血圧が少し高めで「妊娠高血圧症候群」にならないかと不安です【お悩み相談室】

今回は、妊娠中に「血圧が少し高め」と言われ、不安で眠れない日々を過ごしている30代女性からのご相談です。妊娠高血圧症候群を心配し、自分でできる予防や対策を探しているとのこと。
妊娠中の血圧との向き合い方や、無理なく続けられる生活習慣について、助産師がアドバイスします。
妊娠5ヶ月になりました。先日の検診で、血圧が少し高いと言われました。詳しく説明すると、先生からは今は正常値内だから大丈夫だけど少し高めで来てるからね、と言われただけで他のことは何も言われませんでした。自宅で調べて「妊娠高血圧症候群」のことを知り、不安でたまりません。赤ちゃんや自分の体に影響が出ないか心配で、眠れない日ばかり…。妊娠中でも安全に摂れる、血圧を安定させる食事や飲み物、生活習慣があれば教えてください。仕事は軽めの立ち仕事ですが、続けていいのかも悩んでいます。家での血圧管理も始める予定です。他に気をつけるべきことがあればぜひアドバイスをお願いします。
(30代、女性、ハンドルネーム:ひのき、職種:事務・オフィスワーク)
最初に
妊娠5ヶ月、お腹が少しずつふくらみ始めて、「赤ちゃん、元気に育ってるかな」と実感も湧いてくる時期ですよね。
でもその分、ちょっとした身体の変化が気になったり、不安になったりもすることも多いかと思います。
検診で「血圧が少し高めだね」と言われたとのことですね。
その場では「今は正常値内だから大丈夫」と伝えられたけれど、あいまいなまま終わってしまったような感じで、かえって気になってしまったのではないでしょうか。
「妊娠高血圧症候群」なんて言葉を目にしてしまえば、なおさら怖くなって当然です。
眠れない夜が続いているというのも、心身ともにお疲れのことと思います。
それでも、こうして自分で調べて、生活を整えようとしていること、本当に素晴らしいですね。
お腹の赤ちゃんのこと、ご自身の体のこと、どちらも大切にしたいという気持ちが伝わってきます。
だからこそ、今の状態を必要以上に怖がりすぎずに、でも経過をみながらできることを見つけていけたらと思います。
「少し高め」の血圧、どこまで気にすべき?
「血圧が高め」と言われると、すぐに何かしなきゃと焦ってしまいますよね。
でも今回のように、医師から「測ってください」とまで言われていない場合は、そこまで切迫した状況ではないということでもあります。
ですので、今の時点では、血圧は「気にかける」くらいがちょうどいいかもしれません。
もちろん、血圧を毎日測ることで「今日は大丈夫」と安心できるようなら、朝の決まった時間に測る習慣を取り入れても大丈夫かと思います。
ただ、数字に一喜一憂してしまったり、「また上がってるかも」と毎回ドキドキしてしまうようなら、逆にそれが血圧を上げてしまうこともあるんです。
妊娠中は気持ちの落ち着きが血圧に直結することもあるので、「安心して過ごすこと」自体が予防になります。
今は、まずは生活習慣を整えることから始めて、体からのサインがあった時に「じゃあちょっと測ってみようかな」くらいのスタンスがちょうどいいのではないでしょうか。
不安な時ほど「何かしなきゃ」と思いがちですが、妊娠中の体はすごく敏感です。
だからこそ、まずはご自身が安心して過ごせる環境を作ることが、赤ちゃんにもつながっていくかと思いますよ。
妊娠高血圧症候群の兆候とは
妊娠高血圧症候群の兆候にはいくつかあります。
たとえば、急に手足や顔がむくむ、頭痛が続く、視界がチカチカしたりまぶしく感じる、体重が急に増える(1週間に500g以上)、胃が重たくてズキズキするような感覚、などが代表的です(※)。
こうした変化が出たときに「血圧が関係してるかも」と考えて、測ってみるというのが負担の少ない方法かもしれませんね。
血圧計があれば、そういうときに測って記録しておいてもいいし、持っていなければ、次回の健診のときに相談してみても良いかと思います。
血圧安定の生活習慣と仕事との両立
日常の過ごし方としては、「塩分を控える」「野菜や海藻、豆類などカリウムの多い食品を取り入れる」「夜更かしを控えて睡眠をしっかりとる」「水分をこまめにとる」「無理のない範囲で運動する」などが、血圧の安定につながると言われています。
また、お仕事については、軽めの立ち仕事とのこと。今のところ医師から特別な制限が出ていないなら、無理のない範囲で続けていただいて問題ないと思います。
ただし、長時間立ちっぱなしにならないように、座れる時は座って休むこと、帰宅後に足を少し高くして横になることなどで、血流を整えていくと、体が楽になると思いますよ。
最後に
今、大切なのは、「怖がりすぎないこと」です。
もちろん、妊娠中は様々なリスクを伴いはしますが、体を大切にしながら、ご自分に合ったペースで日々を過ごすことが、赤ちゃんとあなたの一番の守りになります。
放置するわけでもないけど、気にかけて過ごす、難しいバランスではありますが、日々の生活の中で、ご自身が心地よいと思うことを選択してみてくださいね。
<参考文献・出典>※以下の文献を参考にしています
公益社団法人 日本産科婦人科学会
▶妊娠高血圧症候群:https://www.jsog.or.jp/citizen/5709/
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