低用量ピルの違いとは?自分に合う選び方を解説【お悩み相談室】

生理・PMS
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ピルの選び方に悩む方からのご相談です。避妊目的で服用を始め、生理が楽になるメリットを感じつつも、気分の落ち込みや腹痛、過食などの副作用に悩まされているとのこと。複数のピルを試しても最適なものが分からず、どう選ぶべきか迷っているそうです。

自分に合う低用量ピルの選び方や、体調に合わせた調整方法について薬剤師が解説します。

ピルの選び方に悩んでいる。最初は避妊目的でラベルフィーユを服用し始めたが、生理期間が短縮されて楽になったため、そのまま継続。しかし、服用中にネガティブ思考が強くなったため、トリキュラーへ変更した。しかし、トリキュラーに変えても気分の落ち込みが改善せず、ファボワールへ変更。現在はファボワールを服用中で、精神的な落ち込みは軽減したが、生理前の腹痛がひどく、過食傾向になってしまう。それぞれのピルを2年間服用し、体に馴染むまで試した上で比較してきたが、自分に最適なピルが分からず困っている。自分に合った低用量ピルの選び方について知りたい。


(20代、女性、ハンドルネーム:saryumoko、職種:製造・工場)


最初に

ピルを服用することで生理が楽になった一方で、気分の落ち込みや腹痛、過食などの副作用に悩んでいるとのことですね。複数のピルを試しても最適なものが見つからず、不安なお気持ちもあるかと思います。ここでは、ピルの選び方や、体調に合わせた調整方法について解説します。

ピルは生理が軽くなる効果があるが、副作用を感じる方もいる

ピルにはエストロゲンとプロゲステロンが含まれており、服用することで排卵が抑えられ、子宮内膜が薄くなるため生理が軽くなる効果があります。しかし、ホルモンバランスの変化により、悪心、頭痛、不正出血、気分の変化などの副作用を感じる方もいます

服用を始めて1~2ヶ月で体が慣れてくることが多いですが、3ヶ月以上経っても症状が続く場合は、別の種類のピルに変更することが検討されます。また、「ピルを飲むと太るのでは?」と心配される方も多いですが、日本産婦人科学会のガイドラインでは「ピルの服用と体重増加には因果関係がない」と結論づけられています。(※)

ただし、ピルの副作用としてむくみが生じることがあり、一時的に体重が増えたように感じることがあります。そのため、体重の増減が気になる場合は、むくみ対策をしながら様子を見ることが大切です。

ピルはホルモンバランスを考慮して医師に相談して選択する

相談者さんは、避妊目的でラベルフィーユ(第二世代)を服用し始め、生理期間が短縮されるメリットを感じたものの、気分の落ち込みが強くなりトリキュラー(同じく第二世代)に変更。しかし、気分の落ち込みは改善されず、ファボワール(第三世代)に変更したところ精神面は安定したものの、生理前の腹痛や過食の傾向が強くなったとのこと。

これまでそれぞれのピルを2年間服用し、体に馴染むまで試した上で比較している点から、相談者さんはホルモンのバランスに慎重に対応しながら服用していると考えられます。そこで、さらなる選択肢として治療用のピルを検討するのも一つの方法です。

現在服用しているラベルフィーユやファボワールは、主に避妊目的で使用される「避妊用」の低用量ピルです。ピルは開発された順に「世代」に分けられ、新しい世代のものほど副作用が少ないとされています

  • 第一世代(ノルエチステロン):シンフェーズ、フリウェル、ルナベル
  • 第二世代(レボノルゲストレル):ラベルフィーユ、トリキュラー、アンジュ
  • 第三世代(デソゲストレル):マーベロン、ファボワール

一方、PMSや月経困難症の治療を目的とした「治療用ピル」は、保険適用の対象となる場合があります。

  • 低用量ピル(エストロゲンが含まれる)
    • ルナベルLD、フリウェルLD(生理痛の軽減に効果)
  • 超低用量ピル(エストロゲン量が少ない)
    • ルナベルULD、フリウェルULD、ヤーズ、ドロエチ、ヤーズフレックス(PMS・月経困難症向け)

相談者さんは生理前の腹痛がひどく過食傾向があるということから、PMSの影響を受けている可能性があります。そのため、エストロゲン量が少なくPMSの緩和に特化した超低用量ピル(ヤーズ、ヤーズフレックス、ドロエチなど)を試してみるということも選択肢だと思います。

特に、ヤーズフレックスは連続服用が可能で、生理の回数を減らすことができるため、生理痛の頻度も抑えられる可能性があります。

また過食傾向については、プロゲステロン(黄体ホルモン)の種類によって食欲に影響を与えることがあるため、デソゲストレル(ファボワール)よりもドロスピレノン(ヤーズ、ドロエチ)を含むピルの方が合う可能性があります。

ピルの選択は、医師と相談しながら慎重に行うことが重要です。受診時には、以下のように具体的に伝えるとスムーズです。

  • これまでの服用歴(ラベルフィーユ→トリキュラー→ファボワール)
  • 各ピルで感じたメリットとデメリット
  • 現在の症状(生理前の腹痛、過食傾向)
  • 引き継ぎPMSの治療(特に治療用ピル)を希望していること

これらを伝えることで、より適切なピルを提案してもらいやすくなりますよ。

最後に

ピルは種類によって作用が異なり、また副作用の感じ方にも個人差があります。相談者さんのように慎重に試しながら選ぶことはとても大切です。現在の症状を考えると、PMSの治療に特化した超低用量ピルが合う可能性があるため、一度婦人科の医師と相談し、ご自身に最適なピルを見つけることをおすすめします。

体調に合ったピルが見つかり、1日も早く快適な日常を過ごせるよう願っています。

<参考文献・出典>公益社団法人 日本産科婦人科学会
▶低用量経口避妊薬(OC)の使用に関するガイドライン:http://www.jsognh.jp/common/files/society/guide_line.pdf


回答者:株式会社ファミワンに所属する【看護師】

不妊治療専門のアドバイザーとして、妊娠を希望する方をサポートしています。看護師としての経験と体外受精コーディネーターの資格を活かし、一人ひとりに寄り添ったアドバイスを提供。不妊治療の選択肢やライフスタイルの見直し、心と体のケアまで、総合的にサポートします。あなたの妊活が少しでも前向きなものになるよう、専門的な視点でお手伝いします。


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