育児ノイローゼかも?ワンオペ育児の不安と向き合う【お悩み相談室】

今日は、初めての育児をワンオペでこなし、心身共に限界を感じている20代女性からのご相談です。インターネットの診断できるサイトで育児ノイローゼの可能性が高いと出てきたそうです。
ワンオペ育児や育児ノイローゼについて心理士がお答えします。
子どもが5カ月になりました。よく泣く子で夜も未だに3時間寝てくれない毎日です。夫が出産日~1カ月検診まで育休を取得してくれたのはありがたかったのですが、いただいていた休み分を返上するかのように、今は仕事がとても忙しく朝から晩まで働いていて休日は寝るか接待ゴルフに行くことがほとんどです。ただでさえ初めての育児に慣れていないのに、この4カ月のワンオペ育児に疲れてきました。泣いている子どもを見てイライラしてしまって放っておいてしまうこともあるし、イライラしている自分にもイライラするし、いつか手をあげてしまうかもしれないという不安も強いです。今は育休を取得していますが、妊娠するまでは仕事人間だったので、社会から孤立している感じもあって…ネットで調べたら育児ノイローゼが出てきて、診断できるサイトで育児ノイローゼの可能性が高いって出てきました。このまま私育児をしていても大丈夫でしょうか。
(20代、女性、ハンドルネーム:生クリーム、職種:IT・エンジニア(育休中))
目次
イライラしてしまう自分は赤ちゃんと向き合い続けてきた証
5カ月の赤ちゃんのお世話、しかも夜も3時間も続けて寝てくれない毎日。よくここまで頑張ってきましたね。心から労いたい気持ちでいっぱいです。
初めての育児に慣れない中、パートナーさんも仕事が忙しく、ほとんどワンオペ状態。泣いている赤ちゃんを前に「どうしたらいいの?」と途方に暮れる瞬間も多かったことでしょう。そして、そんな自分にイライラしてしまう。でも、自分を責める必要なんて全くないんです。
今あなたが感じている「イライラしてしまう自分」「孤立感」「育児ノイローゼの可能性」。それは、決してあなたが「弱い」わけでも、「母親失格」なわけでもありません。むしろ、ここまで赤ちゃんと向き合い続けてきた証です。どうか、今の自分を「こんなに頑張ってきたんだ」と認めてあげてくださいね。
あなたが今できること
1. 「育児ノイローゼの可能性」に過度に不安にならなくて大丈夫
ネットで「育児ノイローゼの可能性が高い」と出てきたとき、「私、大丈夫かな…?」と不安になったのですね。
でも、ネット診断の結果が「すぐに危険な状態」というわけではありません。今感じている疲れや孤独感、イライラは、「赤ちゃんがまだ5カ月で、睡眠不足やホルモンの影響で心と体が疲れ切っているサイン」と考えられます。
育児ノイローゼとは?
育児ノイローゼは、「極度のストレスや疲労によって、心の余裕がなくなり、育児に対する不安感や抑うつが強くなる状態」を指します。でも、その多くは「助けを求めることで改善できる」ことが分かっています。
―常に不安で眠れない
―食欲が落ちている
―日常生活に支障が出ている
こうした症状が強くなってきたら、心療内科やカウンセリングで早めに相談することも大切ですが、今は「一人で抱え込まない」ことが何より重要です。地域の保健師さんの相談窓口などもあります。どんどん利用しちゃいましょう。
2. 「自分一人」で頑張りすぎているかも
今の状況は、まさに「頑張りすぎているサイン」です。
パートナーさんが1カ月間育休を取ってくれたのはありがたかったけれど、今は朝から晩まで仕事、休日は接待ゴルフ。気づけば「全部、自分がやるしかない」という状況ですよね。
ワンオペ育児の疲れは「当たり前」。
5カ月の赤ちゃんのお世話を「1日24時間、365日続けている状態」です。しかも、夜中も3時間おきに起きる生活が続いているとなれば、「体力的にも精神的にも限界が来る」のは当然です。人間は、過度な睡眠不足が続くと、疲労だけでなく集中力の低下、思考が鈍くなる、場合によっては幻覚や幻聴が現れるといった異常事態に陥ります。睡眠不足はそれだけで大問題なのです。
赤ちゃんが泣き止まないときにイライラしてしまう → それは、「睡眠不足」で脳が疲れ切っているサイン。
イライラしてしまった自分にさらにイライラする → それは、「助けが足りていない」と感じているサイン。
あなたは「自分を責める必要」はまったくありません。これだけの状況で「イライラせず、常に笑顔でいるなんて、誰にも無理なこと」なんです。
3. 「自分を守る時間」を確保しよう
今、あなたに一番必要なのは「自分の時間を少しでも確保すること」です。
① 10分でも「自分のための時間」を確保する
赤ちゃんが昼寝をしている間、「家事をする時間」ではなく、「自分を休める時間」にしてみてください。
―温かいお茶を飲みながら、ぼーっとする
―スマホで好きな音楽や動画を観る
―短い仮眠を取る
10分間だけでも「自分のための時間」を持つことで、気持ちに少し余裕が生まれます。
② 「パートナーさんに具体的なお願い」をしてみる
パートナーさんも忙しいのは分かっているけれど、「具体的なお願い」をすることで、少しでも負担を分担してもらえます。
―「寝かしつけの間だけ、リビングで赤ちゃんを見ていてほしい」
―「休日の午前中だけ、1時間でも赤ちゃんを見てくれると助かる」
「具体的にお願いする」と、パートナーさんも動きやすくなるかもしれません。
4. イライラしてしまった自分を「責めない」習慣
「泣いている赤ちゃんを放っておいてしまった…」「イライラしてしまった…」と感じたとき、つい「私って母親失格?」と思ってしまうかもしれません。でも、それは「体が限界のサイン」なんです。
① イライラしたときの「リセット法」
―深呼吸を3回して、目を閉じる
―「私は今、頑張ってるんだ」と自分に声をかける
自分を責めずに「私はこれだけやってる」と認めることが、心の余裕を取り戻す第一歩です。
② 「完璧じゃなくて大丈夫」と自分に許可を出す
赤ちゃんにとって「完璧なママ」より、「頑張りすぎないママ」の方が安心できることも多いです。
―「今日は80%でOK!」
―「少し手抜きしても大丈夫」
自分にそう言い聞かせて、肩の力を抜いてくださいね。
5.「助けを求めることは、強さの証」
「このまま育児をしていて大丈夫かな?」と不安になるのは、「自分を守るサイン」でもあります。だからこそ、「一人で頑張りすぎないで」くださいね。
―実家や友人に「ちょっと話を聞いてほしい」と頼る
―地域の子育て支援センターで「気持ちを話す場」を持つ
自分の頑張りを認める
そして、どうか「自分の頑張り」を認めてあげてください。
あなたは「十分すぎるほど、頑張っています。」そして、その頑張りは、あなたのご相談を読んだ私にちゃんと伝わっていますよ。
今は「自分を労わる時間」も、赤ちゃんにとって大切な時間のひとつです。どうか、無理をしすぎず、自分を大切にしてくださいね。
回答者:株式会社ファミワンに所属する【心認心理士・臨床心理士】
自治体の子育て相談窓口でお仕事をさせていただいています。キンダーカウンセラーやスクールカウンセラーとしての経験も長いです。子育て中は悩みが尽きないですよね。年齢や個性に応じた親子のコミュニケーションでお困りなら、ご相談ください。不登校、ひきこもり、家庭内暴力や虐待などのカウンセリングも得意としております。
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