「双子に安定期はない」「妊娠中や出産リスクが高い」と言われ不安です【お悩み相談室】

双子を妊娠中で「安定期がない」と聞き、不安や緊張が続いて心が疲れてしまう…そんなお悩みを抱える20代女性の方からご相談です。医療者の一言にも心が揺れてしまう日々に、どう向き合えばよいか悩んでいるとのこと。
双胎妊娠に特有の不安との向き合い方や、日々の過ごし方や心を軽くするヒントについて、助産師がお答えします。
双子を妊娠中です。「双子には安定期がない」とよく聞き、毎日が不安と緊張の連続です。この状態が出産まで続くのかと思うと、正直心が折れそうになることもあります。もちろん、赤ちゃんに会える日を楽しみにしていますが、それ以上に心配なことも多く、気持ちが揺れてしまいます。検診で先生や助産師さんにも不安に思ったことはその都度質問していますが、「双子はリスクが高いからね~」と言われ…その言葉を聞くのもつらいです。双子を出産された方々は私と同じような不安と緊張を抱えていたのでしょうか。どのように乗り越えて出産したのか気になります。
(20代、女性、ハンドルネーム:なわとび、職種:事務・オフィスワーク)
最初に
双子の妊娠、本当におめでとうございます。
日々、お腹の赤ちゃんたちのことを想いながら、期待と不安の入り混じる毎日を過ごしておられるのですね。
周囲からの「双子には安定期がない」といった言葉に触れるたび、安心できる時期がないような気持ちになってしまうのも、無理はありません。
体の変化や制限も多い中で、不安と緊張がずっと続くように感じると、心が疲れてしまうのも当然かと思います。
「赤ちゃんに会えるのが楽しみ」と思う気持ちと、「このままで大丈夫かな」という心配が行ったり来たりして、自分の気持ちをどこに置いていいのか分からなくなることも、あるかもしれませんね。
そして、もうすでに不安でいっぱいなところ、医療者からの「双子はリスクが高いからね〜」というトドメのようなひと言も、ドキッとしますよね。
知識も経験も豊富な“知っている側”の人たちが言うからこそ、こっちは「そんなに大変なことなの!?」、どっと不安の波を引き起こしてしまう状況かと思います。
双子を妊娠された方の多くが、同じように不安と緊張を抱えながらも、出産の日を迎えていかれます。
今感じていらっしゃることは、決して心配しすぎなわけでもありません。
心の余白につながる『力を抜く時間』は安心への第一歩
今、大切なのは、元気を保つために「頑張り続けること」よりも、「力を抜く時間」を持つことかもしれません。
妊娠中は特に、心と体が敏感な時期ですが、緊張しすぎると体も休まらず、それがまた不安につながって負のループに入ってしまうことも多いです。
だからこそ、ご自身で意識的に、「この時間だけは誰にも邪魔されずに好きなことをする」「今日は誰かに話してみよう」といった、小さな工夫で心にゆとりをつくることが、少しの余白を産むことに繋がるのではないでしょうか。
「リスクが高い」という言葉との向き合い方
「双子はリスクが高い」と言われると、これから何が起こるのか、不安でドキドキしますよね。
でも、実際には、全くなんのトラブルもなく臨月を迎える方もいらっしゃいます。
リスクという言葉の中には「より丁寧にケアしていこう」という意味も含まれています。
リスク、と言われると不快に感じるということを、医療者に伝えることもいいかもしません。
医療者側が簡単に使うような言葉で傷つくことは避けたいものですよね。
また、もし可能であれば、同じように双子を妊娠・出産された方の体験談を読んだり、地域の双子支援グループに参加してみるのも良いかもしれません。
「私だけじゃなかった」と思えることで、少し気持ちが軽くなることがあります。
双子の妊娠ならではのケアポイントと過ごし方
双胎妊娠は、確かに単胎妊娠に比べて注意が必要な点が多くなります。
たとえば妊娠高血圧症候群、早産、胎児発育不全などのリスクが高くなることは、医学的にも知られています(※)。
そのため、妊婦健診の回数が多くなったり、管理入院を提案されることもあります。
でも、それは「異常があるから」ではなく、「予防と異常の早期発見のため」です。
双子妊娠の場合、妊娠22週以降から早産のリスクが高まるとされており、可能であれば24週以降からの安静指導や就業制限なども勧められることがあります。
母体の体調管理だけでなく、心のケアも同じくらい大切にされています。
日々の過ごし方としては、こまめな水分補給や鉄分・たんぱく質の摂取を意識しながら、体に負担がかからないよう横になる時間をとること。
家事や仕事も「できるときに、できる範囲で」で大丈夫です。誰かに頼って、甘えることも必要な力のひとつです。
最後に
家事も仕事も出来る範囲で、時には甘えながら過ごしていくと、きっと少しずつ「自分なりのペース」が見えてくると思います。
双子の妊娠は、たしかに特別なことです。でもそれは、「特別に大変」ということだけじゃなく、「特別に愛おしい時間」でもあるのだと思います。
不安や心配が出てきたときは、ひとりで抱え込まずに、誰かの言葉にふれてみてくださいね。
安心できる瞬間が少しでも増えますよう、願っております。
<参考文献・出典>※以下の文献を参考にしています
公益社団法人 日本産科婦人科学会
▶産婦人科ガイドライン:https://www.jsog.or.jp/medical/410/
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