妊娠中のお刺身、どこまで気をつければいい?【お悩み相談室】

妊娠・出産
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今回は、妊娠中にお刺身を食べてしまい、胎児への影響を心配している30代女性からのご相談です。妊娠中のお刺身について、実際どこまで注意すべきか知りたいようです。

妊娠中のお刺身の摂取と気をつけるべきこと、安心して食べるための工夫等について管理栄養士からアドバイスします。

妊娠がわかってから、食事にはできるだけ気をつけるようにしています。でも先日、久しぶりに友人と会って外食したとき、うっかりお刺身を食べてしまいました。「妊娠中に刺身ってよくないんじゃなかったっけ?」と不安になっています。
その日はとくに体調の変化はなかったのですが、ちゃんと赤ちゃんが元気かどうか、赤ちゃんに影響はないのか心配でたまりません。

できれば今後は安心して食事を楽しみたいので、妊娠中の刺身って実際はどこまで注意すればいいのか、避けるべき魚や食べ方などがあれば知りたいです。

(30代、女性、ハンドルネーム:はなな、職種:事務・オフィスワーク)


最初に

はななさんこんにちは。ご相談ありがとうございます。
妊娠中にお刺身を食べてしまったことへの不安はとても自然なものですし、大切な赤ちゃんを思う気持ちの表れです。
妊娠中にお刺身を食べる際のリスクと安心のための工夫について、お伝えしますね。

妊娠中、お刺身に注意が必要な理由

妊娠中にお刺身が注意されるのには、大きく2つの理由があります。

① 食中毒のリスク

生魚には細菌や寄生虫(アニサキスなど)が潜んでいる場合があります。
妊娠中は免疫が少し下がっているため、通常よりも食中毒にかかりやすく、重症化しやすいことが知られています。
母体に発熱や下痢が起こると、赤ちゃんへの影響も心配されます。

② 水銀のリスク

一部の魚には水銀が多く含まれることがあります。
水銀は胎児の脳や神経の発達に影響を与える可能性があるため、妊娠中は特に注意が必要です。

一度食べてしまっても、過度な心配は不要

今回、はななさんが外食でお刺身を食べた後、体調に変化がなかったとのこと。
その場合、多くは赤ちゃんに深刻な影響が出ることはほとんどありません。

「一度食べた=すぐに危険」ということではなく、大切なのは今後どのように注意していくかです。
ご自分を責める必要はありませんよ。

水銀の多い魚・少ない魚を知っておこう

厚生労働省のガイドラインでは、妊娠中に注意すべき魚が示されています。

水銀が多い魚(量を控える)

  • マグロ(クロマグロ、メバチ、キハダなど)
  • メカジキ
  • 金目鯛
  • クジラ肉

これらは週1回程度までが目安です。

比較的安心して食べられる魚

  • サーモン(養殖ものはアニサキスのリスクが低いとされる)
  • 真鯛
  • カツオ
  • イカ・タコ
  • 貝類(ただし新鮮さが大事)

妊娠中でも「どうしてもお刺身が食べたい」という気持ちを大切にしながら、工夫して安心につなげることも可能です。

安心して食べるための工夫

  • 新鮮なものを信頼できるお店で食べる
  • 冷凍処理された魚(アニサキス対策済み)を選ぶ
  • 水銀の多い魚を避け、量を控えめに
  • 体調が優れないときは控える

また、お刺身ではなく「焼き魚」や「煮魚」で楽しむのも安心できる方法です。

最後に

  • 妊娠中にお刺身を食べるときは「食中毒」と「水銀」に注意。
  • 一度食べて体調に問題がなければ、赤ちゃんへの大きな影響はほとんどなし。
  • マグロやメカジキなど水銀が多い魚は控えめに。
  • サーモンや鯛など比較的安全な魚を、量を少なめに楽しむ。
  • 「完璧に避ける」ではなく「安心できる工夫」を心がける。

妊娠中は「食べてしまった!」という後悔が、余計にストレスになってしまうことがあります。
ストレス自体が体に負担となるため、完璧を目指さず“できる範囲で気をつける”ことが一番大切です。

「赤ちゃんを大事にしたい」と思う気持ちがある限り、すでに十分すぎるほど頑張っていますよ。


<参考文献・出典>

厚生労働省
▶妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項:https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/suigin/dl/index-a.pdf
▶妊娠中・育児中の食中毒予防について:https://www.mhlw.go.jp/content/11907000/001127421.pdf

日本産婦人科医会
▶妊娠と栄養:http://www.jaog.or.jp/wp/wp-content/uploads/2017/01/95_160210.pdf

<本記事の回答者>

山本瑠美

管理栄養士

所属:株式会社ファミワン

保育園、老人ホーム、病院での勤務経験を活かし、0歳~高齢者の食を支援しています。食事は「生きる土台」、大切さはわかっていても、乱れたり習慣を変えることが難しい場合も。まずは完璧を目指すのではなく、個人の嗜好やライフスタイルに合わせた提案を心がけています。食べることや栄養の大切さを、わかりやすく楽しくお伝えします。


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