更年期は気づく・知る・受け入れることで働き方を変えられる。ホルモン検査キットの活用方法とは【あすか製薬メディカル 花塚 達郎】

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花塚 達郎

株式会社あすか製薬メディカル 営業企画部 係長

経歴​

2009年:日本大学生物資源科学部 生命科学科(旧:農芸化学科) 栄養生理科学研究室 ​
2009-2013年:あすか製薬入社 医薬品営業本部 東海エリア
2017-2023年:医薬品営業本部 東京エリア​
2023年:株式会社あすか製薬メディカル 営業企画部 出向​

資格

医薬品情報担当者
ネットマーケティング検定
ちぇぶら認定 更年期ライフデザインファシリテーター

ホルモン量測定キット Proges:https://www.aska-pharma.co.jp/media_men/proges-kit/

みんなのホルモン研究所:https://www.aska-pharma.co.jp/media_men/

髪の毛を切って送るだけ、手軽に女性ホルモンの量を測定できるキットを開発

ー花塚さんのこれまでのご経歴を教えてください

日本大学の生物資源科学部 生命科学科(旧:農芸化学科)栄養生理科学研究室で白血病の細胞を扱う研究を行っていました。もともとは生物が好きでこの学科に進んだのですが、研究を進めていく中で医療分野に興味を持ち、新卒であすか製薬株式会社に入社しました。

主に医薬品の営業担当として、三重県や名古屋、そして東京23区内を担当しました。2023年からあすか製薬メディカルの営業企画として、予防・未病分野で貢献できるホルモン量測定キットの販促、普及業務に従事しています。

ー本日は女性ホルモンの量を測れるキットのお話が伺えるとのことで、楽しみにしていました。さっそくですが、どのようなキットなのでしょうか

今日ご紹介するのは、毛髪を使って女性ホルモン量を測れる、ホルモン量測定キット「Proges プロジェス」です。

Proges公式ページ:https://www.aska-pharma.co.jp/media_men/proges-kit

ホルモン量測定キット Proges(プロジェス)

※本検査キットでの検査は、疾患や病状を診断するものではありません。

このキットは、毛髪に含まれる女性ホルモンの一種である「プロゲステロン」の量を測ることができます通常、ホルモン量の測定は血液で行われるのですが、このキットでは髪の毛を使って測定します。採血するのとは異なり、痛みや感染症のリスクがなく、ご自宅等でご自身のタイミングで実施できる点が特徴です。

ー女性ホルモンの量が測れるとのことですが、測ることによって何ができるのでしょうか

ご自身の今の女性ホルモンレベルがわかるため、更年期のセルフチェックに利用できると考えています。

更年期になると、さまざまな症状が出ます。ほてりやホットフラッシュなどはわかりやすい症状ですが、その他にも肩こり・腰痛・背中の痛み、めまい、なんとなくだるいなどがありますね。これが風邪の症状なのか、疲労なのか、メンタル的なものなのか、更年期症状なのか、ご自身では判断できないことも多くあると思います。

更年期症状の場合は、ホルモンの値を参考にしていただくことで、更年期症状なのかそれ以外の原因なのかの判断がしやすくなります。また症状の発生原因がわかることによって、対策方法が選びやすくなります。

年齢によるプロゲステロンの変化グラフ

ーちなみに、なんとなく更年期の症状っぽいけどどうなのかな?という段階で使っても、ある程度目安として数値が出てくるものでしょうか

はい、更年期のセルフチェックとしてお使いいただけます。

更年期症状のあらわれるのは閉経前後とされており、日本人の平均閉経年齢は50.5歳と言われています。しかし、閉経には個人差があり、更年期症状も40代前半で症状が出る方もいらっしゃいますし、50代後半でもまだ閉経していない為、症状がないという方もいらっしゃるなど、とても個人差が大きいんです。

また更年期症状だと思っていても、実際は、鬱病やメニエール病、リウマチや貧血など、別の疾患が原因の可能性もあります。

たとえば、女性ホルモン値が高いのに更年期の様な症状がある場合は、甲状腺の病気が原因の可能性もあります。甲状腺の病気は女性に多いですが、あまり知られていない為、何か症状がある場合は早めに専門医療機関に相談された方が良いです。

少しでもご自身のからだの状態を知るという点でも、気軽にこのキットをお役立ていただければと思います。

ー測定結果はどのように届いて、なにがわかるのでしょうか

毛髪を採取して投函していただくと、後日登録したメールアドレス宛に結果レポートが届きます。数値だけでなく、「低い」か「十分」かを4段階のレベルで表示しています。

また、女性ホルモンが低いことによって起こる症状についての説明や、入浴、食事、栄養、運動などセルフケアに関する情報、婦人科を受診する場合の準備やポイントなども掲載しています。医療機関への受診や生活習慣を見直すきっかけづくりとして役立てていただきたいと思っています。

レポートイメージ

ー開発の中で苦労された点を教えてください

毛髪からプロゲステロンの値を計測するということが初の試みで、想定通りのデータを取ることができるのかという点がまず課題でした。

女性ホルモンと言うと「エストロゲン」をイメージされる方が多いと思います。私たちも当初はエストロゲンにチャレンジをしましたが、エストロゲンの特性上、髪の毛から測定することが今の技術ではできませんでした。その時にもう一つのホルモン「プロゲステロン」で同じようなことができないかと着想して、チャレンジをして、視点を変える事でうまくいったという形となります。

女性の場合、月経周期やライフステージでホルモン量が大きく変動します。そのため、女性ホルモンを正しく測定できているかの検証として、さまざまなケースの女性に協力いただいて試験を行う必要がありました。

産婦人科医の意見を受けながら、月経の状態、ピルの服用歴、妊娠歴、妊娠回数、体重や身長、BMIなどの個人差を踏まえ、試験の設定を考えるのが非常に大変でした。

“更年期を自分ごと化” 気づく、知る、受け入れることで女性の働き方が変わる

ー花塚さんは、この製品をどのような思いで取り扱っていらっしゃいますか

このキットは、他の研究者と共に、私たちがほぼゼロから企画をして開発、製品化まで行いました。世の中に少しでも役に立つものとして広がってほしいですね。

今はまだ発売したばかりで、展示会などに出展して商品を広めていく段階ではありますが、フェムテックのサービスを取り扱う他の企業や健康経営に取り組んでいる企業からの関心は高いと感じています。

ーたしかに、多くの企業が健康経営や女性活躍推進への取り組みに注力されていますよね。今後、福利厚生などで更年期へのサポートに対するニーズが高まりそうですね

はい、実は、”団塊ジュニア”と呼ばれている、第二次ベビーブーム世代に生まれた方たちが、これから更年期世代となります。男女ともに更年期への注目度は高まるのではないかと期待しています。

ー花塚さんがフェムテックに興味を持たれたきっかけはあったのでしょうか

フェムテックに限らずですが、「予防」することの重要性に気づいたことがきっかけです。

私自身、不妊治療をして双子を授かったのですが、出産の1年後には妻が乳がんになっているんですよね。妻の治療と子どもの世話、そして仕事をこなす中、自分自身も体調を崩してしまいました。自身の体調不良が、自分や家族だけでなく周りにもすごく影響を与えることを強く実感したんですよね。

体調を崩したり病気になったりする前に、「予防」に目を向けることで、時間もお金も有効に使えるのではないかと考えています。

ー今後の展望を教えてください

まずは「更年期」を自分ごとにしてもらうことが重要と考えています。

更年期のことを正しく知って、まずは自分の状態を知るために検査キットを使い、キットを使うことで対策をして、生産性が上がるというストーリーをつくっていきたいと思っています。

まだまだ一般の方には「ホルモン」に対しての認知度が低いと思いますので、同じ思いを持った企業と一緒に、セミナーや情報発信をしていけると普及も早まるのではないかと考えています。

日本で「更年期」というと少しネガティブなイメージがありますが、海外では ”The Change of Life” と言って、人生を前向きに捉えるという時期なんですよね。

そのためにやはり気づく、知る、受け入れることが重要で、更年期を早めに知って、早めに対策をすることによって、女性の働き方も変えられるんじゃないかなと思っています。

女性特有の健康課題による経済損失について、PMSが6,828億円、更年期は男女合わせて6,300億円と言われています※1。更年期症状によって仕事に何らかのマイナスの影響を及ぼす、いわゆる「更年期ロス」は100万人にものぼるというデータが出ています※2

実際にPMSや更年期についての知識があったり、ヘルスリテラシー※3を持ち対策がとれていると、仕事のパフォーマンスが下がりにくいと言われています。ご自身の状態を知って早めに対策するという部分で、私たちのキットが少しでもお役に立てればと考えています。

※1:日本医療政策機構「働く女性の健康増進に関する調査2018(速報版)より
※2:NHK更年期と仕事に関する調査2021より

※3:健康面での適切な意思決定に必要な、基本的健康情報やサービスを調べ、得、理解し、効果的に利用する個人的能力の程度を意味する

男女とも更年期に早めに気づき、備えることで上手に対策

ー読者へのメッセージをお願いします

更年期というのは、男性にも女性にもあります。ご夫婦やパートナーの方と更年期に備えていただくことで仲良く過ごせると思います。

女性の更年期症状は、200種類あると言われていて個人差もあります。40代の半ばから50代の後半に来るだろうなという予測がつくと思いますので、この検査キットを使うことで、早めの対策に活用してほしいと思います。

男性の更年期は、泌尿器科への受診という部分が、とてもハードルが高く対策や治療が遅れがちです。また男性の更年期はメンタル面への影響が出てしまうこともあるため、早めに気づいて対策することが重要です。男性ホルモンは、生活習慣や食事、筋トレなどで対策や改善できます。

一般的に、女性の方は健康に対して予防型で、男性は対処型と言われることもあります。そこに加えて、男性の更年期については恥ずかしさもあり、周囲に相談できず抱え込んでしまうという傾向も課題としてあるみたいですね。

当社では男性の更年期のセルフチェックとして毛髪でテストステロン量を測定できるキットもありますので、ぜひお互いのことをよく知るためにも検査キットをご活用いただきたいなと思います。

サウナで自律神経をととのえて、ホルモンの分泌をアップ

花塚さんオススメの、リフレッシュ方法や気持ちのリセット方法をお聞かせください

サウナです!

サウナは、ストレスの原因となるホルモン「コルチゾール」を下げることも報告されていて、「ととのう」というのは自律神経が整った状態なんです。

自律神経が整うと、睡眠の質が改善されます。ホルモンは寝ている間に作られるので、よく眠れるということは、ホルモンの分泌が良くなり健康維持につながると思っています。

ただし、サウナの入り方も個人差があるので、人と比べたり真似したりはせず、ご自身にあった「ととのい方」を見つけてくださいね。

※本検査キットでの検査は、疾患や病状を診断するものではありません。

(取材:2024年9月)


本記事は、取材時の情報に基づき作成しています。各種名称や経歴などは現在と異なる場合があります。時間の経過による変化があることをご了承ください。

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