生理後に褐色の血が…経血が出し切れないのはなぜ?【お悩み相談室】

生理・PMS
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今回は、生理後に褐色の経血が出ることがあり、体質改善の方法を知りたいというご相談です。夜勤のある勤務体系でホルモンバランスが乱れたことが原因の一つかもしれないとのこと。働き方を変えたことで頻度は減ったものの、まだ気になる状態が続いているそうです。

生理の仕組みや、体質改善のためにできることについて、助産師の視点からお答えします。

一度の生理で経血を出し切れず、数週間後に残っていただろう褐色の経血が出ることがあります。婦人科で器質的な問題はないと言われ一安心ですが、体質改善したほうがよいのだろうと思っています。夜勤のある勤務体系で、生理不順になっていました。月に2回生理になることが続いたため婦人科を受診。器質的な異常はなく、ホルモンの乱れなどから、一度の生理で経血が出し切れないことが要因だろうと言われました。その後働き方を改め、日勤のみで勤務するようになり、その頻度は大幅に減りましたが、いまだに生理が終わった数週間後に古い経血が出ることがあります自分では早寝早起き習慣を心がけたり、ナプキンをオーガニックコットンのものに変えてできるだけ冷やさないよう心がけたりと、できる範囲での工夫をしてみてはいます。このような一度の生理で経血を出し切れない要因と、改善のためにできることがあればぜひお伺いしたいです。

(30代、女性、ハンドルネーム:mai、職種:医療・介護・福祉)


最初に

ご相談ありがとうございます。

以前、月に2回生理になることが続いた際には、ホルモンバランスの乱れが要因ということで、勤務形態を変えられ、日常生活の中でも早寝早起きや月経中に冷やさないように工夫もすでにされていらっしゃるのですね。

また、器質的ではないと判断されたものの、月経以外のタイミングで起こる不正出血を改善するために何かできることがあれば、と考えておられるのですね。 勤務形態を変える、ということは、職場の上司と掛け合ったり、場合によっては職場自体を変えるなどを検討する必要があったと思いますし、夜勤手当がないことでの収入減など、さまざまなことを悩まれたと思います。

それらは、決して簡単な決断ではなかったと思いますが、その負担よりもご自身の体調を優先され、その結果、不正出血の頻度が大幅に減ったということをうかがい、maiさんの決断がmaiさんの健康を守ることにつながったと思え、嬉しく思いましたし、素晴らしいなと思いました

不正出血の原因

不正出血の原因については、いくつかありますが、その内、器質的な異常はない、とすでに診断されているため、ここでは可能性のある他の原因について説明させていただきます。

●黄体機能不全

排卵後、卵子を包んでいた卵胞は黄体に変化し黄体ホルモン(プロゲステロン)を分泌します。このプロゲステロンは、厚くなった子宮内膜を成熟させ、維持する働きがあります。

しかし、黄体からのホルモン分泌が不十分な場合は、黄体の持続期間が短くなったり、維持できない子宮内膜の一部がはがれ落ち不正出血が起こる場合があります

黄体機能不全の原因としては、ストレスや生活習慣の変化などによるホルモンバランスの乱れ、排卵障害、卵巣機能の低下、甲状腺機能異常、高プロラクチン血症、肥満、過度な運動、他の疾患に対する治療薬の影響などがあります

排卵後から次の月経までの黄体期は、通常14日程度のため、一般的な28~30日程度の月経周期の場合、月経後数週間後に起こる出血は、黄体機能不全の可能性があります。

●排卵期出血(中間期出血)

排卵頃になると女性ホルモンの1つであるエストロゲンの分泌量が急激に変化し、その影響で子宮内膜の一部がはがれ落ち、月経のような出血がおこる場合があります。また、排卵によって卵巣から出血した血液が子宮外に排泄される場合もあります。月経周期が長めで排卵までに2週間以上かかる場合は、排卵期出血の可能性があります

●子宮後屈

子宮が子宮頚部と子宮体部の境目で折れ曲がり、後ろ側(背中側)に体部が傾いた状態です。後屈だからといって病気というわけではありません。しかし、傾きの程度が強いと経血が溜まりやすくなり、1度の生理で排せつしきらなかったり、月経痛を抱える方もいらっしゃいます

器質的なものはないと診断されていらっしゃるので、後屈だったとしても、その原因が炎症や癒着によるものではないと考えられます。

●子宮の血流不良

冷えや子宮後屈など、子宮の血液の循環が悪いと、経血をしっかりと出し切れず、経血が子宮内に残る場合があります。

実際にmaiさんがこれらのいずれかなのか、それとも違う要因なのかは、診察医でなければ判断できません。また、何が原因かによって日常生活の中での対処方法も異なります。

しかし、ホルモンバランスを整えたり、子宮の血流改善においては、自律神経を整え、子宮を含め身体を冷やさないことはポイントとなります。早寝早起きをすでに取り組まれておられるので、朝起きたら、ぜひ朝日を浴びて深呼吸をして、身体を目覚めさせましょう。


そして、1日の終わりに、ぬるめのお湯にゆっくり浸かり副交感神経を優位にさせたり、ゆったりとストレッチをすることで身体全体の循環を促し、心身がリラックスする時間をとってみて下さい。 

一度で経血ができらない要因と対策についてご相談いただきましたが、医師の診察がない中では申し訳ございませんが具体的なお答えができません。しかし、現在器質的な問題はないのでしたら、気になる症状があると、改善するために何かを頑張らないと!と努力や我慢することを考える方も多いのですが、夜勤など不規則な生活リズムによりホルモンバランスが乱れ、月経不順になったご経験をうかがうと、心身がリラックスできることを優先されることも必要なのではないかと思いました。

最後に

できる範囲での工夫はしてみている、ということなので、すでに頑張っているご自分を褒めてあげていただきたいなと思います。そして、ご自分がゆったりとリラックスできる時間を積極的にとっていただければと思います



<参考文献・出典>※以下の文献を参考にしています

公益社団法人 日本産婦人科医会
▶内分泌異常:https://www.jaog.or.jp/note/3%EF%BC%8E%E5%86%85%E5%88%86%E6%B3%8C%E7%95%B0%E5%B8%B8/

公益社団法人 日本産婦人科医会
▶月経周期と女性ホルモンのメカニズム:https://www.jaog.or.jp/lecture/7-月経周期と女性ホルモンのメカニズム/一般社団法人 日本女性心身医学会
▶月経不順:https://www.jspog.com/general/details_07.html

<本記事の回答者>

谷村弥生

助産師/保健師/公認心理師

所属:株式会社ファミワン

産婦人科での様々な年齢層の方と関わっている勤務経験から、月経やホルモンバランスの乱れにより起こる症状や、病院受診を迷う症状、人に相談しにくいお悩みについて、あなたと一緒に考えていきます。もちろん心理的なお悩みも遠慮なくご相談ください。皆さんのフェムケアを応援したいと思っています。


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