妊娠超初期症状はいつから?排卵後の体調変化に不安【お悩み相談室】

今回は、妊娠を希望されている20代女性からのご相談です。排卵後12日経過され、食欲不振や微熱が続いており、妊娠超初期症状なのか体調不良なのか不安に感じられているそうです。
妊娠超初期症状について助産師がお答えします。
妊娠を希望しています。 現在、排卵後12日ほど経過しているのですが、ここ数日、体調に変化を感じています。 具体的には、3日ほど前から食欲が落ちており、普段なら美味しく感じる食事もあまり続かず、少量を頻回に分けて食事をしています。 また、なんとなく体が熱っぽい、微熱が続いているような感覚がありぼーっとしてしまうことも…妊娠超初期症状の可能性もあるのかと期待してしまっています…妊娠超初期症状はいつから始まるのでしょうか。妊娠に関係ない体調不良なのかもしれないとも思っていて、期待と不安な気持ちがぐるぐるして胸がいっぱいです。
(20代、女性、ハンドルネーム:エスプレッソ、職種:飲食)
目次
最初に
ご相談ありがとうございます。
妊娠週数は、排卵周期の月経開始を起点として考えます。現在、排卵後12日ほど経過している、ということなので、妊娠されていた場合、今は妊娠3週となります。
排卵して精子と卵子が出会い・受精すると、その後5~6日で着床が始まり、受精から12日頃に着床が完了します。着床が完了し、妊娠が成立すると、妊娠に関わるホルモンが大量に分泌され始め、ホルモンバランスにも急激な変化が起こります。
そのため、生理予定日よりも1週間~数日前頃の妊娠超初期から、何らかの症状を感じる方もおられるのが実際です。
代表的な妊娠初期症状
少し妊娠初期症状について、どんなものがあるかを説明させていただきますね。
●少量の性器出血
受精卵が子宮に着床する際に、着床出血が起こる場合があります。月経予定日前後に少量の出血があれば、着床出血かもしれません。ただ、色は通常の月経時と同じような色だったり、茶色だったり、おりものに混ざったようなピンク色だったり…と様々です。また、妊娠していてもこの着床出血は全ての方が経験するわけではありませんので、出血していない=妊娠していない、というわけではありません。
●おりものが増える、おりものの量や性質(粘度やにおい、色など)が変わる
妊娠が成立すると、女性ホルモンのエストロゲンの分泌が増え、その影響でおりももの量が増える場合があります。また、おりものがいつもよりもサラッとした状態になったり、色味やにおいが変化する場合もあります。ただ、こちらも人それぞれですので、変化がない方もおられます。
●眠気や身体のだるさ
妊娠を維持するために必要な黄体ホルモン(プロゲステロン)には、身体の代謝を低下させ、身体に溜め込む作用があります。そのため、身体がだるくなったり、眠気が強くなる場合があります。
排卵後~次の生理予定日までの時期にこのプロゲステロンは分泌されますが、妊娠初期にはこのプロゲステロンも分泌量が増加するため、普段と同じくらい睡眠時間をとっていても、日中に眠気や身体のだるさ、起きづらさを感じる方もおられます。
●お腹の症状
生理痛に似たお腹の痛みを感じる方もおられます。また、胃の不快感や、便秘・下痢、お腹が張ったような感じ(腹部膨満感)など消化器症状を感じる方もおられます。
●つわりのような症状
一般的に言われるつわりのような症状として、食欲がなくなったり、逆に旺盛になったり、また、胃がもたれたようにムカムカしたり、嘔気がする方もおられます。また、今までよりもにおいに敏感になったり、味覚や食べ物の好みも変化する方もおられます。
●熱っぽさ
妊娠を維持するために必要な黄体ホルモン(プロゲステロン)の作用により、排卵後は月経から排卵までの時期に比べ体温が0.3~0.5℃ほど高くなります。妊娠した場合は、このプロゲステロンの分泌が続くため、熱っぽさを感じる場合があります。その場合は、他の風邪症状がないかも確認しましょう。
●めまいや立ち眩み
妊娠初期はホルモンバランスの変化や自律神経のバランスの変化などにより、めまいや立ち眩みが起こる場合があります。しかし、この症状が頻繁に起こったり、長く続く場合、頭痛や目のかすみなども感じる場合は、何らかの疾患の可能性もあるので、医師に診てもらいましょう。
●乳房の症状
プロゲステロンの影響で、排卵後~月経前と同様に、乳房が張っているように感じたり、下着と擦れることに敏感になる場合があります。
●気持ちの浮き沈みやイライラ
ホルモンバランスの変化により、精神的に不安定になったり、敏感になる方も。普段なら気にならないようなことでも、気持ちが落ち込んだり、イライラしたりする場合があります。
このように、妊娠初期はPMSの症状と区別がつきにくく、妊娠しているかどうか判定できることで、その症状が妊娠によるものなのかどうかがわかります。そのため、今あなたが抱える症状が妊娠によるものなのか、体調不良によるものなのかはお応えできませんが、今の時期の過ごし方のポイントをお伝えしますね。
妊娠なのか体調不良なのか分からない今の時期の過ごし方のポイント
●無理をしない、頑張り過ぎない
普段よりも体調がすぐれないことや、精神的にも余裕がない場合があるこの時期は、自分にさらに負担をかけるのはお勧めしません。妊娠したい、という思いが強ければ、その分、何かを頑張ろう、という意識になるかと思います。けれど、ご自分を労わり、休ませてあげることも、とても大切なポイントです。あなたにとって居心地が良い環境や時間に身をゆだねて、ゆったりと過ごし、エネルギーを充電してあげて下さい。
●葉酸の摂取
赤ちゃんの神経管閉鎖障害のリスクを減らすため、1日400㎍の摂取が望ましいとされています(※)。お子さんを望まれている方は、妊活中から継続して服用されることをお勧めします。
●薬の服用は医師に妊娠の可能性を伝えて相談する
●激しい運動は控え、ストレッチやウォーキングなどで気分転換を
●感染対策をする
体調がすぐれないと免疫力も下がっています。胃腸が弱っている場合もありますので、生ものや豚肉の加熱具合、普段一緒に過ごしていない動物との接触などは注意してください。また、妊娠すると、使用できるお薬に制限がかかります。
●カフェインを控える
●アルコールをやめる
●タバコをやめる
●深呼吸をする
緊張すると呼吸も浅くなりがちです。お仕事の休憩の際や、疲れを感じたとき、家に帰ったときなど、気が向いた時に、可能なら目を軽く閉じて、鼻から息をゆっくりと吸い込み、口から吐き出す、という深呼吸を数回繰り返してみてください。少しの時間でも周りの情報を遮断し、自分自身に意識を向けると、身体の緊張がゆるんだり、気分転換になりますよ。
最後に
望んでいるからこそ、今の時期の症状が妊娠によるものなのか、それとも体調不良によるものかが気になってしまいますよね。でも、わからないのが実際です。期待と心配や不安が入り混じり、自分の気持ちをどこに置くべきか、迷いますよね。でも、それは当然のことなのです。
ですから、今の時期は、ご自分にとって『心地よい』とか、『過ごしやすい』を行動選択の軸として、ホッとできる時間を積極的にとっていただきたいな、と思います。今の落ち着かない時期の中で、貴女が少しでも楽に過ごせることを願っております。
<参考文献・出典>※以下の文献を参考にしています
厚生労働省
▶カフェインの過剰摂取について:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000170477.html#:~:text=食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A
厚生労働省
▶葉酸について:https://www.mhlw.go.jp/www1/houdou/1212/h1228-1_18.html
回答者:株式会社ファミワンに所属する【助産師】
小児から閉経後の方まで、全てのライフステージの女性に関わらせていただいています。それぞれの時期やご本人のおられる環境によって、お悩みや不安はその時々で異なりますが、その方にとって快適な日常となるよう、しっかりとお話を伺い、セルフケアや治療についてなど一緒に考えていきます。生理や不妊症・不育症に関わるお悩みは、ご家族やご友人に対しても相談することが難しい場合がありますが、どんなお気持ちも遠慮なくご相談ください。
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