飛行機?新幹線?つわりの中での帰省方法に悩んでいます【お悩み相談室】

妊娠・出産
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妊娠初期のつわりが重く、ひとりで過ごすのがつらいという30代女性からのご相談です。遠方の実家に帰るか、母親に来てもらうか、帰るならその手段はどうしようと判断に迷っているとのこと。

妊娠中の移動の注意点や過ごし方のポイントについて、助産師がアドバイスします。

つわりがひどく、妊娠3カ月目の今は食事の用意も家事もままなりません
夫は海外出張中で3カ月は戻らず、日中はひとりきり。このままひとりでお腹の子を心配しながらつわりに耐えて過ごせる気がしません
夫や母からも心配されていて、PCがあれば在宅で仕事ができるので実家に帰ろうかと考えています。

ただ、実家は遠方で飛行機か新幹線を使わないと行けないんです。慣れているのは飛行機ですが、つわりがつらい中の移動や、胎児への影響が気になっています

安定期まで我慢した方がいいのか…でもこの状況で2カ月も耐えられるのか…
母は「私がそっちに行こうか」と言ってくれますが、足が悪く持病もあるため、それも心配です。

この状況のまま我慢すべきなのか、母に来てもらうべきなのか、実家に帰るべきなのか。
帰るなら飛行機と新幹線のどちらで帰った方がいいのか

ネットで調べると「赤ちゃんがかわいそう。妊婦で飛行機に乗るな」とか目にしてしまって、周りに相談するのも怖くなりました。妊婦健診もまだ先です、どうするのがいいのか教えてください。

(30代、女性、ハンドルネーム:のりたま、職種:クリエイティブ)


最初に

のりたまさん ご相談ありがとうございます。

ご主人が海外出張中でご不在な中、お一人でひどいつわりを抱えながら過ごしておられるのですね。心細く、お腹のお子様への心配もあり、お一人で過ごすことに限界を感じておられる様子がわかりました。

今回は妊娠中の長距離移動について、乗り物の影響をお伝えし、のりたまさんが今後どうすることがご自身にとって良いのかを考えるサポートができればと思います。

妊娠中の移動に対する基本的な考え方 

まず、つわりがある時に限らず、妊娠中に長距離移動をする際は、今までよりもスケジュールに余裕をもって、休憩をはさみながらにしましょう。

特につわりがひどい時や、お腹が大きくなってきた頃は、体力的にも負担がかかります。
大丈夫と思っていても、外出先で急に気分が悪くなったり、ふらつく可能性もありますので、焦らなくても大丈夫なように、乗り換えなどはゆっくりしか動けない、とご自分に言い聞かせた上で、予定を組まれた方が良いと思います。

飛行機と新幹線、妊婦さんに負担が少ないのは?

以前には、飛行機の移動は、気圧の変化や揺れ、着席が求められるなど様々なストレスがかかるため、流早産の可能性の観点から避けた方が良いとされていました。


現在では機内環境は一般的には正常妊娠妊婦さんにとっては危険性は低いと考えられており、安定期である妊娠12~28週頃であれば、搭乗可能とされています。

しかし、安定期であっても性器出血、下腹部痛がある場合、ひどいつわりがある場合、切迫流早産、習慣性流産、不育症、前置胎盤、頸管無力症やその既往、妊娠中毒症などの診断を受けている場合や、貧血などがある場合は飛行機の利用を見合わせる方が良いとされておりますので、事前にかかりつけの産婦人科で飛行機に乗っても良いかどうかはご確認ください

また、実家に帰省されている間に妊婦検診が継続して受けられるように、紹介状の作成も依頼し、ご実家近くでの産婦人科も帰省後受診できるように予約しておきましょう
親子手帳も忘れず持ち歩きましょうね。

(里帰り出産を予定しておられるなら、分娩予約が必要な施設もありますので、事前に受け入れ可能かを電話で確認し、帰省中に受診されることをお勧めします。)

のりたまさんの場合、現状ではひどいつわりを抱えていらっしゃるため、飛行機の搭乗はお勧めできません

普段と違う手段となりますが、途中で下車や車内移動が可能な新幹線の方が過ごしやすいのではないかと思います。

もちろんこの場合も、事前に産婦人科医師に可能かどうかをご確認下さいね。

自由席は座れない可能性もあるため、座席は指定席を確保しておきましょう。
トイレがある乗降口のデッキ付近の座席がお勧めです。
また、通勤時間など利用者の多い時間帯は避けた方が良いでしょう


お一人での長距離移動は、荷物もあり、不安かもしれません。
しかし、マタニティーマークの着用や、我慢せず駅員さん・乗務員さんに頼めば、休憩室への案内や移動のサポートなどしてもらえると思います。

帰省の旅路の際、お母さまかどなたか付き添いの方がおられれば心強いと思いますが、お母さまの足が悪いことや持病のことも心配されておられるので、のりたまさんにとって、一人で帰省されることと、付き添いしてもらうこととのどちらが心身の負担が軽いか、それをもとに判断されたら良いのではないかと思います。

最後に

ネット上で多くの情報が得られる一方で、色々な考えや間違った情報もあり、余計に不安になったり、今回のように人に相談することが怖くなる場合もありますよね

今回のりたまさんが勇気を出して相談してくださったので、一人でつわりのしんどい状況を乗り越えなければいけないのか…と不安に押しつぶされそうな状況から、安心できるご実家への帰省が検討できるようになれば嬉しいです。


心細い中、頑張って過ごされていると思います。
しんどい時は一人で我慢せず、周囲に助けを求めましょう
きっと色んな方がのりたまさんに手を差し伸べてくれると思いますよ。

<参考文献・出典>

国土交通省
▶航空機利用に関する質問:https://www.mlit.go.jp/koku/15_bf_000718.html#:航空機利用に関する質問

<本記事の回答者>

谷村弥生

助産師/保健師/公認心理師

所属:株式会社ファミワン

産婦人科での様々な年齢層の方と関わっている勤務経験から、月経やホルモンバランスの乱れにより起こる症状や、病院受診を迷う症状、人に相談しにくいお悩みについて、あなたと一緒に考えていきます。もちろん心理的なお悩みも遠慮なくご相談ください。皆さんのフェムケアを応援したいと思っています。


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