妊娠中もカフェオレは飲める?安心して楽しむコツ【お悩み相談室】

今回は、妊娠がわかりカフェイン摂取に悩む20代女性からのご相談です。毎日のカフェオレ習慣をどうしたらよいか、不安を感じているとのこと。
妊娠中のカフェイン摂取に関する正しい知識と、無理のない工夫でカフェオレを楽しむ方法について、助産師がアドバイスします。
妊娠中はカフェインを摂取してはいけないと聞きました。昨日妊娠が分かり、6週目に入ったところです。私はカフェオレが大好きで、朝起きて必ず飲むし、仕事中も帰宅後も飲んでいます。念願の妊娠なのでとても嬉しいのですが、カフェオレが飲めなくなることに不安を感じています。母や叔母に相談したら、母の世代はカフェインを控えるように言われたことがなかったようで、「どうして控えなきゃいけないの?」と逆質問が来ました…。友人が妊娠中も「カフェインが飲めなくてつらい。」と言っていたことを思い出してどの情報が正しいのか分かりません。妊娠中のカフェイン摂取はやめたほうがいいでしょうか。カフェイン好きな方が妊娠中どのように過ごしていたのか教えてください。
(20代、女性、ハンドルネーム:無花果、職種:事務・オフィスワーク)
最初に
まずは、妊娠が分かったばかりとのこと、本当におめでとうございます。
6週目ということは、まだ実感がふわふわしていたり、これからどんなふうに身体が変わっていくのか少し不安もあったり、心もからだも少しずつ準備を始めている頃ですね。
そんななかで「カフェオレが飲めなくなるかも…」と戸惑っているお気持ちとのことですね。
長年の習慣は、ただの飲みもの以上の意味がありますよね。
朝起きたときの一杯、仕事の合間のリセット、帰宅後のホッとするひととき…。
その時間こそが、あなたの生活を支えてきたことだと思います。
「それが妊娠を機に全部なくなってしまうの?」と感じると、それは不安にもなりますよね。
世代によって「当たり前」の基準が違うことも、余計に混乱させてしまったのかもしれません。
今の時代に合った安心できる情報を知って、納得できる選択ができたらいいなと思います。
妊娠中も“好き”を大切に。カフェインとの付き合い方
妊娠中って「○○は控えてくださいね」と言われることが一気に増えて、ちょっと窮屈に感じることもありますよね。
でも、カフェインについても、「完全にやめなきゃいけない」というよりも、「どれくらいなら大丈夫か」「どう工夫したら楽しめるか」を知ることで、ずいぶん気持ちがラクになるかと思います。
特にカフェオレのように、心を落ち着けてくれる存在だったり、自分のリズムを整える時間だったものは、いきなり手放すのではなく、無理のない範囲でうまく付き合っていくという方針がとても大切です。
「毎日1回はお気に入りのカフェオレを楽しんでいい」と思えたら、それだけで妊娠生活の見え方が違ってきますよね。
そして、今は美味しいデカフェの種類もとても増えてきています。
味も香りも十分満足できるものもありますので、「ちょっと切り替えてみようかな」と気軽な気持ちで試してみるのもいいかもしれません。
なぜ妊娠中はカフェインに注意が必要なの?
では、どうしてカフェインやアルコールなどが妊娠中に気をつけるべきものとして言われるのでしょうか。
その理由は、赤ちゃんとお母さんをつなぐ“胎盤”にあります。
胎盤は、お母さんの血液から酸素や栄養を赤ちゃんに届けたり、赤ちゃんの老廃物を受け取ってお母さんの体で処理するなど、まさに“橋渡し”をしてくれる大切な臓器です。
ただしこの胎盤は、すべてのものをブロックしてくれるわけではありません。
たとえば風邪のウイルスやちょっとした病原菌などは通さないことが多いのですが、カフェインやアルコール、タバコの有害物質、あるいは一部のお薬などは胎盤を通り抜けて赤ちゃんに届くことがわかっています。
これらの物質が赤ちゃんの発育や体重に影響を与える可能性があるということで、注意が呼びかけられているのです(※)。
どのくらいなら大丈夫?カフェインの摂取目安
ただ、すぐに害があるというわけではなく、「摂りすぎなければ問題ない」とされているラインもあります。
たとえば食品安全委員会のファクトシートや世界保健機関(WHO)では、妊婦が摂取しても健康に悪影響がないとされる1日のカフェイン摂取量は200〜300mgまでとされています(※)。
コーヒーカップ1杯(150ml)で約90mgのカフェインが含まれていますから、カフェオレなら1〜2杯程度であれば基本的には心配しすぎなくても大丈夫、ということになりますね。もちろん、紅茶やチョコレートなど他のカフェインを含む食品もあわせて考える必要はありますが、「1日1回、お気に入りのカフェオレを楽しむ」くらいなら問題ない範囲と言えるでしょう。
それでも気になるときは、ぜひデカフェ(カフェインレス)を活用してみてください。
味も香りも工夫されていて、とても美味しいものが増えていますよ。
最後に
妊娠中は「全部制限する」ことがゴールではなく、「赤ちゃんのことを思いながら、自分らしいペースで過ごしていく」ことが何より大切です。
どうか心配しすぎず、安心できる範囲で、“ほっと一息”の時間を楽しんでくださいね。
<参考文献・出典>※以下の文献を参考にしています
厚生労働省
▶カフェインの過剰摂取について:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000170477.html
内閣府 食品安全委員会
▶食品安全委員会 お母さんになるあなたへ:https://www.fsc.go.jp/okaasan.data/okaasan20200619.pdf
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