この先くるかも?妊娠中のマイナートラブル…仕事との両立はできるのか心配【お悩み相談室】

妊娠・出産
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今回は、妊娠中のつわりや眠気、貧血などの「マイナートラブル」と呼ばれる体調の変化について不安を感じている20代女性からのご相談です。立ち仕事で休憩も取りづらい職場環境の中、妊娠中も仕事を続けられるのか心配とのこと。

体調変化との向き合い方や、職場への伝え方について助産師がアドバイスします。

妊娠・出産についての体験談を読んでいるなかで、妊娠中のマイナートラブルという言葉が気になりました。つわりはもちろん、強い眠気やだるさ、貧血、腰痛、頻尿、イライラが強くなるなど…。症状が酷く、つわりで入院した方の体験談も読みました。
私自身、立ち仕事で身体を動かす機会が多かったり自分のペースで休憩が挟みづらい職場環境のなかで働いています。また、出社が前提となっている仕事内容なので、仕事を続けられるのか心配になりました。現在の職場に入職をしてから、妊娠・出産をされた方がお一人しかおらず、普段関わることもなかったため、妊娠しながら仕事をすることへのイメージも湧いておらず、不安を感じています
皆さん、どのように妊娠中のマイナートラブルに対処しながら仕事を続けていらっしゃるのでしょうか?また、どのように職場の理解をいただけたのでしょうか?

(20代、女性、ハンドルネーム:なみなみ、職種:医療・介護・福祉)


最初に

ご相談ありがとうございます。「マイナートラブル」という言葉が気になりますよね。
つわりをはじめ、強い眠気やだるさ、貧血、腰の痛み、頻尿や気分の波……そのどれもが、文字で読むだけでもしんどそうで、「もし自分にこういう症状が出たら、今の仕事を続けていけるのかな」って不安になるのも無理はありません

特に、立ち仕事で身体を動かすことが多かったり、自分のタイミングで休憩をとりにくい職場にいるとのことですので、なおのことご心配かと思います。
加えて、身近に話を聞ける存在がいないというのは、ひとりで想像を膨らませて不安になってしまうような状況かと思います。

体調変化への備えとして“知っておく”ことの大切さ

いわゆる“マイナートラブル”と呼ばれる妊娠中の体の不調は、本当に人それぞれです。
症状が全くでない、あるいはほとんど出ない方もいれば、妊娠期間中ずっと、つわりやだるさ、感情の起伏に悩まされる方もいらっしゃいます。なので、現時点では「そんなに不調がない」というのであれば、過度に心配しすぎなくても大丈夫かもしれません。

ただ、これから妊娠週数が進んでいくなかで体の状態が変わる可能性もありますから、「どんなことが起こりうるのか」「それにどう対処したらいいのか」を知っておくことで、いざというときに少し落ち着いて対応できるようになると思います。

たとえば、つわりが強くなったときに「あ、これはよくあることなんだな」と思えたり、「こんな工夫をしていた人がいたな」と思い出せるだけでも、気持ちの持ちようが変わってきます。

職場の理解を求めるための準備にも

職場との関係も同じです。いざ体調に変化が出てから相談するよりも、元気な今のうちに「妊娠中はこんな変化があるかもしれない」ということや、「こんな配慮があると助かる」という情報をもっておくと、いざというときに言葉にしやすくなりますし、職場の理解にもつながりやすくなるかと思います。

「どこまで頑張れるか」よりも、「どうすれば無理なくやっていけるか」という視点で、自分のペースや選択肢をあらかじめ考えておけると、少し安心して日々を過ごせるかもしれませんね

妊娠中のマイナートラブルについて

妊娠中のマイナートラブルは、妊娠によって体内のホルモンバランスや循環、代謝、姿勢などに変化が起きることで、さまざまな症状として現れます。
たとえば、眠気やだるさは妊娠初期に分泌される黄体ホルモン(プロゲステロン)の影響で起こりやすく、これは生理的な変化の一つです(※)。

また、つわりは妊婦さんの7〜8割が経験するとされており、程度には幅がありますが、水分も取れないほどの重度の場合は「妊娠悪阻」と診断され、点滴や入院などの対応が必要になることもあります。

利用できる制度と、安心して働くための工夫

職場でのサポートに関しては、厚生労働省が提供している「母性健康管理指導事項連絡カード」という制度があります。これは、妊娠中の体調や生活状況に応じて、医療機関で医師が指示を記入し、それを職場に提出することで、業務内容の変更や勤務時間の調整、休憩の確保などの対応をお願いできる仕組みです(※)。

また、育児・介護休業法の改正により、企業には妊娠を申し出た従業員に対して個別に面談を行い、希望や体調に応じた柔軟な働き方の提案が求められています。

最後に

「仕事を続けたいけれど、不安がある」という気持ちはとても自然なものです。
だからこそ、今のうちに情報を集めて、必要なときに活用できるよう備えておくこと

それが、これからの妊娠生活をより安心して過ごす大きな支えになるはずです。無理のないペースで、どうぞご自分の体と丁寧に向き合ってくださいね。

<参考文献・出典>※以下の文献を参考にしています

厚生労働省
▶働く女性の母性健康管理:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/seisaku05/index.html
▶育児・介護休業法の改正について:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html

一般社団法人 日本助産学会
▶【一般向け】女性と子どもに役立つ助産の知見:https://www.jyosan.jp/modules/information/index.php?content_id=26

<本記事の回答者>

助産師として大学病院や自治体など多様な現場で経験を積み、妊娠・出産・育児から更年期まで、女性のライフステージ全体をサポートしています。誰にも相談しづらいお悩みも、どうぞお気軽にご相談ください。


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