つわりによる便秘!?まだ妊娠初期…どう対策していけばいいの【お悩み相談室】

妊娠・出産
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今回は、妊娠9週目に突然の腹痛と強い便秘症状に見舞われ、つわりの影響と診断されつつも、今後が不安だという20代女性からのご相談です。

妊娠中の便秘の原因やつらさを軽くするための工夫、処方される便秘薬について、助産師がアドバイスします。

現在妊娠9週目の妊婦です。もともと便秘体質ではなかったのですが、昨日の夕方から突然、下腹部に強い痛みを感じ始めました。便秘のような痛みでしたが、トイレに行っても出ず、匂いで吐いてしまうほど気分が悪くなりました。ベッドで休んでも痛みが引かず、再びトイレへ…を繰り返すばかり。夜間に病院で診てもらったところ「つわりによる便秘」と言われ、点滴を受けて帰宅しました。同じような経験をされた方はいらっしゃいますか?妊娠中は便秘になりやすいと病院でも言われたので、これからの妊娠生活、便秘と上手く付き合っていくためにはどうしたらいいのか、とても不安になってしまいました。どのような対策があるのか、教えていただけますか。

(20代、女性、ハンドルネーム:あき、職種:事務・オフィスワーク)


最初に

妊娠9週目という体も心も変化に揺れるこの時期に、突然の下腹部の強い痛みと気分の悪さを経験されたとのことで、本当に大変な夜を過ごされましたね。
便意はあるのに出ない、トイレとベッドを行き来しても楽にならず、匂いで吐いてしまうほどのつわりの中で、どうにもならない感覚に不安も大きかったのではと想像します。

「つわりによる便秘」と診断されたとのこと。それでも「これは普通なの?」「これから先も続くの?」という不安や戸惑いが、消えずに残っているのではと思います。

もともと便秘体質ではなかったとのことなので、「妊娠したらこんなにつらくなるのか」という、驚きやショックもあったのではないでしょうか
実はこうしたつらさを経験する妊婦さんはとても多いのですが、なかなか人には話しにくいことでもあり、「自分だけなのかな」と感じてしまう方も少なくありません。

「出さなきゃ」より「つらくならない」ための工夫を

「妊娠中は水分を摂って、食物繊維をとって、腸の動きを整えて…」と言われても、それができれば苦労しませんよね。
とくに今回は「つわりによる便秘」とのこと。水も食事もままならない日々の中で、「便が出ない」「お腹が痛い」「吐いてしまう」となると、本当に心身ともに疲れ果ててしまいます

ですからまずは、「できない日があるのは当たり前」「自分の努力が足りないせいじゃない」と思ってもらえたら、と思います。

無理して水分を摂ろうとして余計につらくなるより、スプーン1杯のお白湯でも、氷を口に含んでも、果物やゼリー飲料からでもご自身なりの「摂れる形」を探したりして、体にやさしく対策をとっていけるといいですね。


また、便秘で痛みが強くなったときや、トイレで吐き気や冷や汗が出てしまったとき、それは「迷走神経反射」という体の防御反応である可能性もあります(※)。
腸が刺激されて、自律神経が過剰に反応し、血圧が下がったり脈が遅くなったりして、フラッとすることがあります。
とくに妊娠中はこの反応が起きやすいので、「トイレでがんばる」のはかえって危ないこともあるんです。

「うまく出す」より、「つらくならない方法を知る」こと。それが今はなにより大事なケアだと思います。

妊娠中の便秘の原因とお薬について

妊娠初期は黄体ホルモン(プロゲステロン)の影響で、腸のぜん動運動がゆるやかになります。
つわりで食べられず、水分も足りず、活動量も減っている…便が出なくなるのに、条件がそろいすぎているとも言えるくらいです。

「どうにもならない」ときは、お薬の力を借りるのも、立派なセルフケアだと思います。


たとえば、よく使われるマグミット(酸化マグネシウム)は、腸を無理に動かすものではなく、便に水分を含ませてやわらかくし、スムーズに出せる状態にしてくれるタイプの便秘薬です。
刺激が少なく、習慣性もほとんどないので、妊娠中にもよく使われています。

便秘薬には、「腸を動かして出す」刺激性のものと、「便をやわらかくして出しやすくする」非刺激性のものがあり、妊娠中は後者が基本的に選ばれます

ご自分で市販薬を使うのではなく、医師に相談して、そのときの体調に合ったものを処方してもらうのが安心ですね。

最後に

無理して出すより、無理なく出せる状態を整えることが大切です。
つわりと便秘が重なるこの時期は、できるだけがんばらない工夫が、大事なのかもしれません。

<参考文献・出典>※以下の文献を参考にしています

厚生労働省「働く女性の心と体応援サイト 妊娠出産・母性健康管理サポート」
▶妊娠中の身体の変化と対応ポイント:https://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/kaigo/henka

<本記事の回答者>

助産師として大学病院や自治体など多様な現場で経験を積み、妊娠・出産・育児から更年期まで、女性のライフステージ全体をサポートしています。誰にも相談しづらいお悩みも、どうぞお気軽にご相談ください。


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