妊娠2ヶ月目、風邪薬を飲むことで赤ちゃんへの影響が本当にないのか心配です【お悩み相談室】

今回は、医師から処方された妊娠中でも服用できる風邪薬を飲むべきか迷っている、とのご相談です。赤ちゃんへの影響が心配で、薬を飲むことに抵抗を感じているようです。
不安な気持ちと、お薬の服用について、薬剤師がお答えします。
妊娠2ヶ月目なのですが、風邪が治らず熱と咳が続いています。仕事に集中できないのと咳でしっかり眠れないので先日受診し薬も処方してもらいました。今まで何とも思っていなかったのですが、いざ薬を飲む段階になって、赤ちゃんへの影響が心配になってきてしまいました。もちろん医師に妊娠中だということも伝え、妊婦でも飲める薬を処方してもらっているのですが、薬を飲むことに抵抗があります。妊活アプリでこの時期は赤ちゃんの神経系などの基盤が作られる時期と知って、障害などにつながらないかと不安になっています。早く症状をおさえないと私自身もしんどいですし、妊婦が飲んでも大丈夫な薬なので何も心配することはないとは頭では理解しているのですが、薬を飲めない自分がいます。
(20代、女性、ハンドルネーム:マカロン、職種:クリエイティブ)
今必要な情報を把握していることが素晴らしい
マカロンさん、ご相談ありがとうございます。
風邪が治らず熱と咳が続いており、生活に支障が出ているとのこと、お辛いことと思います。
受診した病院からは妊娠中ということを伝えた上で薬を処方してもらったのですね。
妊娠初期の赤ちゃんへの影響が心配というお気持ちがあり、薬を服用することに抵抗があるとのマカロンさんの気持ちをお話しくださりありがとうございます。
妊活アプリで普段から体調を管理していらっしゃるのですね!
妊娠2か月の今が「妊娠中、特に妊娠初期の薬の使用は注意が必要」という情報をしっかり把握していらっしゃること、素晴らしいです。
週数によって胎児への影響が異なる
ではまず、妊娠中の赤ちゃんへの薬の影響についてお話しますね。
妊娠中は、その週数によって服用した薬の赤ちゃんへの影響が異なってきます。
妊娠週数は、最終月経日を0週0日とカウントしますが、妊娠3週末までに服用した薬については基本的に将来生まれてくるお子さんの障害や奇形につながらないといわれております。
この期間にもし薬の影響を受けても着床しなかったり流産してしまうか(妊娠不成立)、完全に修復され問題がない状態になる(妊娠成立)ため、この時期は「全か無か」の時期とも呼ばれます。
妊娠4週~15週末までは、胎児の主要な器官が形成される期間で「催奇形性」と呼ばれる赤ちゃんへ奇形をもたらす作用が問題となります。
特に妊娠4週~7週末までは、マカロンさんがおっしゃるように胎児の中枢神経・心臓・消化器・四肢といった臓器が発生・分化するため、薬の使用に注意が必要です。
8週以降は胎児の薬の感受性は徐々に低下していきますが、性器の分化や口蓋の閉鎖などが行われる期間であるため、引き続き催奇形性のある薬の投与については慎重であるべきとされています。
ただ実際には催奇形性が証明されたのは一部の医薬品で、これらを踏まえ医師は妊娠中に安全に服用できる薬を処方します。
妊娠16週以降に服用した薬によって奇形が起こることはほぼありませんが、母体が摂取した薬は胎盤を通して胎児に移行し、胎児の体内で薬が作用することにより胎児に機能障害や発育阻害が起こる「胎児毒性」が問題となってきます。
使用可能なお薬は服用しても大丈夫。不安なら医師や薬剤師に相談
現在マカロンさんは妊娠2ヶ月ということですので、おそらく「催奇形性」が問題になる妊娠4~7週ごろにあたり、薬の服用にご不安も大きい事と思います。
ただ今回はしっかり妊娠中に使用可能なお薬を医師が処方してくださったということですので、安心して服用していただいて大丈夫ですよ。
もしどうしても薬を飲むことに抵抗がある場合は、薬を処方して下さった医師もしくは薬をもらった薬局にマカロンさんの気持ちを相談してみることもよいかもしれません。
妊娠中は胎児を異物として認識しないよう免疫系が抑制されることや、赤ちゃんの成長によってエネルギー消費が増加することなどで、風邪などの感染症にかかりやすくなります。妊娠中に薬を使用される場合は、今回のように受診されるなど、自己判断で購入するのではなく医師や薬剤師に相談すると安心ですね。お大事になさってください。
回答者:薬剤師
病院の産科病棟で勤務した経験をもとに、主に妊活~授乳期にかけての薬の飲み合わせやお子さんの予防接種についてのご相談を専門にしています。私たちの日常のそばにある薬だからこそ、正しく使っていただきたい、そんな思いで回答しております。薬について気になることがあれば、お気軽にご相談ください。
専門家がこたえます!お悩み募集中です
「知ってハレばれ お悩み相談室」にお悩みをお寄せください。
毎月ピックアップさせていただいたお悩みとその回答を、「知ってハレばれ お悩み相談室」の記事で公開いたします。下記のフォームからお悩みをお寄せください(匿名でお寄せいただけます)。