妊娠後期、夜中に足がつる…これって普通?原因と対処法【お悩み相談室】
妊娠後期になってから、夜中に足がつって眠れないという30代女性からのご相談です。
ふくらはぎの痛みが続き、寝不足や不安も重なってつらいとのこと。
今回は、妊娠中に足がつりやすくなる原因と、血流を整える工夫、食事や漢方を使ったケアの方法についても助産師がアドバイスします。
妊娠後期に入ったあたりから、夜寝ているときに足がつるようになり、何度も痛みで目が覚めてしまいます。妊娠中は足がつりやすいと聞いたことはありますが、なぜそうなるのか理由もわからず、毎晩びくびくしています。
とくにふくらはぎのツリがひどく、つったあともしばらく筋肉痛のような痛みが残り、朝起きたときに普通に歩くのもつらい日があります。
出産が近づくなかでこの痛みが続くのは不安です。
足を冷やしたり、寝る前にストレッチしたりと、自分なりに工夫していますが、妊娠中の足のツリを予防・軽減する方法があれば教えてほしいです。
(30代、女性、ハンドルネーム:もうすぐママ、職種:主婦)
目次
最初に
妊娠後期に入ってから、夜中に足がつるようになったのですね。
眠っている時に突然ふくらはぎが強くけいれんすると、痛みで飛び起きてしまいますし、翌朝まで、ひどいと数日間、筋肉痛のような違和感が残ることもあるかと思います。
寝不足にもつながっているとのことで、お産が近づきただでさえ眠りが浅くなる時期に、本当につらいことと思います。
足を冷やしてみたり、寝る前にストレッチをしたりと、いろいろ試しながら少しでも楽になろうと工夫されているのが伝わってきました。
実はこの時期の足のツリには、温めて血流をよくする方が合うこともありますので、そのあたりも一緒に見直してみましょう。
妊娠後期に足がつりやすくなるのはなぜ?
妊娠後期の足のツリは、血流や体のバランスの変化が関係していることが多いと言われています。
普段は全身を循環している血液ですが、お腹が大きくなるにつれて、下半身の血液が上半身に戻りにくくなるんですね。
「冷やす」より「温める」が正解?足ツリ対策の基本
また「冷やす」というのは、多くの方が“むくみ対策”のつもりでやってしまうのですが、妊娠後期の足のつりには逆効果のことが多いかもしれません。
筋肉は冷えると収縮しやすくなるので、冷却よりも温めて血流を促す方向の方が楽になることがあります。
寝る前のストレッチに加えて、足湯でふくらはぎをじんわり温めたり、就寝時にレッグウォーマーを使ってみるのもいいかと思います。
寝る姿勢も、左側を下にして足元を少し高くすると、下大静脈の圧迫がやわらぎ、血の流れがスムーズになりやすくなりますよ。
また、骨盤ベルトでお腹をやさしく支えてあげると、姿勢が整って下半身の血流が改善されることもあります。
ただし、締めつけすぎると逆効果になるので、日中の短時間から試してみるくらいが安心です。
完全にツリをなくすのは難しいですが、「痛みの頻度が減る」「朝のこわばりが軽くなる」といった小さな変化を感じられると、少し気持ちも楽になるかもしれませんね。
ミネラル不足が筋肉のけいれんを招くことも
こむらがえりは、妊娠による体の変化に加えて、ミネラルバランスの影響も関係していると考えられています。
妊娠中は胎児の発育にカルシウムやマグネシウムが多く使われるため、母体側の血中濃度が一時的に下がり、筋肉が収縮しやすくなる、と言われるんですよ。
カルシウムは牛乳や小魚、豆腐などに、マグネシウムは海藻やナッツ、玄米などに多く含まれています。
食事で摂るのが基本ですが、どうしても不足しやすい時期ですから、医師と相談のうえでサプリメントを利用しても構いません。
体の冷えが強い人には漢方が合う場合も
また、体の冷えや血流の滞りが強い方には、漢方薬が使われることもあります。
急な筋肉のけいれんに効果があり、妊娠中にも比較的安全に処方されることのある漢方もありますので、体質に合うかどうかを専門家に確認して使ってみるのもいいかと思います。
痛みが強いとき・左右差があるときは受診を
もし足の痛みが片側だけに強く出たり、赤みや熱感を伴うようなら、血のかたまり(深部静脈血栓症)など別の原因が隠れていることもありますので、
その場合はすぐに医療機関に相談してくださいね。
ほとんどの場合、出産後には自然と落ち着く症状です。
体を温め、巡りをよくして、少しでも穏やかな夜を過ごせるように工夫してみてくださいね。
<参考文献・出典>
厚生労働省
▶健康づくりのための睡眠ガイド 2023(案):https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001181265.pdf
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