更年期の動悸と不安感にどう向き合えばいいのでしょうか【お悩み相談室】
 
                      今回は、更年期に入り仕事中に突然の動悸に悩まされている50代女性からのご相談です。立ち仕事や体を動かす業務が多く、不安な気持ちを抱えながら働き続けているとのこと。
この記事では、更年期にみられる動悸の背景や、働きながらできる工夫、気持ちの持ち方について、助産師がアドバイスします。
更年期に入ってから、仕事中に突然動悸がすることが増えてきました。特に立ちっぱなしだったり、体を動かすことの多い仕事なので、なかなか休む時間も取れず、不安な気持ちでいっぱいになります。対処方法も分かっておらず、数分休んで落ち着くのを待っています。
更年期で同じような経験をされている方は、そんなときどうやって乗り越えていたんだろうと気になっています。
無理せずに働く方法や、心の持ち方など、みなさんの体験を教えていただけたらうれしいです。体の症状だけでなく、動悸が起こったらどうしよう、起きたときにどうしたらいいんだろうと焦りと不安の気持ちの面での対処法などもお聞きしたいです。
(50代、女性、ハンドルネーム:サモエド、職種:運輸・物流)
最初に
お仕事中に突然ドキドキが始まると、本当に落ち着かないですよね。
立ちっぱなしや体を動かすお仕事なら、ただでさえ体力を使うのかと思いますが、
急に胸が高鳴って「大丈夫かな」と不安になってしまうのもよくわかります。
数分休んで落ち着くのを待っているとのことですが、周りに迷惑をかけたくない気持ちや、
また起こるかもしれないという緊張感が、心の負担になっていることも伝わってきます。
「また起きたらどうしよう」という心配が先に立つと、それだけでも心臓が余計に早く打ってしまうこともあるんですよね。
ご自身の体調のことを真剣に考えて、こうやって言葉にして相談してくださったこと、まずそれが大きな一歩だと感じます。
動悸が出たときの“お守り”ルールを決めておく
動悸そのものをゼロにするのは難しいかもしれませんが、「出てきても大丈夫」と思える工夫を持っておくと、少し心が軽くなるかもしれません。
たとえば、動悸が出たときに「椅子に座って深呼吸をする」「冷たい水をひと口飲む」など、自分なりの“お守り”のような対処法を決めておく方法です。
また、無理して働き続けるよりも、「この症状が出たらちょっと休む」というルールを自分に許してあげることも大切かもしれませんね。
周りに迷惑をかけてしまうのでは…と気になるかもしれませんが、長くお仕事を続けるためには必要な工夫だと思いますよ。
気持ちの面では、「また出るかも」と考えていると余計に辛くなってしまうので、「出たらこうすれば落ち着ける」と思える方法を知っておくことが安心につながるんじゃないでしょうか。
情報や体験談を知ることで「自分だけじゃない」と感じられることも、心を軽くする力になるかと思います。
更年期におこる動悸の背景とは
更年期にみられる動悸は、女性ホルモン(エストロゲン)の低下によって自律神経が乱れやすくなり、心拍や血管の働きに影響することが背景にあると考えられています。
いわゆる「ホットフラッシュ」と呼ばれる、のぼせや発汗と同じ仲間の症状と考えてもらうと分かりやすいかもしれません。
ただ、動悸がいつもより強かったり、胸の痛み・息切れ・めまいを伴うときは、更年期の症状だけとは限らないので注意が必要です。
不整脈や甲状腺の病気、貧血などが隠れていることもあるので、そういう場合は一度医師に相談してみてください。
検査で「大丈夫」とわかるだけでも安心につながることもありますよ。
自律神経を整える習慣と呼吸法で「私の安心ルール」を
日常でできる工夫は、睡眠をしっかりとること、カフェインやアルコールを控えること、無理のない運動を続けること。
どれも地味ですが、自律神経を整える助けになることが知られています。
呼吸法もおすすめで、息をゆっくり長く吐いてから、鼻から静かに吸う…これを繰り返すと副交感神経が働き、動悸が落ち着きやすくなるという方法もあります。
症状がつらいときには漢方やホルモン補充療法という治療の選択肢もありますから、「我慢するしかない」と思わないでいてくださいね。
最後に
ご自身の体を大事にしながら、少しずつ「これなら大丈夫」と思える方法をぜひ探してみてくださいね。
<参考文献・出典>
公益社団法人 日本産婦人科学会
▶更年期障害について:https://www.jsog.or.jp/citizen/5717/
厚生労働省
▶「更年期症状・障害に関する意識調査(結果概要)」(2022年):https://www.mhlw.go.jp/content/000969136.pdf
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