桜餅が教えてくれた、食の力。管理栄養士として伝えたい、食べることの大切さ【管理栄養士 谷口 あゆこ】

妊娠・出産
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谷口 あゆこ

管理栄養士 / インナービューティープランナー

11年間、病院や施設、産婦人科で献立作成、調理、衛生管理、栄養指導に従事。その後、腸内環境を整える食事について学びなおし、2018年からは出張料理シェフとして妊活中から産後、離乳食、幼児食を中心に作り置き料理を提供しています。また、妊活中の方々の食事相談をサポートし、自宅では料理教室を主宰しています。

食べることを通じて人を元気にしたい

-谷口さんが管理栄養士を目指したきっかけを教えてください

管理栄養士を目指したきっかけは、「食べる」ことってすごいなと実感するできごとがあったからです。

それは私が高校生の頃の話です。母が手術をして2週間ほど入院したことがあり、その際に、母の好きな桜餅をお見舞いに持って行きました。術後の痛みが治らないと苦しんでいた母が「桜餅を食べたら痛みがおさまったよ」と言っているのを聞いて、食べるってすごいな、薬でも効かないほどの痛みでも、自分の好きなものを食べるだけでこんなに元気になるんだなとすごく感動しました。

もともと料理が好きだったので、それを活かせる仕事は何があるか調べた時に、管理栄養士という職を知りました。食で人を元気にできることに魅力を感じて、そこから管理栄養士を目指して大学に進学し、管理栄養士の資格を取得しました。

ー今現在取り組まれていることはなんでしょうか

私は現在、「管理栄養士×出張シェフ」として、出張料理や講座・料理レッスン、相談対応などを行っています。

特に、「腸活」をメインテーマに、腸から健康になるための知識と料理を学べる環境を提供したいという思いから、出張料理や料理レッスンに力を入れています。

以前は、精神科病院や特別養護老人施設などで管理栄養士として勤務していました。しかし、現場でできることには限界を感じ、もっと家庭での食事を充実させたいという思いが強くなり、今の活動を始めました。

食事は、ただ空腹を満たすためだけのものではありません。体も心も食べたもので作られていることをお伝えして、食事の大切さを広めていきたいと考えています。

出張料理や料理レッスンを通して、家庭でのごはん作りの楽しさを伝えるとともに、日本中のお母さんが健康できれいになってほしいという思いで活動しています。

ー取り組みの中で大事にしていることや心がけていることはありますか

家でもお客様の前でも、料理をつくる上で心がけているのは、食べてくれる人を意識して、この人のためにやってあげたいという思いで向き合うことです。

ダイエットサポートでは、前向きに楽しく取り組んでいただけるよう心がけ、目標達成後の生活も見据えたアドバイスを提供しています。

食事は何をどう食べていくか、栄養バランスをとりながら心地よく食べるにはどうすればいいかを考えることが大事です。体や心がどう変わっていくのかを想像しながら、「これを食べてはいけない」という否定的な言葉ではなく、一緒に未来を見ていけるようなアドバイスを心がけています。

-やりがいを感じたエピソードなどあれば教えてください。

出張料理だと、やはりつくった料理に対して喜んでくださるというところが一番のやりがいですね。3時間で14〜15品つくるのですが、お料理を並べる瞬間にすごく達成感があります。

妊活中、妊娠中、育児中など、食事に気を付けたい時期にもかかわらず、なかなかご自身で栄養バランスのとれた食事を作れないとお悩みの方に対して、管理栄養士の知識を活かしてお手伝いできることはうれしいことです。

出張料理で、妊活中の方や小さなお子さんを持つお母様方に喜んでいただけることが、私にとっての「やっていて良かった」という実感につながっています。

―ちなみに食事作りへのモチベーションの上げ方の工夫はありますか

私自身は、料理を作ることをすごく楽しんでいて、仕事でありながらストレス発散にもなっています。

でも日々忙しい中でなんとなく料理が億劫な時もありますよね。そんな時は、料理本をパラパラと見てみるとか、気に入ったエプロンを身につけるとか、気持ちを切り替えるようなことをしてみてください。私は割烹着を身につけるとやる気がでます(笑)あとは普段使っている包丁を職人に研いでもらうのもおすすめです。

ただ、なにより大事なのは「無理をしないということ」だと思っています。料理を自分で作って食べるということも大事ですが、無理をして嫌々やってしまうと、料理を作るときも食べるときも体にとってかえってストレスになってしまいますよね。

食べづわりは自分の気持ちと向き合いながら心配し過ぎなくて大丈夫

-妊娠をされている方や出産を控えている方からはどんなご相談がやお悩みが多いですか

妊娠中はどんな食事が良いのかというご相談は多くいただきます。

他にはどんなサプリメントをとった方がいいのかというご相談や、つわりについてのご相談、特に食べづわりのお悩みが多いですね。

ー食べづわりって、つい食べ過ぎてしまうことですよね。栄養面での不安などを感じる方が多いと思うのですが、どのようなアドバイスをされていますか

食べてしまうのは仕方ないことなので、相談者さんが実際にどうしたいか、不安に思っていることは何かを聞きながらアドバイスの仕方も変えています。

気がつくとつい食べ過ぎてしまうと悩んでいる方へは、1回に食べる量や1日の回数を決めて食べることをアドバイスします。体に悪そうだと思いつつも特定のものを食べてしまうと悩んでいる方には、普段の食生活などをお伺いしつつ、不足している栄養素や食材を取り入れてみませんかといった提案やアドバイスを行っています。

ーなるほど、同じ食べづわりといっても個々に不安に思う点って違いますよね

そうなんです。不安は人それぞれなんですよね。

また、妊娠期のお悩みに加えて、最近は離乳食や幼児食などのご相談もいただくことも多くなりました。これまでは大人の方をメインでサポートしてきたので、相談者さんのお子さんの食事についてご相談を受けることは新鮮でしたね。

離乳食は味付けをしなくていいので、実は誰でもできる一番簡単な料理なんです。

月齢によって食材の選定や形状を段階的に変えていく難しさはありますが、お出汁をとりながら野菜を適当に切って煮るだけでいいんです。

無理をする必要はありませんが、やってあげたいという気持ちで作ってみた食事をパクパク食べてくれたら、お料理を楽しいと思うきっかけにもなるのでおすすめしています。

なによりの基本はよく噛んで食べること

-読者へのメッセージをお願いします。

基本中の基本ですがよく噛んで食べることを思い出してほしいです。

食材や栄養素のことを考えることはもちろん大事ですが、なによりも、よく噛んで食べることが大事です。これはお金もかからないし、この記事を読んだ瞬間からできることかなと思います。

みなさんいろいろな新しい情報を求めがちですが、食べることの基本ができていない方も多くいらっしゃいます。お腹が空いていると、ついついよく噛まずに食べちゃいますよね。そんな時はふとこの記事を思い出して、よく噛んで食べることを心がけてほしいなと思います。

短時間でも体を動かすことで気分をリフレッシュ

-谷口さんオススメのリフレッシュ方法をお聞かせください

体を動かすことですね。

ストレッチをしたり部屋の中を歩き回ったり、5分10分のほんの短い時間だけでも気分転換をすることで、集中力も高まります。

私自身、育児のことで悩んでモヤモヤしてしまうことも多くて、子どもにあたらないように体を動かして気持ちの切り替えをしています。

あとは、私、夜6時になったらビールを開けるって決めているので、それが毎日の楽しみです。管理栄養士という立場として言っていいかわからないですけど、日々のリフレッシュが決まってるのはいいですよ(笑)

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