出産後に悪化したPMSと生理不順。生理にふりまわされるのがしんどい【お悩み相談室】
出産後にPMSが悪化し、イライラや生理不順に悩んでいる40代の女性からのご相談です。生理前になると気持ちが不安定になり、子どもに強く当たってしまうとのこと。また、生理周期が乱れ、予定が立てづらいこともお困りのようです。
この状態が閉経まで続くのかという不安や、PMSや生理不順の対策について、臨床心理士がお答えします。
40代の専業主婦です。子供が1人おり、出産の予定はもうないのに、いつまでも続く生理とPMS症状がつらいです。
出産後、PMS症状がひどくなってきました。生理前になるとイライラして子供を必要以上に叱ってしまったり、将来に対して悲観的になったりしてしまいます。また、生理自体もここ1～2年で不安定になり、短い期間で終わったかと思えば、ダラダラ続くこともある…という感じで困っています。外出などの予定が狂うこともあります。PMSと生理期間のせいで、心身ともに調子が良い、と言える日がほとんどありません。
出産の予定もないのにいつまでも生理にふりまわされているのがしんどいと感じます。閉経まであと何年もこの状態を続けなければいけないのでしょうか？何か解決方法があれば知りたいです。
（40代、女性、ハンドルネーム：ねこのこ、職種：主婦）
最初に
こんにちは。まずはここに勇気を出してご相談くださったあなたに、「今日もここまでよくがんばりましたね」と、お伝えしたいです。
生理前になるとイライラしてしまう、子どもにきつくあたってしまう、未来が見えなくなってしまう…。
そしてようやく生理が来ても、今度はその出血が不安定で、予定も体調も思うように整わない――
この「出口の見えないつらさ」を、日々抱えていること、本当に大変なことだと思います。
しかも、あなたはもう出産の予定がないのですね。そうなると余計に、「なんのためにこの不調に耐えているんだろう」と思ってしまうこと、あるのではないでしょうか。
体の不調が心に影響し、心の落ち込みがまた体に響いてしまう――
そんな悪循環の中に、今あなたがいるのだとしたら、「それでも今日までやってきたあなたは、本当にすごいよ」と、まずは言わせてください。
40代になると生理周期や出血パターンも不安定になりやすい
【心と体の調子がいい日が、ほとんどない】――
その言葉に、うなずく女性は実はとても多いのです。
PMS（※月経前症候群）は、ホルモンバランスの影響によって感情や身体が大きく揺れる状態です。
特に40代になると、エストロゲンの分泌がゆらぎ始め、それにともなって生理周期や出血パターンも不安定になりやすくなります。
「もう妊娠はしないのに、なんで生理がまだ続くの？」――
そう思うのは、当然です。つらい症状があるのに、終わりも予測もつかない。
だからこそ、少しでも「自分で選べる安心」を持てたら、気持ちがぐっとラクになることもあるのです。
ミレーナという選択肢をご存知ですか？
「ミレーナ」(※)は、子宮の中に小さな器具（黄体ホルモンを少量放出するIUS：子宮内システム）を入れることで、生理の量を減らしたり、PMS症状をやわらげたりする効果が期待できる治療法です。
ミレーナは避妊目的だけでなく、月経困難症や過多月経、PMSに悩む女性の治療にも広く使われています。子宮内に作用するので、全身へのホルモンの影響は最小限に抑えられるのが特徴です。
一度挿入すれば5年間効果が持続し、経過を見ながら閉経まで自然に移行していくことも可能です。
「生理から少しでも解放されたい」「薬を飲み続けるのがつらい」そんな方には、負担の少ない方法のひとつとして選ばれることが増えています。
もちろん、すべての人に合うわけではありません。ですが、こうした選択肢があると知るだけでも、「まだできることがある」と思えて、少し気持ちが軽くなることもあります。
気になる方は、婦人科で相談されてみてくださいね。
最後に
最後に、あなたのつらさは、決して“小さなこと”ではありません
あなたが感じている不快感、怒りっぽさ、疲れ、落ち込み――
どれも決して「気のせい」ではなく、ちゃんと“体と心が悲鳴をあげているサイン”です。
その声を無視せず、今日まで過ごしてきたあなたは、本当にえらいです。
完璧でなくていい。笑顔じゃない日があってもいい。
子どもにきつくしてしまった日も、それは「ダメな母親」だからじゃなく、「つらさを抱えながらも母親をやっている、すごい人」だからこそなんです。
あなたの明日が、今日より少しでも軽くなりますように。どうか、自分の体と心に、もっともっと優しくなってくださいね。
心から応援しています。
＜参考文献・出典＞※以下の文献を参考にしています
公益社団法人 日本産科婦人科学会
▶月経前症候群(PMS)：https://www.jsog.or.jp/citizen/5716/
日本財団ジャーナル
▶「ミレーナ」は避妊具なのに、生理も楽になるって本当？」：https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/103896/gender
＜本記事の回答者＞
「妊活や性の悩み、子育てや働き方のことまで、「誰に相談していいかわからない」テーマも歓迎しています。どんな内容でも大丈夫。安心してご相談ください。臨床心理学の確かな知識と技術を活かし、原因探しや悪者探しではなく、あなたにとってのゴールを発見するお手伝いをさせてください。」
著書：テキスト家族心理学（共著）/心理療法・カウンセリングにおけるスリー・ステップス・モデル─「自然回復」を中心にした対人援助の方法（共著）
講演実績：学会招致講演、企業及び自治体での講演多数
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