イライラも涙も止まらない…ひどいPMSとの付き合い方とは【お悩み相談室】

生理・PMS
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感情のコントロールができず、自己嫌悪に苦しむPMSの症状。些細な出来事で涙があふれたり怒りがこみ上げてしまうなど、心が不安定になるつらさに悩む20代女性からご相談をいただきました。

PMSの理解と付き合い方について、臨床心理士が心と身体のセルフケアをアドバイスします。

PMSがひどくて悩んでいます。ちょっとしたことでイライラしたり、感情が抑えられず、部屋を散らかしたり泣き叫んだりしてしまいます。今日は彼に「お風呂入る?」と聞かれただけで泣いてしまいました。入りたいと思ったタイミングではないときに聞かれただけでイライラして泣いてしまう自分にもイライラして…今日はオムライスが食べたくて料理をしようと思ったら卵がなくて、それにもムカついてしまい結局出前を取りました。自分でもなぜこんなに辛いのか分からず、感情のコントロールができないのが苦しいです。私だけでしょうか。PMSとの上手な付き合い方を教えていただけたらと思います。

(20代、女性、ハンドルネーム:ボート、職種:理・美容)


最初に

「お風呂入る?」と聞かれただけで涙が止まらなくなる。

「卵がない」だけで怒りが爆発する。

それは決して、あなたがわがままだとか、感情のコントロールができない人間だからではありません

今、あなたは「PMS(月経前症候群)」という、ホルモンの波に揺さぶられまくっている荒波サーフィンの真っ最中なのです。

それはもう、感情のスイッチが“ものすごく繊細な地雷”になってしまう時期

彼の優しさすらスイッチになってしまうのも、そのせいかもしれません。

「なんでこんなことで泣いてるの?」と自分を責める気持ち。

「またイライラしちゃった」と自己嫌悪する気持ち。

きっとそのたびに、少しずつ心が疲弊してしまっているのではないでしょうか。

でも、ひとつ確かなことがあります。

それは、「あなたは決して一人ではない」ということ。

そして、「このつらさは、きちんと理解されるべきもの」だということ。

今日、こうして相談してくださったこと。その勇気が、あなたの心を守る最初の一歩です。

今まで、よく耐えてきましたね。

PMS中の自分を“キャラクター化”してみる

「PMSとの付き合い方」を考えるとき、大切なのは“症状をゼロにする”ことではなく、

“どう付き合っていけば、少しでも自分らしく過ごせるか”という視点です。

たとえば、PMSの時期の自分を「もう一人の自分」として扱ってみるのはいかがでしょうか。

あなたの中の“PMSちゃん”というキャラクターを、いくつか作ってみるイメージです。

・イライラちゃん

・メソメソちゃん

・ぼっち大好きちゃん

…といったように、少し体調や感情の波を「キャラクター化」してみます。

このキャラクターたちは、多分ちょっと我が強いのです。

「出てこないで!」と思っても出てくるし、「メソメソしないで!」と思っても泣き終わるまで譲りません。

でも、自分の希望通りに気のすむまで活動したら、そのうち引っ込んでくれます

ですから、イライラちゃんにはイライラさせてあげる

ぼっち大好きちゃんには誰ともかかわらず一人になれる時間と空間を作ってあげる

そんなふうに、彼らを満たしてあげてください。

また、「この時期は◯◯が起こりやすい」と知っておくと、

自分自身にも、周囲の人にも説明しやすくなります。

PMSのつらさを理解してもらうために、「PMSという名前を使って言葉にすること」はとても有効です。

今、心が暴風警報モードだから、やさしくしてもらえるとうれしいな」と伝える。

今はオムライスじゃなくて“情緒安定セット”を優先でお願いします」と冗談交じりに言って、彼に甘えてみる。

そんなユーモアも、あなたを少しラクにしてくれる味方になるかもしれません。

月経前の情緒不安…知っておきたいPMSの知識

PMS(月経前症候群)は、排卵から月経開始までの期間に心や体の不調が強く出る状態を指します。

症状は人によって異なり、イライラ、怒り、悲しみ、自己否定感などの感情面に強く出る方もいれば、腹痛や頭痛、疲労感などの身体面が主な人もいます。

◆PMSに対処するための方法としては、以下のようなものがあります(※)

・症状を記録する(PMS日記やアプリの活用)

感情のパターンや身体の不調を記録していくと、自分の波が見えるようになり、「あ、今きてるな」と対処しやすくなります。

・医師に相談してみる

「気のせい」や「性格の問題」ではないので、婦人科などの医療機関を受診してみるのも一つの選択肢です。

PMSが日常生活に支障をきたすレベルであれば、低用量ピルや漢方薬の処方など、医師と相談しながら適切な治療法を選ぶことができます。

最近ではPMSに特化した外来や相談窓口を設けている医療機関も増えてきています。

・心理的セルフケア

PMSの時期は、自己批判が強まりやすくなります。

「またやっちゃった…」と責めそうになったら、

「いまは嵐の時期」「嵐に立ち向かうより、低気圧モードでやり過ごすほうがいい」と自分に言い聞かせてみてください。

感情の波に逆らわず、浮き輪を抱えてぷかぷか浮かぶくらいがちょうどいいのです。

最後に

“オムライスが作れないだけで世界の終わり”になるくらい、あなたの心はがんばってる。

だからせめて今日は、オムライスの代わりに、自分を甘やかしてあげてくださいね。

あなたの中の“PMSちゃん”たちと、少しずつ仲良くなれますように。

<参考文献・出典>※以下の文献を参考にしています

公益社団法人 日本産科婦人科学会
▶「PMS・PMDDの診療と治療」ガイドライン:https://www.jsog.or.jp/activity/pdf/PMS_PMDDshishin.pdf


<本記事の回答者>

戸田さやか

公認心理師/臨床心理士/生殖心理カウンセラー/がん・生殖医療専門心理士/ブリーフセラピストシニア

所属:株式会社ファミワン

「妊活や性の悩み、子育てや働き方のことまで、「誰に相談していいかわからない」テーマも歓迎しています。どんな内容でも大丈夫。安心してご相談ください。臨床心理学の確かな知識と技術を活かし、原因探しや悪者探しではなく、あなたにとってのゴールを発見するお手伝いをさせてください。」


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