妊娠中の不眠と睡眠薬、ゾルピデムをこのまま飲んでいて大丈夫?【お悩み相談室】
今回は、妊娠してから不眠が続き、睡眠薬をやめたい気持ちと不安の間で揺れている、30代の女性からのご相談です。
薬に頼る罪悪感や赤ちゃんへの影響を心配しながらも、眠れないつらさに悩んでいるご様子です。
妊娠中の睡眠薬との向き合い方や、不安を減らす考え方について、薬剤師がアドバイスします。
妊娠してから眠れない日が多く、睡眠薬を続けてしまっていることが心配です。もともと不眠症の治療でゾルピデム(マイスリー)を処方されており、妊娠が分かったときにやめるつもりでしたが、つわりで眠れない夜が続き、結果的に妊娠17週の今も服用を続けています。
主治医からは「どうしても眠れないときに飲む程度なら問題ない」と言われているのですが、薬に頼ることへの罪悪感がどうしても消えません。「妊娠中なのに飲んでしまった」「赤ちゃんに何か影響が出たらどうしよう」と考えるたびに落ち込んでしまいます。
でも、不眠によって私のストレスが増し、それも赤ちゃんに影響しそうで怖いです。
そして、妊娠後期になったら服用により注意が必要だとネットで見てしまってからは、残りの11週で薬に頼らずに過ごせるようになるだろうかと切迫感を感じて苦しいです。
やはり、妊娠中に睡眠導入剤を服用しているとしていないとでは、健康な赤ちゃんが産まれる確率は変わるのでしょうか?
服用を止めたいと思っているのに、止められない自分、もう少しで止めないといけない焦り、止めてからの不安、今まで服用していたことへの後悔でもうどうしたらいいのかわかりません。
(30代、女性、ハンドルネーム:ゆら、職種:事務・オフィスワーク)
最初に
妊娠してから眠れない日が続くと、それだけで心も体もぐったりしてしまいますよね。
妊娠がわかった時には薬をやめようと思っていたのに、つわりのつらさや寝つけない夜が重なって気付けば17週まで服用が続いていた。
その状況に罪悪感が湧いてしまうのは、とても自然なことだと思います。
主治医から「眠れない時の頓服なら問題ない」と言われても、不安が消えるわけではないですよね。
ネットで妊娠後期の注意点を目にすると、ただでさえ眠れない中で「早くやめなきゃ」と焦りが生まれてしまう。
その一方で、薬をやめれば眠れなくなるかもしれないという不安もあって、どうしたらいいのか分からなくなってしまう気持ちもよくわかります。
赤ちゃんのことを大切に思っているからこそ、「薬を飲んでしまった自分」を責めてしまう。
その優しさも、苦しさも、本当に大事な気持ちなんだと思います。
睡眠薬に振り回されない考え方を持つために
今回のお悩みでは、「薬をやめるかどうか」という一点に心が向きすぎてしまっている状態かもしれません。
もしできることなら、薬の良し悪しだけに振り回されないで済むように、もう少し落ち着いて判断できる状態になれると良さそうです。
例えば、「薬の本当のリスクがどの程度なのか」「いつ医師に相談すれば安心なのか」が整理できると、罪悪感や焦りが和らぎやすくなります。
また、使う日と使わない日を自分で選べる感覚が育ってくれば、コントロールしているのは薬ではなく自分だと思えるようになり、不安も少し軽くなるはずです。
妊娠後期を迎えるにあたって「どういう状態を目指すと安心なのか」「何を知っておくと心が穏やかになるのか」を一緒に見つけていくことが、今回の悩みには合っているかもしれませんね。
妊娠中の睡眠薬、母子への影響とは
マイスリー(ゾルピデム)は妊娠中に使用されてきた経験が多い薬です。
これまでの研究では、妊娠初期に服用したことで赤ちゃんの奇形が増えるという明確な報告はなく、その点は安心して大丈夫です。
主治医が「どうしても眠れない時の頓服なら問題ない」と言っている根拠もここにあります。
妊娠後期に注意が必要とされるのは、薬の成分が胎盤を通って赤ちゃんに移行しやすくなるためで、
特に出産直前まで毎日服用していた場合に、赤ちゃんが少し眠りがちな状態で生まれることがあるためです。
ただしこれはあなたのように眠れない日にだけ飲んでいるケースでは、過度な心配は必要ありません。
むしろ、強い不眠やストレスが続く方が妊婦さんの体に大きな負担となり、自律神経や体調に影響が出てしまうことがあります。
薬を使わずに我慢し続けて心身が疲れてしまうよりも、必要な日に医師の指示の範囲で薬を服用ししっかり眠る方が、あなたにも赤ちゃんにも良い影響があります。
また、「妊娠後期に入るから薬を急いでやめなければ」という考えは、あなたを追い込んでしまうだけで、医学的には必ずしも必要なものではありません。
薬の量を減らすタイミングややめ方は、あなたの睡眠の状態や不安の強さを見ながら医師と相談して調整していけば十分です。
もし「薬を飲まない日が続きそうだな」と思えるようになってきた時が、自然に減らしていけるサインになります。
最後に
妊娠中の不眠はとても多く、決して珍しいことではありません。
あなたが感じている気持ちは、赤ちゃんを思う気持ちから生まれたものです。
どうかその気持ちを否定しないでください。
必要な日には薬に頼って眠っていいという許可を、自分に少しだけ与えてあげてくださいね。
<参考文献・出典>
アステラス製薬株式会社
▶ゾルピデム酒石酸塩錠 マイスリー錠(添付文書):https://amn.astellas.jp/content/dam/jp/amn/jp/ja/di/doc/Pdfs/DocNo202210887_y.pdf?redirect=false
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