生理痛がつらい…ピルを試したいけど薬反対派の母に言えず悩んでます【お悩み相談室】

生理・PMS
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今回は、毎月の生理痛とPMSがつらく、ピルを試したいけれど自然派の母の反対も気になって迷っている、とお悩みの20代女性からのご相談です。友達に勧められても踏み切れず、どう母に伝えたらいいかも悩んでいるそうです。

生理痛やPMSとの向き合い方、ピルを使う選択肢と親への伝え方について、薬剤師がお答えします。

毎月くる生理が近づくと憂鬱です。生理中も生理前のPMSでも下腹部が痛すぎて早くなんとかしたいです。お腹が急に痛くなってトイレに行くこともできずにデスクに座りながらお腹に手を当てて痛みがなくなるのをいつも待ってます。まわりの友達に相談したら、「ピルを飲んでからすごく楽になったよ」って言う子が多くて、私も気になってます。でも、うちの母がわりと自然派で「薬にずっと頼るのはよくない!」ってタイプなんです。母の意見もわかるし、私もずっとピルに頼りたいわけじゃないけど、とにかくこの辛さをどうにかしたいです。ピルじゃなくても症状が楽になればなんでもいいんですが、漢方とかは改善に時間がかかるイメージです。まだ実家暮らしなので母とケンカせずになんとかしたいんですが、どうしたらいいんでしょうか??ピルを飲む方が良いのなら、母に納得してもらうための伝え方も教えて欲しいです。

(20代、女性、ハンドルネーム:さきぽん、職種:事務・オフィスワーク)


最初に

毎月の生理が来るたびに下腹部の激痛やPMSで憂うつになる――それだけでもつらいのに、薬に抵抗のあるお母さんとの考え方の違いで一歩踏み出せずにいるというのは本当につらい状況ですね。

まず大事にしてほしいのは、「つらいなら我慢しないで、医師に相談していい」ということです。
日常生活に支障が出るほどの生理痛やPMSがある場合、それは立派な「治療対象」です。ピルは、生理に関する症状をやわらげる手段の一つとして、医師の判断のもとで安全に使える薬です。

「長く飲むのは不安…」ピルへの誤解と正しい知識

今の低用量ピルは、排卵を抑え、ホルモンバランスを整えることで、生理痛やPMSの症状を大きく軽減してくれます。
「避妊薬=身体に悪い」というイメージが残っているかもしれませんが、医療用のピルは治療薬としても広く使われており、保険適用となるものもあります。
副作用がゼロではないものの、定期的に婦人科を受診しながら使うことで、リスクをしっかりコントロールできます


長期間の使用が心配になる気持ちも理解できますが、現在のピルは10年以上にわたり使用しても重大な健康被害が起こるリスクは非常に低いとされています。
むしろ、子宮内膜症や卵巣がん・子宮体がんの予防にもつながることが研究でわかっており、「長く使うこと自体が悪い」というのは誤解です。

また、ピルを使ったからといって将来妊娠できなくなる、ということもありません
服用をやめれば自然な排卵が再開され、多くの人がその後問題なく妊娠できますのでご安心くださいね。


もちろん、「一生飲み続けなければいけない」ということもありません。
今のようにつらい時期だけ数か月~数年使い、その後漢方薬や生活習慣の工夫など他の方法に切り替えることも可能です。
ピルはあくまで「今のつらさを和らげ、生活を取り戻すための手段の一つ」として、選択肢に入れてよいものです。

お母さんにどう伝える?あなたの気持ちを共有して

一方で、お母さんの「薬に頼りすぎたくない」という気持ちも、あなたのことを思っての心配からくるものだと思います
ですから、お母さんに伝えるときは「ピル=悪い薬」という誤解を正そうとするのではなく、「どうして自分が悩んでいて、どんなふうに向き合おうとしているのか」を共有することが大切です。


たとえば、こんなふうに話してみてはどうでしょう。

「お母さん、心配してくれてありがとう。私もずっと薬に頼りたいわけじゃないよ。でも今の痛みや体調の波で、学校や仕事に支障が出るほどしんどいの。 ピルは避妊だけじゃなくて、ホルモンバランスを整えて生理痛やPMSを和らげるために、病院で管理しながら使う薬なんだって。まずはお医者さんと相談して、自分に合う方法を一緒に探したいと思ってる。」

このように、自分の気持ちと方針を丁寧に伝えることで、お母さんの不安も少しずつ和らいでいくかもしれません

ピルを使うかどうかは、最終的にはあなた自身が医師と話しながら決めることですが、まずは「一歩踏み出して相談してみる」ことが、今のつらさから抜け出す大切なきっかけになると思います。

最後に

あなたの体は、あなた自身のもの」です。
親のために痛みを我慢する必要はありません。つらい今を放置せず、正しい情報とサポートの中で、自分の身体と上手につきあっていけるとよいですね。

<参考文献・出典>

公益社団法人 日本産科婦人科学会
▶低用量経口避妊薬(OC)の使用に関するガイドライン:http://www.jsognh.jp/common/files/society/guide_line.pdf

<本記事の回答者>

北里大学薬学部卒業後、総合病院産科病棟で勤務した経験をもとに、主に妊活~授乳期にかけての薬の飲み合わせやお子さんの予防接種についてのご相談を専門にしています。私たちの日常のそばにある薬だからこそ、正しく使っていただきたい、そんな思いで回答しております。薬について気になることがあれば、お気軽にご相談ください。


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