子どものためにも完ミにしたい。でも授乳をやめることが寂しい。【お悩み相談室】

今回は母乳とミルクをあげている20代のママから、母乳の分泌量が減ってきて出にくいからお子様が吸わなくなってしまい、お子様を思うと完全ミルクのほうがいいかもしれないが、授乳をやめることに寂しさを感じているというご相談です。
母乳とミルクのそれぞれのメリットや切り替え方について助産師がお答えします。
生後3か月の娘がいます。周りの友人から母乳育児だとお湯やミルクの用意をしなくてよいので楽だよ、と聞いていたので妊娠中からミルクを使わず母乳で育てたいと思っていました。出産後、搾乳や母乳が出るよう産院のマッサージに通い母乳の分泌量をあげるために頑張っていましたが、なかなか母乳の量が増えず、今はミルクと混合で育てています。最近は母乳もかなり減ってきているようで娘も吸わなくなってしまいました…。周りは母乳のみで育てている人もいるのにどうして私は母乳の量が少ないんだろうと自分を責めてしまう日も多いです。娘の泣いている姿を見るとかわいそうで母乳をやめてミルク育児にしたほうがいいと思っています。でもおっぱいをあげる時間がなくなることが寂しいんです。娘を第一に考えてミルクのみで育てるか、私が満足というか諦めがつくまで授乳を続けるか悩んでいます。
(20代、女性、ハンドルネーム:はな、職種:主婦・主夫)
「母乳かミルクか」で育児の優劣が決まることは決してない
お話を聞かせてくださってありがとうございます。生後3か月の娘さんを育てながら、母乳やミルクについて悩みながら一生懸命に向き合っているのですね。母乳育児を希望していたのに思うように母乳の量が増えず、今は混合で進めているとのこと。周りの友人が母乳だけで育てているのを見て、なぜ自分はそうできないのかと自分を責めてしまうこともあるんですね。
そして、娘さんが泣いていると「ミルクの方がいいのかな」と思う一方で、おっぱいをあげる時間がなくなってしまうことへの寂しさもある…。
その気持ち、実はたくさんのお母さんが同じように感じています。
まず最初にお伝えしたいのは、「母乳かミルクか」ということで、育児の優劣が決まることは決してないということです。母乳育児をしたいと思って努力してきたのは本当に素晴らしいですし、だからこそ「母乳が増えない」「赤ちゃんが吸わなくなった」といった状況に対して、気持ちが揺らいでしまうのも当然のことです。
ただ、母乳の量は人それぞれですし、どんなに頑張っても思うように出ないこともあります。それは決して母親の努力が足りないとか、母親としての力が足りないということではありません。母乳の出方には体質的な要素もありますし、赤ちゃんの吸い方や成長のペースにも影響を受けます。「母乳だけで育てている人もいるのに」と比べてしまう気持ちも分かりますが、それぞれの母と子に合った方法があるものです。
そして、混合育児を頑張ってきたことも、素晴らしいことです。母乳が少しでも出ているなら、それは赤ちゃんにとって大切な栄養ですし、何よりもお母さんと赤ちゃんのスキンシップの時間になっていますね。でも、もし母乳が減ってきて娘さんがあまり吸わなくなっているのなら、それは娘さんの成長の過程かもしれません。
赤ちゃんの中には、成長とともに母乳よりも飲みやすいミルクを好むようになる子もいます。そうなると、どんなにお母さんが母乳を続けたくても、赤ちゃんの方が吸うのを嫌がったり、うまく飲めなくなったりすることもあるんです。
結論を急ぐことなく、思いつめずに過ごすことも大切
ただ、一時的に母乳を嫌がる「哺乳ストライキ」と呼ばれる時期があることも覚えておいてください。赤ちゃんが欲しがらなくなったからといって、急にすべてを終わらせる必要はありません。もしお母さんが母乳を与えたいと思っているなら、少しでも長く続けていって大丈夫ですし、今は嫌がっているように見えても、急に何事もなかったかのようにまた母乳を飲み始める子も多くいるのです。
「私と娘にとって心地よい形は何だろう?」と考えているうちに状況が変わることもありますので、結論を急ぐことなく、また無理に「こうしなきゃ」と思い詰めずに過ごすことも大切です。
今、はなさんが悩んでいる「ミルクにするか、自分が納得するまで母乳を続けるか」についてですが、どちらを選んでも間違いではありません。娘さんのことを第一に考える気持ちも、おっぱいをあげる時間を大切にしたい気持ちも、どちらも大事な思いですよね。もし、母乳をやめる決断をするとしても、それは「頑張れなかったから」ではなく、「娘のために最善を考えた結果」だと考えてみてください。
そして、まだ少しでも母乳を与えたいという気持ちがあるのなら、「あともう少しだけでも続けてみようかな」という気持ちで、無理なく続けてみたらいいと思います。
母乳以外の方法でスキンシップの時間を大切にする
また、母乳をやめようという気持ちが増し、そうなったとしても、寂しいと感じるなら、授乳の代わりにスキンシップの時間を大切にするのもいいと思います。母乳を与えることは確かに特別な時間ですが、それがなくても娘さんとの触れ合いを大事にする方法はいくらでもあります。
抱っこしながらミルクをあげたり、お風呂で一緒に過ごしたり、マッサージで触れ合ったり、絵本を読む時間を作る、寝る前にゆっくりお話しながら撫でてあげたりすることで、母乳以外の方法で時間を過ごすこともできると思います。
どんな選択をしても、赤ちゃんにとって害のあることは何一つありません。大切なのはお母さんが心穏やかに、子育てに向き合えることだと思います。その時悩んで出した結論が、娘さんにとって一番の道になるのだと思います。少しずつ、心の整理をしながら、はなさんが自信を持って納得できる形を見つけていけることを願っています。
回答者:助産師
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