生理中に体重が落ちないのはなぜ?原因と対策【お悩み相談室】

生理・PMS
記事をシェア

今回は、月経中に体重が減らず、貧血によって運動も続けられないことでモチベーションが下がってしまう、という20代女性からのご相談です。

理想の体型を目指しながら、健康を守るために必要な食事のポイントや、月経による体調変化との向き合い方について助産師がお答えします。

生理中でもダイエットを続けることはできるのでしょうか?
自分の理想の体型を目指してダイエットをしています。運動や食事習慣に気をつけて日々頑張っているのですが、どうしても毎月生理期間中は体重が落ちないため、ダイエットの効果が現れにくく停滞気味になってしまうので、生理後にモチベーションが崩れてしまいます
無理に食事制限をしようとすると、貧血気味になってしまうこともあるので、そもそも生理中にダイエットはしてもいいのか悩んでいます。
できれば生理期間中でも無理なくダイエットを続けたいですし、生理後に体調や気持ちの部分で落ちることなく快適に過ごしていきたいです。
生理中の無理のないダイエットについて、どんな方法があるのか教えていただきたいです。

(20代、女性、ハンドルネーム:さりー、職種:事務・オフィスワーク)


最初に

ご相談ありがとうございます。
ご自分の理想の体型を目指して運動や食習慣に気を付けながら日々頑張っておられること、とても素敵だと思います。ですが、月経期間中は体重が落ちず、モチベーションの維持が難しいのですね。

気になるのは、無理に食事制限をしようとすると、貧血気味になってしまう、という症状です。

貧血が招くダイエット停滞と体調不良の関係

貧血は簡単にいうと、体内の血液量が不足している状態をいいます。血液中に含まれるヘモグロビンは、私たちの身体が活動するために必要な酸素を全身に運び、また排出された二酸化炭素を肺まで運ぶ働きをしています。貧血は、このヘモグロビンの数が減ったり、うまく働かなくなって、身体の酸素が足りなくなっている状態です。

酸素が足りないと、少し動いただけでも身体が疲れて、息切れしてしまいます。運動も続かないためエネルギー代謝・基礎代謝とも落ちてしまいます。

毎月月経中はダイエットの効果が停滞気味になる、ということですが、この時期は、月経血の排泄により、普段よりも貧血になりやすくなっています。月経以外の時期でも、食事制限によって貧血傾向なのであれば、月経中はさらに貧血の状況が悪化し、身体は自分の命を守るために、エネルギー代謝・基礎代謝を低下させるでしょう

この重要な役割を担うヘモグロビンは、鉄とタンパク質とで構成されています。無理な食事制限によって、ヘモグロビンを作るために必要な鉄分やたんぱく質が不足するのは、エネルギー代謝が低下し、かえってダイエットを妨げることになります

また、過度な糖質制限を行うと、身体は糖質の代わりにたんぱく質をエネルギーとして利用しようとするので、こちらもヘモグロビンの減少に影響する可能性があります。そのため、月経前~月経期間中は、普段よりも貧血予防のために鉄分やたんぱく質の摂取量を意識された方が良いでしょう

必要な栄養素・エネルギーが不足していると、前述のとおりエネルギー代謝や基礎代謝が低下し、ダイエットどころか体調を崩してしまう可能性もあります。そのため、月経中だけでなく、貧血の改善が理想の体型に近づくために、今のさりーさんには必要ではないかと思います。


貧血の頻度は、成人女性の15~30%程度という報告があり、20~40歳代の女性で頻度の高い貧血は、鉄欠乏性貧血であると推定されています(※)。実は日本は開発国の中でも鉄欠乏の頻度が高く、日本人の食生活の変化が一因と考えられています。

もちろん、この鉄欠乏性貧血以外にも何らかの疾患による出血や過多月経(※)なども貧血の原因として考えられるので、何が原因なのかは確認された方が良いと思います。

無理な食事制限をされた際に感じておられる貧血症状が、栄養不足によるものなのか、それとも他に原因があるのかは、1度内科で相談されてみてはいかがでしょうか?

もし、原因が鉄欠乏によるものであれば、鉄分摂取のために内服薬やサプリメントの提案、食事のアドバイスなどが受けられると思います。

最後に

理想の体型になるために頑張っておられる中で、少し遠回りするように感じられるかもしれませんが、身体にとって必要な栄養素が摂取できてこそ、体調が整い、意欲もわき、効率よくダイエットに取り組めるのではないかと思います

『生理後に気分が落ちることなく、快適に過ごしていきたい』という思いは、さりーさんの目指すところだとは思いますが、人は誰しも心も体も多少なりとも波があります。ずっと前へ前へと進み続けられるわけではなく、時には立ち止まったり、後退したり、その過程でも成長していくと思います。

思うように進めないときには、進めない・立ち止まる理由を考え、行動が変わることで、また進めるようになると思います。どうにかしたい、と焦る気持ちもあると思いますが、今、生理中に身体がさりーさんに送っているサインを受け止め、ご自身の身体と更に向き合うきっかけになりましたら嬉しいです

<参考文献・出典>※以下の文献を参考にしています

一般社団法人 日本鉄バイオサイエンス学会
▶鉄剤の適正使用による貧血治療指針 改訂第3版:https://jbis.bio/wp-content/uploads/pdf/zyouzaiv3.pdf

一般社団法人 日本女性心身医学会
▶過多月経:https://www.jspog.com/general/details_10.html

回答者:株式会社ファミワンに所属する【助産師】

小児科・産婦人科・泌尿器科での勤務経験から、生理やホルモンバランスの乱れにより起こる症状や、頻尿や尿漏れ、臓器脱など、その症状がご自分では問題があるものなのか判断し難い、また人に相談しにくいお悩みについて、あなたがどんなことで悩まれ、どうなりたいのかをしっかりとお聞きして、一緒に考えていきます。とても痛い、しんどい、とまでいかなくても、毎月もしくは毎日の『気になる』を緩和する方法を見つけ出せたらと思います。過去に生理やナプキンに関する調査研究をしており、皆さんのフェムケアを応援したいと思っています。


専門家がこたえます!お悩み募集中です

「知ってハレばれ お悩み相談室」にお悩みをお寄せください。

毎月ピックアップさせていただいたお悩みとその回答を、「知ってハレばれ お悩み相談室」の記事で公開いたします。下記のフォームからお悩みをお寄せください(匿名でお寄せいただけます)。

記事をシェア
あなたのお悩みを募集中。

あわせて読みたい

トップ > 新着記事一覧 > 生理中に体重が落ちないのはなぜ?原因と対策【お悩み相談室】