしようもないほどの眠気はつらいですよね。

PMSの原因は、はっきりとはわかっていませんが、月経周期による女性ホルモンの変動が関わっていると考えられています

生理周期の中で排卵がおこっている女性の場合、排卵から月経までの期間(黄体期)に、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)が多く分泌されます。その後、黄体期の後半にこれらのホルモンが急激に低下し、脳内のホルモンや神経伝達物質の異常を引き起こすことでPMSが起こるとも考えられています

しかし、脳内のホルモンや神経伝達物質は、ストレスなどの影響も受けるため、PMSは女性ホルモンの低下だけが原因ではなく、多くの要因から起こると考えられています

生理初日から次の生理がくる前日までの日数を月経周期と呼びますが、この月経周期が28日ぐらいの場合、だいたい生理14日前後に排卵が起こると考えられます。そうすると、生理前1週間というのは、ちょうど黄体期の後半に入りホルモンが急激に低下する頃と考えられます

睡眠とPMS症状の改善のためのセルフケア

今回ご相談いただいた内容からは、睡眠とPMS症状の改善に関するセルフケアをご提案させていただきます。

早く寝るようにしても起きられないということなので、睡眠時間としては確保されているけれど、しっかりと休めていない状況かもしれません

私たちの身体は、手足から熱が放出されて、身体の内部の温度が下がっていくと眠くなり、日中の体温と就寝前の体温の変化が大きければ大きいほど、ぐっすりと眠れます。

そのため、セルフケアとしては、体温の変化も含め、睡眠の質を考えてみましょう

睡眠の質を高める方法としては、

・朝起きたら、カーテンを明け、朝日を浴びる

朝日を浴びることで、幸せホルモンとよばれる「セロトニン」の分泌が促されます。このセロトニンは、睡眠を促すホルモン「メラトニン」の原料になり、身体の睡眠・活動のリズムに関わります。また、セロトニンは黄体期には分泌が減少するため、生理前はリラックスしづらく、眠りの質が下がってしまいます

・15時~夕方にかけて適度な運動やストレッチを行う。

日中の眠気覚ましと適度な疲労感を得る

・就寝の2~3時間前までに食事を終える

消化活動は身体の活動性をあげる必要があるため、食後は体温が上がります

就寝の2時間前までに、40℃程度のぬるま湯にゆったりと浸かり、身体の深部体温をあげ、リラックスしましょう。入浴剤やアロマオイルを使うのもお勧めです。(心身を休ませる時間にするために、スマホの持ち込みはやめましょう)

・スマホやパソコン、テレビなどは、就寝前1~2時間は使用しない

これらの刺激は、脳を興奮させ、寝つきの悪さにつながる可能性があります

・就寝前1~2時間は明るい蛍光灯の使用を避ける

・寝室はできるだけ暗くする

携帯電話は寝室以外に置いておく。もしくはマナーモードなど睡眠の妨げにならないようにする。

などがあります。

また、日中の眠気対策としては、

・お昼休みに15分程度の昼寝をする

(職場では、デスクにうつ伏せし、静かに目を閉じて休むだけでも、脳と身体は回復につながります。眠れないと焦らず、リラックスすることが大切です)

15分程度のお昼寝は、集中力や記憶力をアップさせ、仕事の効率化につながるという効果があり、最近では学校や企業でも取り入れられています。この場合、昼寝前にカフェインを摂取すると、カフェインの効果で短時間でスッキリと目覚められると言われていますが、PMSの場合はカフェイン摂取を控えた方が良いので、ご自身にとって、カフェインをとった方がスッキリと起きられるのかどうかは、試してみてください。

また、30分以上のお昼寝は、深い睡眠に入ってしまい、起きてから余計に眠気が増す可能性があるので、注意が必要です。

・カフェイン摂取を控える

カフェインは適切な量であれば、眠気を解消したり、集中力を上げたりするのに役立ちますが、過剰に摂取すると、イライラ、興奮、不安などの精神症状や不眠症状、下痢や吐き気などの身体症状をもたらすことがあるので、控えた方が良いです。普段からカフェインの少ない飲料で、ご自身の好みのものを見つけておくと良いと思います。

ヨーロッパでは、医療の中でハーブを用いることがあります。チェストベリーやローズは、PMSや生理痛など女性の不調に働きかけてくれるハーブとして知られています。またペパーミントやレモングラス、ローズマリーなどは眠気覚ましや頭をスッキリさせる効果もあります。温かいハーブティーは、内臓から身体を温める効果も期待できます。良ければ試してみてください。

・血糖値スパイクを防ぐ

食後の血糖値が急上昇・急降下を起こす状態をさします。急激に血糖値が下がると低血糖状態になり、食後に強い眠気が起こります。血糖値スパイクを防ぐために、『バランスの良い食事をよく噛んで、ゆっくり食べる』、『食物繊維の豊富な野菜➡タンパク質➡炭水化物の順番で食べる』、『欠食しない』の3つを頑張ってみてください。

これらの行動は、睡眠の質を高める方法ですが、PMSの症状を緩和するためにも良いとされるものです。

セルフケアを取り組んでもつらいときはPMSが重いかも

ただ、無理せずできる範囲でセルフケアを取り組んでみても、強い眠気が続く場合は、PMSの症状が重い可能性があります。漢方薬や低用量ピルなどで症状が改善することもありますので、我慢なさらず産婦人科で相談されることをお勧めします。少しでも眠気が軽減され、生理前の時期が過ごしやすくなることを願っています。

回答者:助産師

小児科・産婦人科・泌尿器科での勤務経験から、生理やホルモンバランスの乱れにより起こる症状や、頻尿や尿漏れ、臓器脱など、その症状がご自分では問題があるものなのか判断し難い、また人に相談しにくいお悩みについて、あなたがどんなことで悩まれ、どうなりたいのかをしっかりとお聞きして、一緒に考えていきます。とても痛い、しんどい、とまでいかなくても、毎月もしくは毎日の『気になる』を緩和する方法を見つけ出せたらと思います。過去に生理やナプキンに関する調査研究をしており、皆さんのフェムケアを応援したいと思っています。


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