つわりと無気力感、赤ちゃんをむかえることが不安です【お悩み相談室】

妊娠・出産

2024.10.09

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今回は、妊娠中の体調変化と精神的な不安定さに悩んでいるという30代の女性からのご相談です。お腹の子どものために笑顔で過ごしたいのに、気持ちのコントロールが難しいとお悩みのようです。

落ち込む気持ちへの向き合い方について、公認心理師・臨床心理士がお答えします。

こんにちは。
私は現在妊娠中で、つわりや体調の変化に悩んでいます。特に電車通勤がとても辛く、周囲の方々の臭いに敏感になってしまい、吐き気をこらえるのが大変です。さらに、全身のだるさが原因なのか無気力感があり、仕事や家事が思うように進まず、こんな自分が赤ちゃんをしっかり育てられるのか不安になっています。
夫も私の母も体を労わってくれて嬉しいはずなのに、ふとした瞬間に孤独感に襲われ、悲しくなってしまうことがあります。
お腹の子のためにもできれば笑顔で過ごしたいのですが、自分の感情を自分でコントロールすることが難しいと感じています。
このような状況をどう乗り越えたらいいのか、アドバイスをいただけると嬉しいです。

（30代、女性、ハンドルネーム：パイナップル食べたい、職種：事務・オフィスワーク）

“いつか終わりが来る”つわり、がんばりすぎず自分を労わって

こんにちは。ご質問ありがとうございます。ご妊娠され、つわりが大変な中でお仕事も家事も頑張っておられるとのこと。とてもつらい状況だと思います。

つわりは、妊娠によるホルモンバランスの変化により起きる、吐き気、嘔吐、食の好みの変化などを指します。50%以上の妊婦さんが経験すると言われています。しかし、なぜつわりが起きるのかは解明されていません。長時間に渡って身体の不調を体験すると、強い疲労感や気持ちの落ち込み、「どうして私ばっかりこんなにつらいの？」という孤独感や悲しみを感じたりもします。ホルモンバランスの変化そのものが落ち込みや悲しみの感情を呼び起こすのですが、長時間の身体的つらさから、二次的に感情が不安定になることも少なくありません。

つわりは個人差がとても大きく、全くないという方もいれば、つらくてつらくて何もできない方もいます。また、他の人からはつらさの程度が見えないため、「大げさじゃないの？」「母親になるのだからそれくらい我慢しなくちゃ」と言われて傷付いてしまうこともあります。直接誰かにそのような言葉をかけられなくても、自分でそのように思い詰めてしまう場合があります。あなたは今、まさにそのような状態なのかもしれませんね。

つはりは、一般的に妊娠9週ころまでに発症し、12週頃から落ち着くことが多く、長くても20週頃までにはほとんどの方が落ち着いている場合が多いです。(ただし、中には妊娠後期まで吐き気などが残っている方もいます。)

まずは、安定期の頃には落ち着くことが多いという理解をして、「いつか終わりが来る」と見通しをもって見てください。

また、つわりは妊娠によってホルモンバランスが変化し起きているものですから、その波にあらがって「自分の感情を安定させなければ」とがんばる必要はありませんよ。涙が出る時は思い切り泣いて、つらい時は弱音も恨み言も声に出しましょう。

そして、お腹の中で赤ちゃんが一生懸命に育ってくれている。そのことを褒めてあげてください。そして、生命をお腹の中で育てるという大仕事に努めているご自分を、褒めてあげてくださいね。

勤務先に勤務時間や通勤方法を相談できる仕組みがあります

つわりがあまりに重たい時は、主治医と相談して会社に相談しましょう。

医師から指導があった場合には、会社に対して勤務時間の短縮や通勤のための交通手段の変更、業務中の適宜の休養、休憩時間の延長などを申し出ることができます。これは、男女雇用機会均等法に定められているものです。遠慮なく会社にご相談くださいね。

そのとき、厚生労働省が作成している「母性健康管理指導事項連絡カード」を活用することも効果的です。このカードは、医師が必要事項を記入し、妊婦さんが上司に提出して「医師からこのような指導が出ているので、通勤手段や勤務調整について相談させてください」と申し出るために使うものです。

詳しくは厚生労働省のホームページをご覧ください。

回答者：臨床心理士、がん・生殖医療専門心理士

生理・PMS・更年期・妊娠・出産・女性特有のがんなど、女性の健康課題やライフイベントに関するご相談を専門にしています。セックスレスや性交痛、パートナーとのコミュニケーションなど、性のお悩みについてもカウンセリングを担当しています。女性特有の心と身体の問題、なかなか人には話せないプライベートなお困りがあれば、是非お気軽にご質問ください。