更年期の胃の不快感と食欲低下、どう向き合う?【お悩み相談室】

今回は、赤ちゃんの泣き声に強い恐怖を感じ、心身の不調や追い詰められる思いを抱えている30代女性からのご相談です。
赤ちゃんの泣き声に敏感になる理由や、心身の負担を減らす工夫、助けを借りる大切さについて臨床心理士がお答えします。
更年期に入ってから、食欲不振や胃の不快感が続いていて不安です。閉経前ですが、生理周期は乱れがちで、これが更年期障害の一種なのかと思い始めています。ホットフラッシュやイライラは以前からあるので大きな変化は感じませんが、最近は特に膨満感が強く、食事が重たく感じて食欲が湧きません。なのにストレスからか、お菓子や果物には手が伸びてしまい、体重は減らず胃だけが常に張っている感じ…。食欲低下、更年期の体調変化、ストレス食いなど、同じような経験のある方のお話を聞いてみたいです。
(40代、女性、ハンドルネーム:もやもや日和、職種:医療・介護・福祉)
最初に
ご相談ありがとうございます。
更年期を迎えると、ホルモンバランスの変化によって身体にも心にもさまざまな変化が起こりやすくなります。
「今までとは違う」と感じることが多く、不安になったり戸惑ったりするのは当然のことです。
そして、そのなかでも“食欲の変化”や“胃の不快感”は、決して珍しいことではありません。
更年期と自律神経の乱れが胃に影響する理由
更年期には、エストロゲンという女性ホルモンの分泌が急激に減少します。
エストロゲンには自律神経を整える働きがあるため、減少によって自律神経のバランスが乱れやすくなります。
これにより、胃酸の分泌が不安定になったり、胃の動き(蠕動運動)が鈍くなる。胃の緊張が抜けにくくなる。
といった症状が起こりやすくなり、「胃が重い」「膨満感が続く」「食欲がない」といった状態につながります。
さらに、生理周期の乱れやホットフラッシュなど、他の更年期症状が重なることで、心身ともにストレスがかかりやすくなり、食事がうまく楽しめなくなる方も多いのです。
食欲がない状態が続いていても、疲れた心を癒すためにお菓子や果物など「甘いもの」にはつい手が伸びてしまう、というのもよくあることです。
糖質は一時的に気持ちを落ち着かせる作用があるため、無意識に求めてしまうことも。
ただ、空腹感がないまま甘いものをとり続けると、胃腸の回復が遅れるだけでなく、血糖の乱高下や体重増加などにつながることもあるため、やはり“少しずつ”リズムを整えていくことが大切です。
無理せず栄養をとるための食生活の工夫
無理にしっかり食べるのではなく、「胃にやさしく、でも栄養が摂れる」食べ方を意識してみてください。
◎ おすすめの食べ方・食材
- 温かくて消化のよいものを選ぶ
→ 具沢山のスープ、雑炊、おじや、湯豆腐、温野菜などは胃の負担が少なく、栄養も摂りやすいです。 - 少量でもたんぱく質を摂る意識を
→ 卵・豆腐・白身魚・鶏ささみなど、胃もたれしにくいたんぱく質を選びましょう。 - 「小分けでちょこちょこ食べ」もOK
→ 食欲がないときは、1日3回にこだわらず、少しずつ何度かに分けて摂るのも◎。 - 発酵食品や水溶性食物繊維で腸内環境を整える
→ ヨーグルト、味噌、ぬか漬け、もち麦、海藻類などは、腸の働きをサポートし、間接的に胃の調子を整える助けになります。
「食べていないのに体重が減らない」と感じるのは、更年期特有の代謝の低下も関係しています。
筋肉量の減少やホルモン変化により、基礎代謝が落ちやすく、以前より太りやすく・痩せにくくなる時期でもあります。
なので、、体重の数字にとらわれすぎず、「体調がラクになる食べ方」「心が落ち着くリズム」を大切にしてみてください。
更年期の「食べられない」に共感する声
実際に更年期を迎えた方からは、
「何を食べても胃がもたれるようになった」
「甘いものしか喉を通らなくなってしまった」
「前よりも“食べること”が楽しめなくなった」
といった声も多く聞かれます。
こうした悩みを少しずつでも言葉にして、共有できていること自体が大きな一歩です。
最後に
焦らず、自分のペースで。食べることは身体だけでなく、心を整える手段でもあります。
無理せず、心地よく食べられる方法を一緒に見つけていきましょう。
<参考文献・出典>※以下の文献を参考にしています
厚生労働省
▶「更年期症状・障害に関する意識調査」について:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/undou/index_00009.html
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