妊娠中、生卵は本当にNG?食べられる卵・避けたい卵の安全ラインを教えて【お悩み相談室】

妊娠・出産
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今回は、生卵や半熟卵が大好きで、妊娠中も食べたい気持ちと「食中毒が怖い」という不安の間で揺れている30代の女性からご相談です。

妊娠中の卵の安全な食べ方や“どこまで加熱すればOKか”について、管理栄養士がアドバイスします。

妊娠中、生卵って食べない方がいいんですよね…?
朝ごはんはいつも卵かけご飯派です!釜玉うどんも簡単にできるのでよく食べます。オムライスも半熟がいいし、温泉卵を作っていろんなものにトッピングしちゃいます。卵のとろっとした感じがたまらなくて、妊娠前はしょっちゅう食べてました。

でも「食中毒になったら怖い」ですし、我慢しなきゃですよね…。ずっと我慢し続けられるのか不安でいっぱいです。
妊娠中でも「これくらい加熱すればOK」みたいな目安はありますか?
それとも完全にNGでしょうか…。もしダメなら、いつまで我慢すればいいのかも教えてもらえたら嬉しいです。

(30代、女性、ハンドルネーム:eggfan、職種:販売・サービス)


最初に

ご相談いただきありがとうございます。
まず、毎日の朝ごはんに「とろっとした卵」が楽しみだったお気持ち、すごくよく伝わりました。

妊娠がわかってから「好きだった食べ方を我慢しなきゃ…」と不安になるのは自然なことです。
妊娠中の「卵の安全な食べ方」を根拠といっしょに整理しつつ、できるだけ“おいしさ”を手放さずに過ごすコツをご提案させていただけたらと思います。

「生卵はダメって本当?」妊娠中の食中毒リスク

結論からお伝えすると、妊娠中は卵の「生・半熟(とろとろ)」は控えるのが安全です。

理由は、サルモネラ菌(卵の主なリスク)や、妊婦さんで重症化しやすいリステリア菌(主に未加熱の乳・食肉加工品など)など、食中毒の影響が妊娠中は大きくなりやすいからです。

厚生労働省や食品安全委員会、業界団体の情報でも、妊婦さんには生卵を避け、十分に加熱した卵料理をすすめています。

食中毒を防ぐ“75℃1分”の基準

では「どこまで加熱すればOK?」という目安です。
家庭の衛生管理では「中心温度75℃で1分以上」が基本の安全ラインとして示されています。
卵に限らず食中毒菌の不活化目安として用いられ、サルモネラ対策にも有効です。

一方で、“温泉卵”や“半熟とろとろ”は、中心が65~68℃前後にとどまることが多く、この温度帯はサルモネラの不活化には不足します。
研究でも、65~70℃の湯せんでは卵中心温度が水温近くにゆっくり到達し、質感は「温泉卵」になりますが、食中毒予防という意味では十分ではありません。

妊娠中でも楽しく安全に卵料理を食べるポイント

妊娠中の“安全な卵の楽しみ方”の実践ポイントをお伝えします。

しっかり加熱する

 ・目安:黄身と白身の両方が固まるまで(中心75℃1分)。
 ゆで卵は“固ゆで”、目玉焼きは黄身もしっかり、オムレツ・炒り卵・卵焼きは中心まで火を通す。

・親子丼・天津飯・チャーハンなどは「最後に強めの火で水分を飛ばす」イメージで。

卵かけご飯、や釜玉うどんの“代替レシピ”

「加熱卵ソース」を常備:溶き卵を小鍋で弱めの中火→温度計があれば75~80℃をキープして1分以上かき混ぜ続けると、とろりとした“卵ソース”になります(火を止めると余熱で固まりやすいので、だし・醤油・みりんでのばして調整)。

・釜玉風:うどんは熱々、卵は上記“加熱卵ソース”を絡める。
 香味油やバター少量、刻み海苔・小ねぎで満足感をプラス。

オムライスは「全熟」+追いあん(トマトソースやホワイトソース)で“とろっと感”を補う

卵の取り扱いの基本

殻にヒビのある卵は生食は避け、すぐ加熱
 割り置きはせず、調理後は長く置かない
 家庭でも「温かい料理は65℃以上を維持」「冷たい料理は10℃以下」を目安に。

“温泉卵・半熟”は妊娠中はお休み

・温泉卵(65~68℃で30分程度)や、黄身が流れる半熟は、リスクが残ります。
 とくに外食の温玉トッピングは避けましょう

“生卵NG期間”はいつまで?妊娠中〜産後の目安

“生・半熟”は「妊娠中は避ける」が目安です。
出産後は一般にこの制限は解除されます(授乳中はサルモネラが母乳に移行することは基本的にないとされます)。
ただし、ママ自身が食中毒でダウンすると育児がつらくなるため、産後すぐは体調を見ながら、清潔・温度管理・賞味期限をより丁寧に意識するのがおすすめです。

気持ちをラクにする小さな工夫

・“月に何回まで”という縛りではなく、「妊娠中は全ての卵料理を“よく火を通すスタイル”に統一する」と決めると迷いが減ります

・どうしても“とろっと感”が恋しい日は、上の「加熱卵ソース」や、とろみあん・温かいとろろ・豆乳クリームなど“別素材のとろみ”で満足感を置き換え

外食では「全熟でお願いします」「温泉卵は抜きで」と一言添えるだけで、ぐっと安心度が上がります

まとめ

妊娠中は生卵・半熟卵は控える。温泉卵やとろとろオムレツも不可。

・安全目安は「中心75℃で1分以上」。黄身も白身も固まるまで火を通す

取り扱い(ヒビ、割り置き、温度管理)も大切

・出産後は原則制限は解除。ただし体調と衛生管理を優先(授乳中に生卵=基本的に母乳への直接リスクはないとされる)。

“好き”を大切にしながらも、赤ちゃんとご自身を守るために「全熟アレンジ」で乗り切れます
レシピ化もできますので、「釜玉風」「全熟オムライス」など、よく食べるメニューから具体的に作りましょう。
無理に“完全我慢”ではなく、“安全に満足度を取り戻す”発想でいきましょう


<参考文献・出典>

厚生労働省
▶卵によるサルモネラ食中毒の発生防止について:https://www.mhlw.go.jp/www1/houdou/1007/h0722-1.html?utm_source=chatgpt.com
▶妊娠中・育児中の食中毒予防について(リーフレット):https://www.mhlw.go.jp/content/11907000/001127421.pdf?utm_source=chatgpt.com

 

<本記事の回答者>

山本瑠美

管理栄養士

所属:株式会社ファミワン

保育園、老人ホーム、病院での勤務経験を活かし、0歳~高齢者の食を支援しています。食事は「生きる土台」、大切さはわかっていても、乱れたり習慣を変えることが難しい場合も。まずは完璧を目指すのではなく、個人の嗜好やライフスタイルに合わせた提案を心がけています。食べることや栄養の大切さを、わかりやすく楽しくお伝えします。


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