〜女性の新しい選択肢〜穿くだけで生理痛を緩和するサニタリーショーツ「onaka想い®︎」【セーレン 藤本 朋美・塩田 清太郎】

目次
総合繊維メーカーがフェムテックブランドを立ち上げ
ーフェムテックブランド事業でのご自身の役割を教えてください
塩田さん セーレン株式会社のインナー販売部の責任者として、フェムテックブランド「hanayaka®」の立ち上げを担当しました。セーレンは、大手インナーアパレル企業のナンバーワンサプライヤーですが、「hanayaka®」は自社ブランドの開発としての新しい試みでした。
藤本さん 塩田部長のもと、インナー販売部で企画を担当しています。「hanayaka®」というブランド名には、女性を美しく華やかに、気分が落ち込んでいても身に着けることで華やかになってほしいという願いを込めています。
マクアケで好評「スタイルアップ機能付き吸水ショーツ」
ー「スタイルアップ機能付き吸水ショーツ」を販売されていますが、開発のきっかけは何だったのでしょうか
塩田さん もともとは新型コロナウイルスがきっかけになります。私たちがコロナ禍で最初につくった商品はマスクでしたが、マスク用の素材開発が吸水ショーツのアイデアにつながりました。そういう意味では、コロナウイルスの流行がなければ「hanayaka®」ブランドも商品も生まれなかったということですね。
ーなぜ吸水ショーツに着目されたのでしょうか
塩田さん ここ数年で吸水ショーツが静かなブームになっていて、大手ブランドでも販売されていましたが、私たち素材メーカーからすると、素材の品質が十分ではないと感じていました。
私たちは福井に自社工場を持っているので、納得のいく商品を一貫生産できるという強みがあります。吸水ショーツのために専用の素材を開発し、特許素材・特許製法を活用した、企画・製造・加工まで自社で行いました。
業界初でスタイルアップ機能を付けた吸水ショーツを、クラウドファンディングサービスのMakuake(マクアケ)に出品したところ、大きな反響をいただきました。

着るだけで生理痛を緩和する「onaka想い®︎」が世に出るまで
ーサニタリーショーツの「onaka想い®︎」は、どのような思いで開発にあたられたのでしょうか
塩田さん 先ほどの吸水ショーツの開発もそうですが、多くの女性を笑顔にしたいという思いです。そのためには、女性が本当に悩んでいる課題を解決していく必要があります。社内でいろいろ検討した結果、生理痛を緩和する商品の開発に挑戦する事に決めました。私たちは素材メーカーですので、私たちらしく素材の力で女性の悩みを解決したいと考えました。
「リカバリーウェア」をご存知かと思いますが、リカバリーウェアが出始めた頃から、その機能性に注目していました。「リカバリーウェアの機能を上手に使うことで、生理痛が軽減できるのでは?」との仮説から、開発が始まりました。
私は営業職ですが開発が大好きな人間なので、素材の可能性にかけて研究開発を進めました。お金をかけても生理痛緩和の効果が出ないかもしれないとの思いもありましたが、臨床試験では、非常に良いエビデンスを取得できました。

ー「onaka想い®︎」は着るだけで生理痛を緩和するそうですが、その仕組みをぜひ知りたいです
塩田さん お腹を温めることで生理痛が和らいだご経験のある方も多いと思います。遠赤外線により血行が促進されて痛みが和らぐのですが、私たちは繊維の力でそれを行っています。ちょっと難しい言葉になりますが、「onaka想い®︎」は国に届出を出している一般医療機器の「家庭用遠赤外線血行促進用衣」という扱いです。
具体的には「A・A・TH Medical®繊維」という繊維を使用しており、左下の写真は繊維を拡大したもので、黒っぽい粒子はナノ化されたレアメタルです。
10数種類のレアメタルを練り込んでおり、太陽の光、照明、人体などから発せられるエネルギーを吸収して遠赤外線に変換します。遠赤外線が身体に輻射され血行促進作用を生み出します。
血行促進作用により「疲労回復」「痛み緩和」に効果・効能があります。着用によって、鎮痛薬なしで生理期間中を過ごせた方もいらっしゃいます。具体的なエビデンスについては、論文で発表されています。

藤本さん 生理の約1週間前の着用をおすすめしています。血行が良くなった状態で生理が始まるので、月経痛の緩和や生理期間の短縮につながるようです。PMSや冷え症の方にもおすすめです。
より多くの女性を笑顔にするためのこだわりポイント
ー「onaka想い®︎」はサイズ展開が豊富と聞きました
藤本さん はい。できるだけ多くの女性の悩みに寄り添いたいという想いから、Sから3Lまでの5サイズ展開にしました。3Lサイズは普通に大きくするだけではなかなかフィットしてくれません。そうしたら、3Lサイズの女性社員が協力を申し出てくれて、実際にフィッティングして改良しました。
SサイズがないからMサイズを選ぶしかなかったお客様にも購入していただいて、Sサイズの注文比率が高かったですね。
ーデザインのこだわりポイントを教えてください

藤本さん サニタリーショーツは黒や無地の商品が主流ですが、自社の技術をもとに柄物も展開しました。無地のようにも見えるフラワープリントなので、主張し過ぎず穿きやすいと思います。さわやかなセージグリーンは人気が高かったカラーですね。
素材は特許素材のFLEXMOVE®を採用しており、、360度全方向に軽い力で伸びてキュッと戻るので、長時間穿いていても苦しくなりません。
また、ウエスト部分には、ゴムを使っていないのでお腹にくい込んだり、ゴム痕がついてかゆくなったり、脇腹に段差がついたりといった不快感がありません。お腹の部分には薄いチュールを埋め込んでいて、お腹をすっぽり包み込むような安心の深穿き設計になっています。
一番のこだわりポイントは、特許出願中のフロントクロス構造です。通常のボクサーパンツの形状だとフィットせず浮いてしまったり、めくれ上がったりしてしまいますが、切り換えを入れて快適なフィット感を追求しました。クロスする位置を決めるのにもサンプルを何通りも試して、今の形になったのですよね。これだけこだわったので発売まで3年かかりました。

クロッチの肌に接する面は綿混素材ですので、生理中だけでなく普段から穿いていただけます。血行促進作用で温かさを感じますので、普段からぜひ使っていただきたいですね。

塩田さん 福井の自社工場でつくった、隅々までこだわりのつまったメイドイン福井の商品です。
お客様の声が何よりの励みに
ーこのお仕事をやっていて良かったなと思うのはどんな時ですか
塩田さん 開発には苦労がつきものですが、出展先で、「セーレンさんの商品を見るのをいつも楽しみにしています」などとお声掛けをいただけることが、本当に嬉しいですね。
藤本さん そうですね。「今年も出ているかなと思って、また買いに来たの」と言ってくださるお客様がいると、「ああ、やっていて良かったな」と感じますよね。
塩田さん テレビショッピングに商品を出すこともあって、お客様から「次はいつオンエアになるの?」「どこで買えるの?」「こんなに素晴らしいのは他にないわ」という反応があると、つらいことがあったとしても気持ちが晴れますね。逆に、「効果が本当にあるの?」と思われるお客様もいるので、少しでも知っていただけるよう、広めていきたいと思います。
B2B事業でより多くのお客様に商品を届けたい
ー今後の展望をお聞かせください
塩田さん オンラインストアを通じて、私たちの商品をご購入いただくこともできますが、まだブランドとしてはあまり知られていません。
もっと多くの女性に知っていただくためには、OEMという形でしっかりと私たちの技術を活用していただき、広く商品をお届けすることが必要だと考えています。今後はより一層、フェムテック分野に力を入れる企業との連携に力を入れていきたいと思います。
リフレッシュは楽しい飲み会で
ー商品開発に取り組むお二人のリフレッシュの方法などを教えてください
塩田さん 本当に気の合うメンバーと飲みに行くことですね。あとはゴルフです。
藤本さん 同じく楽しいお酒を飲んで発散することですね。
(取材:2024年12月)
本記事は、取材時の情報に基づき作成しています。各種名称や経歴などは現在と異なる場合があります。時間の経過による変化があることをご了承ください。