大人の虫歯菌を子どもに移したくない。友人や親にどう伝えるべき?【お悩み相談室】

妊娠・出産
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今回は、子供の衛生面について家族や友人の行動が気になり、どう伝えるべきか悩んでいる保護者の方からのご相談です。特に、大人の箸で子供の食事を分けてほしくないけれど、友人にうまく伝えられずモヤモヤしているとのこと。

気にしすぎなのか、それとも伝え方を工夫すればいいのか…。親としての気持ちと、友人との関係を両立する方法について心理士と考えてみましょう。

わが子に対する、家族や友人の些細な行動が気になってしまい悩んでいます。

私はもともと神経質な方ではないと思うのですが、子供が生まれてから家族や友人の些細な行動が気になるようになってしまいました。子供は現在1歳半です。特に気になるのは、子供に触る前には手を洗ってほしい大人の食べた箸で子供の食事を触らないで欲しい、などの衛生面です。

両親には何度か伝えた結果、食事の際は別の箸で取り分けるなどしてくれるようになりました。ただ、友人には「うるさい親だ」と思われそうで、何度も言うことができません。さりげなく「大人の虫歯菌がうつっちゃうから別の箸にしないとね」と私の箸を変えたりするのを見せているのですが、友人は気にせず自分の箸でわが子に食事を分けてくれたりします。仲の良い友人で悪気が全くないのは分かっています。気にしているのに言えない自分が悪いのだとも思います。

何かうまく伝える方法はあるでしょうか?それとも私が気にしすぎているのでしょうか?このままだと友人と会うのが嫌になってしまいそうなので相談させていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。

(40代、女性、ハンドルネーム:はな、職種:主婦)


最初に

ご相談を読ませていただき、「なんて思慮深くて、愛情深いお母さんなんだろう」と、思わずうなずいてしまいました。
今、あなたは「気にしすぎているのかな」と迷っておられるけれど、それは決して悪いことではありません
むしろ、わが子を守りたいという強い想いが、日々の細やかな気づきや行動になって現れているのだと思います

衛生を気にするのは“神経質”ではなく“愛情”

「私、神経質だったかな?」と思ったのも、おそらくは子どもが生まれてからの変化ですよね。それはとても自然なこと。
妊娠・出産・育児という人生の一大イベントを経る中で、人は少しずつ“子どもを守るセンサー”が鋭くなるものです。
むしろ、「あの頃の自分と比べて、変わってしまった…」と戸惑いながらも、我が子の健康や安全のために心を砕くあなたは、すでに立派な母親業を日々こなしているのです。

ご両親には丁寧に伝えて、理解してもらえるようになったということ。それって本当にすごいことなんですよ。身内であっても、言いにくいことはありますし、それを何度か伝えて関係性を壊さずに済んでいるというのは、あなたの伝え方が上手だった証拠です。

でも、友人となると「嫌われたらどうしよう」「うるさいと思われたら…」と不安になるのも本当に分かります。どんなに仲が良くても、子どもへの価値観や育て方って、微妙にズレることがありますものね。「悪気がないと分かっているからこそ、余計に言えない」――そのもどかしさ、よく伝わってきました。

「うるさい親」にならずに“我が家ルール”を伝えるコツ

ここでひとつ、視点を少しだけ変えてみませんか?

あなたが気にしているのは、「相手の態度」や「常識」ではなくて、「我が子の健康と安心」なんですよね。
つまり、「神経質だから」ではなく、「大切にしているからこそ、気になる」
この視点に立つと、あなたの気持ちはとても真っ当で、むしろ自然なものだと思えるのではないでしょうか。

友人に対しても、正面から「やめて」と言わなくても、「我が家はこうしているんだ」と“我が家ルール”として伝える方法もあります。

たとえば、

虫歯菌が気になるって聞いてから、ちょっと神経質になってるかもなんだけど…箸だけ分けてもらっていい?」とか、

最近うちの子、口に入れるものにすごく敏感で…別のスプーンでお願いしてもいい?」など、軽く笑いながら伝えるスタイルもおすすめです。

ポイントは、「相手を責めない」「あくまで我が子の事情として伝える」こと

自分も相手も大切にする「アサーション」という伝え方

心理学では、相手を尊重しながら自分の気持ちや要求を率直に伝える力を「アサーション」と呼びます。アサーティブなコミュニケーションとは、攻撃的にも受け身にもならず、自分も相手も大切にする伝え方のこと

「断るのが苦手」「嫌われたくない」と思う気持ちは誰しも持っていますが、何も“バシッと主張”するだけがアサーションではありません。
日常の中で、「ちょっとだけお願いしてもいい?」と控えめに頼んでみたり、「わたし、こんなふうに感じてたんだな」と自分の気持ちに気づくことも、アサーションの一歩です。

最後に

あなたはすでに、ご両親に何度も伝えて対応してもらえたという成功体験を持っています。
その延長線上に、友人とのコミュニケーションもあります。少しずつ、試していくことができると思います。

それでもどうしても言えなかったら、「伝えられなかった自分を責める」のではなく、「今日は様子を見ようとしただけでも十分頑張った」と、まずは自分に優しく声をかけてくださいね


<本記事の回答者>

戸田さやか

公認心理師/臨床心理士/生殖心理カウンセラー/がん・生殖医療専門心理士/ブリーフセラピストシニア

所属:株式会社ファミワン

「妊活や性の悩み、子育てや働き方のことまで、「誰に相談していいかわからない」テーマも歓迎しています。どんな内容でも大丈夫。安心してご相談ください。臨床心理学の確かな知識と技術を活かし、原因探しや悪者探しではなく、あなたにとってのゴールを発見するお手伝いをさせてください。」


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