イライラと涙…家族にきつく当たってしまう産後PMSの苦しみ【お悩み相談室】

産後にPMSが重くなり、感情を抑えきれず家族にきつく当たってしまう——そんな苦しみを抱える30代女性からのご相談です。
セルフケアや周囲に頼る工夫、心と体を整える方法について公認心理師がお答えします。
産後しばらくしてから生理が再開し、それ以降PMSの症状がとても重くなったように感じています。イライラや頭痛、吐き気、腹痛がひどく、特に家族に対して感情のコントロールがきかず、旦那に対してきつく当たってしまいます。自分でもどうしようもなく、話していなくてもイライラしてしまい、そのたびに自己嫌悪に陥ります。こどもには笑顔で接したいのに、無理して笑っている自分がいて、今は心が限界に近いように感じます。何でもない時に涙が出てしまうこともあります。同じような経験をされた方がいらっしゃれば、どのように乗り越えたのか、対処法を教えていただけませんか?つらくて、どうにかしたいです。
(30代、女性、ハンドルネーム:はーちゃん、職種:主婦)
最初に
はーちゃんさん ご相談ありがとうございます。
PMSの症状が産後とても重くなり、自分でも感情のコントロールが難しく、ご主人に当たったり、イライラしやすくなって自分が嫌になってしまう状況なのですね。
そして、現在は心が限界に近いように感じておられるとのこと。限界になる前に、今回ご相談くださり、ありがとうございます。
今回はPMSの症状を緩和するセルフケアをご紹介し、今よりもはーちゃんさんが無理せず、自然体で過ごせるようなヒントがお伝えできればと思います。
PMSがつらくなる仕組みとセルフケアの工夫
PMSの明確な原因はまだ特定されていませんが、女性ホルモンであるエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の変動が影響していると考えられています。
女性の月経周期では、排卵してから月経がくるまでの期間(黄体期)に、これら2種類のホルモンが多量に分泌され、黄体期の後半に急激に低下すると、脳でホルモンや神経伝達物質のバランスが乱れ、こころの不調が現れると言われています。
一方で、脳内のホルモンや神経伝達物質は、女性ホルモン以外にもストレスなど以下の様々な要因の影響を受け、それらの要因が重なり合って発症すると考えられています。
・ストレス
産後、身体的な負担だけでなく、初めての子育ては身体的にも精神的にもかなりのストレスがあるかと思います。
お子さんのことを優先にして、なかなかご自分のための時間は取れず、セルフケアも難しいと思いますが、ご主人に相談して、ご実家や一時預かりなど自治体の子育てサポートを活用し、定期的に「自分のための時間」をもってはいかがでしょうか?
また、慢性的な寝不足もあると思います。
「無理して笑っている」という部分から、とても頑張り屋さんの印象を受けました。
きっとお子さんがお昼寝中もここぞとばかりに家事をされているのではないでしょうか?
毎日は無理でも、お子さんと一緒にお昼寝をすると、お子さんも喜ぶでしょうし、短時間であっても、目が覚めた時にスッキリ感が得られ、身体の疲れも和らぐかと思います。
・性格や考え方
几帳面で真面目、自分に厳しく、完璧主義…など「こうでなければ」という思いが強いと、ついつい無理して頑張ってしまいがちです。
でも、子育てにおいては、いくら自分が頑張ってもコントロールできないことも多いのが実際です。
今までのようにできないこともあると思いますが、それも当然のことです。
頑張り屋さんはサポートをお願いすることに、「自分でできないなんて…」と否定的な感情をいだく方もおられますが、自分一人で頑張り続けず、ご主人やご家族、周りの人のサポートを受けることは、弱いことでも甘えでもありません。
我慢しすぎていることはありませんか?
何ができたら、今のつらさが和らぐでしょうか?
お子さんに「笑顔で接したい」というはーちゃんさんの思いを叶えるために、何を優先すべきかを考えてみましょう。
・自律神経、体力の低下
乳幼児のお子さんの子育て中は、慢性的な寝不足になりがちです。
そしてこの寝不足によって、自律神経が乱れたり、免疫力が低下し、風邪など体調を崩しやすくなります。
子育てで忙しかったり、暑い季節はシャワーで済ませがちですが、湯船につかると「ほっ」とした経験はありませんか?
ぬるめのお湯にゆったりと浸かることは、副交感神経を優位にさせ、心身を休ませ、質の良い睡眠につなげる方法の1つです。
お子さんが寝た後や、ご主人に見守りを任せられる時などに取り入れられると良いかと思います。
無理せず笑顔を取り戻すために
大切なお子さんの子育ての中で、自ずとお子さん優先となり、自分を労わることをできずに過ごすお母さんは多いですが、自分を蔑ろにして我慢してばかりだと、やはりどこかでその影響が出てきてしまいます。
お母さんだって自分らしくいるために、やりたいことをする時間が必要です。
はーちゃんさんの好きなことは何ですか?
今、やりたいな、と思いつくことは何でしょうか?
周りのサポートを得て、それらを叶えていくと、今よりも心にゆとりができ、心身の負担が和らぐのではないかと思います。
また、セルフケアではどうしようもない場合は、産婦人科を受診され、ホルモン剤や漢方薬の内服などで症状を緩和する治療を検討されるのも1つの選択肢です。
最後に
十分頑張っているご自分を認めてあげて、心身の力みがゆるみ、はーちゃんさんが自然と笑えるようになることを願っています。
<参考文献・出典>
公益社団法人 日本産科婦人科学会
▶月経前症候群(PMS):https://www.jsog.or.jp/citizen/5716/
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